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読書とかいろいろ日記

読書日記を中心に、日々のあれこれを綴ります。

『そうだ小説を書こう』 山本甲士

2019年05月08日 | 読書日記
『そうだ小説を書こう』 山本甲士
¥638+税 小学館(小学館文庫) 2012/7/11発行
ISBN978-4-09-408738-3
 
主人公・山本宏司は離婚した妻に引き取られた息子とのコミュニケーションのために小説を書くことを思い立つ。
で、首尾よく息子の尊敬を勝ち得るのだけど、まあ、これはもともと息子が読書好きだったから、ですわね。
 
山本宏司がプロ作家山本甲士に教えを請うという体裁。

『東大式世界一美しく正しい歩き方』 小林寛道

2019年05月06日 | 読書日記

『東大式世界一美しく正しい歩き方 100歳まで健康で歩けるカラダをつくる!』 小林寛道
¥1,300+税 日本文芸社 2018/6/30発行
ISBN978-4-537-21587-8

すごく丁寧に書いてくれてるのは分かるんだけど、やっぱ文字データだけでは分かりにくいよ!
イラストもイマイチなんだよな……。
ボディ・インナーマッスルを活用した大腰筋ウォーキング。

なんば歩きのフォームで、腕の振りは通常(右足が出るときは左手が出る、というように)に修正する。

ということなんですが…。

ああ、小林先生の研究室でトレーニングマシンを使わせてもらいたい。


『つばさものがたり』 雫井脩介

2019年05月04日 | 読書日記

『つばさものがたり』 雫井脩介
¥705+税 角川書店(角川文庫) H25/1/25発行
ISBN978-4-04-100688-7

感涙必至の家族小説。

そうね、最後に主人公が死ねば、たいていは悲しい話ってことで泣くよね。それが若い女性なら尚ね。
しかしこれ、ストーリーとして説得力ないよね?
なんでこの子には天使が見えるの? とか、なんでレイはここにいるの? とか、本人納得してるとはいえ勝手に職業決定されるほうの立場は? とか。いろいろ気になる。オーラの味は何で決まるの? とか。

なにより納得できないのは、病気で味がよくわからなくて、味見ができないくせにケーキ屋を開いてやっていけると思えるその神経だ。消費者なめてんの? 


『ギャングース・ファイル』 鈴木大介

2019年04月29日 | 読書日記

『ギャングース・ファイル 家のない少年たち』 鈴木大介
¥700+税 講談社(講談社文庫) 2015/5/15発行
ISBN978-4-06-293104-5

鈴木の犯罪少年たちに寄り添う気持ちはとことんやさしい。

>  加害者である犯罪少年たちは、被害者転じての加害者だった。もちろん、加害者である彼らの裏には、被害者がいる。本書に登場した取材対象者もみな、誰かを被害者にしてきたから、シノギとして成立しているのだ。
 だが、それを倫理的に批判する人たちに僕は問いたい。僕を含めた市井の大人たちは、彼ら被害者だった子供たちのために何をやれたというのだろう。虐待で叩かれている子どもを見れば、それは誰もが被害者として認識できる。だがその子どもが腹を減らしてモノを盗んだら、その時点で加害者なのか。
 奪うために人を殴って怪我をさせたら、犯罪者なのか。
 被害者のまま餓死するのが正義であり倫理だというのか。
 こんな議論は正直、クソ食らえだ。(279-280頁 あとがき)

世間はそれを求める。
わかりやすく同情しやすいものにしか同情しない。少しでも外れると容赦なく叩く。
わかりやすい被害者だけが被害者なのだ。

だけど鈴木が彼らを可視化した。
ほんの少しずつでも、変われればいいと思う。


『その症状、すぐ病院に行くべき? 行く必要なし?』 山中克郎

2019年04月23日 | 読書日記

『その症状、すぐ病院に行くべき? 行く必要なし?』 山中克郎
¥1,500+税 CCCメディアハウス 2018/7/8発行
ISBN978-4-484-18224-7

総合診療医山中先生がつくった家庭でできる診断マニュアル

なるほど、これはおうちに一冊あると何かの時に便利そう。

図書館で借りるんでは意味ありません(笑)。


『不死身の特攻兵』 鴻上尚史

2019年04月19日 | 読書日記

『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』 鴻上尚史
¥880+税 講談社(講談社現代新書) 2017/11/20発行
ISBN978-4-06-288451-8

特攻兵の真実。
太平洋戦争を美化し、ゼロ戦を賛美し、特攻を褒め称える輩に読ませたい。

> 「特攻隊員が、現地で特別待遇をうけ、特別の寝食を与えられていたと、想像されている人々が多いのに私は驚く。特攻隊員の宿舎は、一言でたとえれば、(中略)生き地獄だったと評しても過言ではなかった。(中略)宿舎の屋根は穴だらけで、雨水は飛び散り、毛布を抱えて、雨を避けながら、部屋の片隅にかたまって仮眠する哀れな特攻隊員の姿を、人々は想像できるだろうか」
「出撃前、いまだ生をうけているとき、特攻隊員たちと親しく語り合ってくれた参謀が、一人でもいただろうか。『無謀を承知だが、お国のためだ。すまんが死んでくれ』と頭を垂れた参謀が一人でもいただろうか。特攻隊員の宿舎は、陰気臭いので、窓の傍にさえ誰一人、近寄らなかったではないか。予備学生は、軍人精神がまるでなく、飛行技術も未熟だとののしられながら、離陸すらやっとの整備不良の零戦で出撃させられたのである」
「私がこのように、今でも、彼ら海軍上層部の連中を許せないのは、亡き友の真情を察する以外何物でもない。(中略)真の戦争の責任をこそ問われるべき連中が、戦没者の慰霊祭の際は、必ず出没し、英霊にぬかずき、涙を流し、今となって、特攻隊員の勇敢さをほめたたえ、遺族をねぎらっているあの偽善の姿である。あのずうずうしさには、身震いさえ感じる」(234-235頁 杉山幸照元少尉『悪夢の墓標』よりの引用)

 


『10億分の1を乗り越えた少年と科学者たち』 マーク・ジョンソン+キャスリーン・ギャラガー

2019年04月17日 | 読書日記

『10億分の1を乗り越えた少年と科学者たち 世界初のパーソナルゲノム医療はこうして実現した』 マーク・ジョンソン+キャスリーン・ギャラガー(梶山あゆみ=訳)(井元清哉=解説)
¥1,800+税 紀伊國屋書店 2018/11/15発行
ISBN978-4-314-01165-5

> 2007年5月、ものを食べると腸に穴が開き、皮膚から便が漏れるという奇病を患った2歳の少年がウィスコンシン小児病院に運ばれる。“10億人にひとり”レベルの症例で診断名もつかない。このままでは命がもたないと思われた。万策つきた医師たちは2009年、最後の手段として臨床の場では世界に例のないゲノム解析により、原因遺伝子を突きとめるという大胆な試みに踏みきる―。ピューリッツァー賞解説報道部門受賞記事を書籍化!


パーソナルゲノム医療の可能性。
すばらしい……とは思う。いま現在、苦しんでいる患者にとっては一縷の望み。
莫大な経費がかかるので、支払い能力がある金持ちしかその恩恵にあずかれない、命に値段をつける医療だという指摘も、当人とその家族にとってはその後借金まみれになったとしてもそれでもすがりたいだろうと思えば非難には当たらないだろう。
神の領域に足を踏み入れる不遜さも、それでは目の前の子供に対し、あるかもしれない救いを取り上げ死を宣告するのはどうなのだろうか。
…………とかね、いろいろ考えちゃうよねえ。たぶん考えて結論が出るものでもないだろうし、世の中は否応なく進んでしまうのだろう。発見されてしまったものを無かったことにはできない。

 

最初の一例の後は、加速がつく。


『カンパニー』 伊吹有喜

2019年04月12日 | 読書日記

『カンパニー』 伊吹有喜
¥1,700+税 新潮社 2017/5/20発行
ISBN978-4-10-350971-4

老舗製薬会社の総務課長、青柳。妻が突然家を出た。社内結婚だったので仲人をしてくれた上司に事情がバレバレ。その上司に呼び出されて、「キャリア創造支援室」への配属を告げられる。これはつまり、戦力外通告に等しい。
そして社名変更告知キャンペーンのイベントたるバレエ公演を支援すべく、カンパニー(バレエ団のこと)に出向することに。

仕事ができないと思われたたはずの青柳が、じつは堅実に仕事をこなすザ・サラリーマンだったという辺りはいいですね。
プリンシバル高野とトレーナーの由衣は、世界的プリンシバルともあろうものが、今までまともにマッサージも受けてないとかちょっとありえない設定じゃない? とか思うけど。

さらさら読めて読後感のいい小説です。


『胡蝶殺し』 近藤史恵

2019年04月10日 | 読書日記

『胡蝶殺し』 近藤史恵
¥1,400+税 小学館 2014/6/25発行
ISBN978-4-09-386380-3

そういうこと…そうか、たしかにこれはミステリーだ。
しかしミステリーと思って読むと拍子抜けかも。

ジャンルにこだわらず、一編の小説として面白うございました。

基本的に歌舞伎はあまり好きではないんだけどね。
こうやって小説になってる歌舞伎はすごく面白そうに見える。作家ってすごいなあ。

蘇芳屋の市川萩太郎は、父を亡くした花田屋の中村秋司の後見人になることに。
萩太郎には秋司と同い年の息子、俊介がいる。利発で明らかに才能がある秋司と、いやいや稽古をする俊介。
思わず二人を比べてしまう萩太郎の親心がほほえましいです。

鏡獅子……たしか遠い遠い昔にお能で見たような記憶がうっすらと…。しかしほとんど覚えていない。