読書とかいろいろ日記

読書日記を中心に、日々のあれこれを綴ります。

『買う5秒前』 草場滋

2019年12月20日 | 読書日記

『買う5秒前』 草場滋
¥1,300+税 宣伝会議 2015/2/26発行
ISBN978-4-88335-326-2

出版社名が「宣伝会議」! こんな会社があったとは。

〇〇したいワタシ。のキーワードでマーケティングを説く。「オプションに弱い私」「小ネタが欲しいワタシ」「応援したいワタシ」「皆でイイことしたいワタシ」etc...
あるある。


『タネの未来』 小林宙

2019年12月17日 | 読書日記

『タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ』 小林宙
¥1,600+税 家の光協会 2019/9/20発行
ISBN978-4-259-54771-4

宙くん、しっかりしてる!
会社を起こすくらいなんだからしっかりしてるのは尤もなんだけど、いやそれにしても考えがしっかりしてる上にそれを言語化する能力に優れているというのはすばらしいな。

> 人々が無関心でいることは、仕方がない。だからといって、何も伝えずに黙っていていいというわけでもない。だから僕は、事業を通してタネを売り、流通させることで、「タネに関心のある人を増やす」ということを念頭に置いて活動している。とりあえずは、一度だけでもいいから「採種禁止という話は聞いたことがある」という人を増やしていくことが大事なのだろうと思う。ただ「知っているよ」と言ってくれるだけでも、そういう人が大きな力になってくれることは、ままある。(119頁)

がんばれ!

 

もったいないのは、表紙。家の光協会、センスイマイチだな……。


『合わせ鏡に飛び込んで』 井上夢人

2019年12月11日 | 読書日記

『合わせ鏡に飛び込んで』 井上夢人
¥667+税 講談社(講談社文庫) 2008/10/15発行
ISBN978-4-06-276165-9

10篇収録の短編集。
佳作ぞろい。さすがだな、井上夢人。
そして時代を感じる。電話とか。テープレコーダーとか。防犯カメラがないとことか。それでもストーリーを損じるものではない。


『爆笑! エリート中国人』 小澤裕美

2019年12月09日 | 読書日記

『爆笑! エリート中国人』 小澤裕美
¥740+税 幻冬舎(幻冬舎新書) 2010/9/30発行
ISBN978-4-344-98184-3

たぶんこういう内容だろうな、と思うそのままの内容だった。

 

著者はビジネスコンサルティング会社経営。
中国人相手に、日本で会社訪問するときは会社の外でコートを脱げ、と指導した際の会話。

> 「どうしてコートを脱ぐんですか? 寒いじゃないですか」
「どうしてって、それが日本のビジネスマナーなんです」
「会社の中に入ってから脱いだらダメなんですか?」
「ダメです」
「入ってからでもいいじゃないですか。何が違うんですか?」
「うーん、何が違うって言われても、そういう習慣ですから」(34頁)

日本の常識が通じない中国人を笑っているようで、こんな指導しかできないでコンサルティングを名乗る自分が笑われることには気づかないのか。ていうか、これが通用するようだったら思考停止じゃないの。説明できなければ指導にならんだろ。
本にするにあたってオーバーに書いてたり、簡略化したって可能性もないでもないけど。
まあ、少なくとも私だったらこんなコンサルティング会社は信用しない。


『「国境なき医師団」になろう!』 いとうせいこう

2019年12月05日 | 読書日記

『「国境なき医師団」になろう!』 いとうせいこう
¥900+税 講談社(講談社現代新書) 2019/9/20発行
ISBN978-4-06-517315-2

『国境なき医師団を見に行く』とほぼ同じ内容。

 

>  ボランティアという言い方をされることもありますが、プロとして働いていただきますので給料をお支払いしています。派遣に伴う諸費用についても、往復航空券、予防接種や健康診断など、MSFが負担します。現地でかかる食費や居住費もMSFでカバーしますし、医療保険もMSFで加入します。派遣が二カ月以上の場合、社会保険に加入します。(69頁)

本書を読む少し前、ペシャワール会の中村医師が銃撃される事件が起きた。その報道において、ペシャワール会の説明として「著名な国際援助団体の中には、集めた寄付の8割近くを団体の人件費や運営費に使い、実際の援助資金は寄付総額の2割ほどといった団体も少なくない。ペシャワール会の場合は、逆に寄付総額の9割以上を現地の支援金そのものに充ててきた」というのがあって、ペシャワール会を評価すると同時に他団体を貶めていて、気になった。この記事がMSFを指しているとは限らないけど、持続可能な運営のためにはMSFの方針は間違ってはいないとも思うのです。

 

>  日本人はチーム内で調整機能としてうまく働けるということです。
たとえばアフリカの活動地ではスタッフの出身国や言語の背景などから、ヨーロッパ系、アフリカ系が各々自分たちだけで集まってしまうことがあるそうです。そんな時、自分は真ん中にいるように心がけているし、日本人はそれを期待されていると思う、と。[…]
日本が平和を重んじて外に軍隊を出さないという点も、国際社会の調整役として信頼につながっていたと別のところで聞きました。ですから、武器使用を許された自衛隊が南スーダンに駐屯することがニュースになったときは、他国のスタッフからも惜しいという声がありました。(157-158頁)

日本に、戦地に自衛隊を出せなんて言ってるのは、それで武器を買わせたいアメリカだけだよ。他国に10億で売る武器を、日本には20億で売れるんだもん。


『国境なき医師団を見に行く』 いとうせいこう

2019年11月28日 | 読書日記

『国境なき医師団を見に行く』 いとうせいこう
¥1,850 講談社 2017/11/28発行
ISBN978-4-06-220841-3

Yahoo!ニュースで連載してて、時間がある時にまとめて読もうとブクマしたまますっかり忘れてた。のが、書籍化されてたと最近知って、読んでみた。私はやっぱモニタで読むより紙の本のほうが読みやすいなあ。電子書籍のほうが手軽だし荷物にならないし便利だってのも思うんだけど。

 

> 「2000年に戻りましょう」
 その年のどんな話になるのかと思うと、クリストス氏は続けた。
「つまりHIVの問題です。エイズが蔓延し、全世界で対応せざるを得なくなった。すると患者とその周囲の人々が自主的に組織化を始め、法的に闘いだしたんです。[…]私はね、現在の難民・移民の問題もこれとよく似ていると思うんです」(166頁)

 

日本もいい加減、世界から目を背け井の中でふんぞり返ってばかりいるのをやめるべきなんじゃないか。難民問題しかり、外交問題しかり、経済問題しかり……。


『一丁目一番地の謎』 平石貴樹

2019年11月25日 | 読書日記

『一丁目一番地の謎』 平石貴樹
¥2,200+税 松栢社 2019/7/1発行
ISBN978-4-7754-0259-7

エッセイ集。

そう、エッセイ集なんですよ。なのになぜかタイトルから「日本中の一丁一番地を探し求めるゆる探記」だと思い込んでしまったのだな。
読み始めて、ぜんぜん一丁目一番地と関係ない、と思ってもまだしばらく「この前哨戦から本戦につながるのだろう」と期待していた私の思い込みの激しさが我ながら不思議だ。
おかげで普通だったらまず手を出さないはずのフォークナー論を読んでしまった。
こんな勘違いでもなければ読む機会はなかっただろう。なるほど文学研究者というのはこのように読むものなのか、と新鮮であった。

そして一丁目一番地の謎は、ラスト近くの8頁のエッセイでした。
思わず自分が住んでる住所の一丁目一番地はどこなのか調べてしまいました。なるほど、あそこの角か…。

 


『私がオバさんになったよ』 ジェーン・スー

2019年11月20日 | 読書日記

『私がオバさんになったよ』 ジェーン・スー
¥1,400+税 幻冬舎 2019/3/15発行
ISBN978-4-344-03441-9

タイトルに呼ばれて読んでみた。おもしろかった。正直、軽く読み飛ばせるような、内容スカスカのエッセイかなと思ってたので(失礼)嬉しい誤算であった。読み応えあったよ!

対談集。
光浦靖子、山内マリコ、中野信子、田中俊之、海野つなみ、宇多丸、酒井順子、能町みね子。
知ってる人も知らない人もいる。芸能人もいれば文筆家に脳科学者までと幅広い。

 

> 山内:女性が自ら「女の敵は女」とか言っちゃうのも、男性へのリップサービスみたいなものなんだけど、実はそのイデオロギーって、本人が気づいていないレベルで深く染みついている。そこを壊さないと、女性はどこにも行けない。(48頁 山内マリコ)

 

> 中野:みんな不寛容はいけない、仲良くしましょうって口では言うんだけど、基本的にはまぁ、いいことなんですけれど。でも、この仲良くしましょうこそが不寛容の素になっているということに誰も気づいていない。
ジェーン:「仲良くする」っていうのは同調圧力でもあるからね。
中野:[…]「仲良くしましょう」は、みんなの和を乱す者、その和を外れた者を許しませんという閉鎖性の表れだね。(69頁 中野信子)

 

> ジェーン:器官が活発に動けば、結果として絶えず意識は生まれちゃうわけじゃん。いわば意識は産廃だよ。生きるという行為の産廃として意識がパッと出る。それが誰との間に立ち上がるか、どこに置かれるかによって機械のパフォーマンスが変わるならなんのために生きるかといえば、機械にベストパフォーマンスをさせるためだ。(98頁 中野信子)

 

> ジェーン:例えば、相手の面白いギャグに同じくらい面白いギャグを返せば仲間になれるのが私の知ってる女子高ルールだったけど、男の子相手だとギャグにウケて笑った方が仲間になれるとか。ルールがちょっと違う。(180頁 宇多丸)

 

> ジェーン:私はもっと辛辣でした。そしてもっと断罪してた。それをやってはいけない理由がようやくわかった。マナーとしてとかトラブルになるからじゃなく、自分が人を断罪するときに基準になるものと全く違う基準で生きてる人たちがいるから。まず相手の気持ちになるという、人としての大前提が私には欠けていたと思う。(191頁 宇多丸)

 

軽い語り口で、実はそうとうすごいこと言ってるよ。胸にずきゅん! と来た。 


『期待はずれのドラフト1位』 元永知宏

2019年11月18日 | 読書日記

『期待はずれのドラフト1位 逆境からのそれぞれのリベンジ』 元永知宏
¥860+税 岩波書店(岩波ジュニア新書) 2016/10/20発行
ISBN978-4-00-500843-8

期待はずれというほどの期待はずれでもないのではないかしら。
それなりに活躍してるじゃん? ドラフト1位というのはこれでは足りないということなのか。

読んでると、日本のプロ野球は、ていうか球団にもよるんだろうけど、いや監督やコーチのそれぞれの個人的問題なのかもしれないけど、選手を尊重してないっぽくてイマイチだわねー。

> 「バッターをどう打ち取るかに集中すべきなのに、監督の顔色を気にして、怒られないか、交代させられないかを心配するピッチャーが多いのに驚きました。ビクビクしながら投げて抑えられるわけがありません」(82頁 多田野数人)

カッコいい監督やコーチもいるんだけどね。15~16頁で水尾嘉孝が語る仰木監督はいいなあ(笑)。