読書とかいろいろ日記

読書日記を中心に、日々のあれこれを綴ります。

第609号 『ロジカルな田んぼ』

2015年01月25日 | メルマガお奨め本

***********************************************
メルマガ お奨め本
2015年1月25日発行 第609号
***********************************************
『ロジカルな田んぼ』 松下明弘
¥850+税 日本経済出版社 2013/4/8発行
ISBN978-4-532-26196-2
***********************************************

仕事・稲作。趣味・稲作。特技・稲作――。

著者の松下明弘は自他ともに認める日本一の稲オタク。
静岡県藤枝市で有機JAS認定を受けて米作りをしている。
松下が新しい農業のかたちを語る。


タイトル通り、実にロジカルです。

>  雑草はなぜ生えるのか? なんのために耕すのか? 肥料を入れないとどうなるのか? 放っておいたら稲は育たないのか? なぜ田植えが必要なのか? 土を育てるってどういうことか? なぜ田んぼに水をはるのか? おいしい米とおいしくない米の違いは何か? どうして病害虫にやられるのか? そもそも土ってなんなのか……。(5頁)

そうした疑問に、経験と知恵で答えを求め続けて、今も考え続けている。
29歳で初めて米作りを始めて、稲作に関するありとあらゆる本を読み、名人と呼ばれる人たちに会いに行き、話を聞いた。
といっても、聞いた話がすべてそのまま役に立つわけじゃない。
今、松下は見学者にすべてオープンにしているそうです。肥料の配合から田んぼ整備の仕方まで。
それが見学者にそのまま通用するわけじゃない。
土地が違えば気候も違う。日照時間、気温、降雨量、土の栄養も違うし水はけも違う。
どんな名人の完璧な手法も、そっくり真似ては意味がない。
情報をカスタマイズして、自分の田んぼに合うように、考えること。

たとえば、昔は、深く耕せば耕すほど収穫が増えると信じられていました。人力や、せいぜい牛を使って耕すしかなかった時代。
土の浅いところに生息する好気性菌と、深いところの嫌気性菌。
深く耕すといっても好気性菌の層が限界だった時代、有機肥料しかなかった時代には、耕せば耕すほど、肥料が空気に触れて、分解が進む。
今は機械を使って簡単に深く耕せます。肥料も化学肥料だから即効性がある。深く耕すメリットは化学肥料にはない上に、機械で深く耕しすぎて嫌気性菌の層まで掘り返されてしまって、メタンガスが発生する。

……古い感覚、古い言い伝えの上に、理由を考えることなく新しい道具を接ぎ木してしまった例です。


考えて、実践して、考えて、試行錯誤を繰り返して。
いやもう、読んでてワクワクしてしまいますね。

自ら稲オタクを名乗る松下の、コメにかける愛情、ハンパないです。
何か一つことに夢中になって体を動かす人って、どうしてこんなに魅力的なんでしょうね。
さらに松下は、自分だけが楽しく米作りができてればいいやとは思ってない。
日本の農業の将来まで見据えてる。
頼もしいですね~~~。


> 若い世代が胸をはって「これが俺の職業だ!」と稲作を語る。そんな時代にするには、何が必要なのか。これからの私の大きなテーマです。(237頁)








☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆

ロジカルな田んぼ (日経プレミアシリーズ)
松下 明弘
日本経済新聞出版社

***********************************************
まぐまぐにてメルマガ配信中。
よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。


第608号 『しなやかな日本列島のつくり方』

2014年12月28日 | メルマガお奨め本

***********************************************
メルマガ お奨め本
2014年12月28日発行 第608号
***********************************************
『しなやかな日本列島のつくりかた 藻谷浩介対話集』 藻谷浩介
¥1,200+税 新潮社 2014/3/15発行
ISBN978-4-10-335371-3
***********************************************

一年の最後に、この本を紹介できることを嬉しく思います。
日本はまだまだ捨てたもんじゃない、まだ頑張れる、そう思わせてくれる本です。



第一章 「商店街」は起業家精神を取り戻せるか    新雅史(社会学者)
第二章 「限界集落」と効率化の罠         山下祐介(社会学者)
第三章 「観光地」は脱・B級志向で強くなる 山田桂一郎(地域経営プランナー)
第四章 「農業」再生の鍵は技能にあり     神門善久(農業経済学者)
第五章 「医療」は激増する高齢者に対応できるか    村上智彦(医師)
第六章 「赤字鉄道」はなぜ廃止してはいけないか 宇都宮浄人(経済学者)
第七章 「ユーカリが丘」の奇跡       嶋田哲夫(不動産会社社長)

どこを読んでも目ウロコの連続でした。
なるほどっと付箋を貼っていったら付箋だらけに。
ぜんぶを引用したらすごい文字数になってしまうので、特に印象的だったところだけ、以下に紹介。

> 「商店街ってのは、弱小な一個人が事業者として、大組織や大手資本に対抗しながらなんとかやっていける地域でただ一つの空間なんだ」(38頁)

> 学校をなくすことは、進行中の少子化を間違いなく加速させます。(65頁)

> そもそも、A級品がないところにB級品は存在できないのに、いきなりBだけ作るから話がおかしくなるんです。(93頁)

> 農業の良し悪しは、基本的に太陽光線をいかに有効に使うかなので、そこで規模の経済が働く要素というのは、本来非常に少ないわけです。(122頁)

> 子どもも持たずに生活費を切り詰めている人が、低賃金長時間労働をしてGDPを維持している。企業の側も、子育てができないほどの給料しか払わないことで採算を確保している。[…]でもそれは、GDPの計算上はまったく表れてこないんです。(161頁)

> 道路や駐車場に何十億、下手したら100億円以上かけるということには誰もなにも言わなくて、鉄道会社は一億、いや一銭でも収支がマイナスであれば「赤字だ」と文句を言われる。(171頁)



この本で藻谷と対談している人たちがもっともっと力が発揮できる環境を整えることができたら、日本も安泰だろうになあ……。


選挙のたびに、この国の未来に絶望しそうになる。
政治のニュースには暗澹たる思いを抱く。
日本という国が嫌いなわけではないのに、この国に暮らし続けることが恐ろしくなる。今はまだなんとかなっていても、五十年後、百年後に、いったいどうなっているんだろう。

けれど、このまま破滅へ一直線ということはないはずだ。まともな人たちが無数に存在しているのだから。
きっと日本中に、こうした人たちがいるのだ。ニュースの表舞台に現れないだけで、まともな人たちはちゃんとまともに活動している。それぞれの分野で。


私たちも、彼らに恥ずかしくない行動をしよう。
嘆くだけでなく、怒るだけでなく。
そして将来に希望が持てる未来をつくるのだ。


希望の言葉で一年を締めくくってみました。
2014年、今年もご購読ありがとうございました。
来年2015年も、マイペースで発行していきたいと思います。
見捨てずにおつきあいいただけたら嬉しいですm(__)m。

では皆様、よいお年をお迎えください!! (≧∇≦)b


☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆

藻谷浩介対話集 しなやかな日本列島のつくりかた
藻谷 浩介
新潮社

***********************************************
まぐまぐにてメルマガ配信中。
よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。


第607号 『海うそ』

2014年12月14日 | メルマガお奨め本

***********************************************
メルマガ お奨め本
2014年12月14日発行 第607号
***********************************************
『海うそ』 梨木香歩
¥1,500+税 岩波書店 2014/4/9発行
ISBN978-4-00-022227-3
***********************************************

小説を紹介するのは久しぶりです。
最近、ノンフィクションばかり紹介してました。別に狙ってたわけじゃないんですけど~。
今日ご紹介するのは梨木香歩の小説です。


舞台は昭和初期。南九州の遅島。
人文地理学の研究者である秋野は、大学の夏期休暇を利用して遅島の現地調査にやってきた。

島には800メートル級の山々が続き、平地は少ない。高度で植生が変わり、低地に野良ヤギが多く、高地にカモシカが棲む。
少ない平地に家を建てて人が住む。集落は山を隔てて言葉も暮らしぶりも異なる。

明治初年まで、この島には大寺院が存在した。
廃仏毀釈の嵐が吹き荒れた頃、五百年以上続いた修験道の寺は徹底的に破壊された。
「何百年も続いてきたものが、ほとんど一瞬のように滅んでしまう。そのことを、どうとらえていいのか……」

島で出会った人々から伝承を聞き取り、家の間取りを見、山を歩き回り、メモを取り、スケッチをし、古い文書を読む。
文書の中にあった「海うそ」の文字。それはどうやら蜃気楼のことらしい。


宿をとった家の嘉助爺さん、ウネ婆さん。
山あいの西洋館に住む老人、山根氏。書生の岩本君。
カギ家に住む梶井君。


…………五十年後、再び訪れた遅島は、一大レジャーランド構想が持ち上がって開発工事の只中だった。
九州本土まで伸びる大橋。堂々と走る海岸道路。セメントのために削られた山の稜線。
伝承は語る者を失い、地名は変化する。
秋野は喪失に戸惑う。



> 存在の奥の方で、世界ぜんたいに対する「不信」が起こっている。それが、表面に現れて来ず、それだけに厄介な広がり方で自分の精神の奥が蝕まれている。そして、そのことに対して、実は抗う気力もない――(58頁)

> 私が行ってみないだけで、行ってみたらそれは今でも、草の中に横たわっているのかもしれない。ひとが見る見ないに関係なく、ただそこに在る、というふうに。
>  けれど、この、胸を引き千切られるような寂寥感は。(130頁)


色即是空。空即是色。
五十年前、島を訪れたのは両親と婚約者を続けざまに失った後だった。
喪失を抱えた身が島に見たもの。歩き続け、見つめ続けて、立ち現れる真実。



梨木香歩、やっぱり好きですねえ。

文章の味わいも、登場人物たちも、その語る言葉も。

梨木香歩が綴る物語世界の住人になりたいなあ~と思うのですよ。


☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆

海うそ
梨木 香歩
岩波書店

***********************************************
まぐまぐにてメルマガ配信中。
よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。


第606号 『原発ゼロで日本経済は再生する』

2014年12月07日 | メルマガお奨め本


***********************************************
メルマガ お奨め本
2014年12月7日発行 第606号
***********************************************
『原発ゼロで日本経済は再生する』 吉原毅
¥800+税 KADOKAWA 2014/4/10発行
ISBN978-4-04-653425-5
***********************************************


原発推進を訴える人々の主張は、
「原発を止めると日本経済は大変なことになる」
ということ。
政界も経済界も、口をそろえる。

本書の著者は城南信用金庫理事長。
金融機関のトップが、真っ向から反対を唱える。

本当に原発を止めたら日本経済は立ち行かなくなるのか?
そんなことはない、と吉原は断言する。
なにしろ、福島第一原発事故後、大企業は続々と自家発電設備を増設している。
2011~2年の二年だけで、増設発電量は原発10基分以上にあたる。
省庁はPPS(特定規模電気事業者=Power Producer and Supplier つまり「新電力」)に切り替え、大企業は自家発電。
ほんとうはこの国は既に、原発がなくては困る状態などとうに脱している。

ではなぜ原発にこだわるかといえば、そこに利権があるから。
既得権益があるから。
それを手放したくない原子力ムラの住人たちが、利己主義的自己中心的主張を繰り返しているに過ぎないのだ。

このまま「古い電力」である原発など再稼働する必要はない。むしろ脱原発に舵を切ったほうが、経済の拡大要因になる。
新しい発電技術、節電技術、蓄電技術を開発し、電力の地産地消が進み、水素を用いた新たな配送方法が発達し……。それらの新技術の担い手が、中小企業であり、ものづくり企業が活躍すれば新しい時代の展望が開ける。

カネの繋がりを断てば、状況は変わる。
電力業界の規制を撤廃し、分割・民営化して、権力を解体するべきである。
東京電力のような巨大な企業こそ、株式会社ではなく、協同組合組織がふさわしいのではないか。


そう訴える吉原は、城南信用金庫として保有していた東京電力のすべての株と社債を売却し、2011年4月には「原発に頼らない安心できる社会へ」とのメッセージを発表した。



……思うんですけどね、ぶっちゃけ、これだけの事故が起きて、まだ収束なんて全然してなくて、除染も進んでなくて、汚染水垂れ流しまくりで、いったいいつになったら「安心」なんて言える状態になるのか誰にもわかんなくて、それでなくても核のゴミの処分方法すら確立してなくて、と、これだけマイナス要因しかない原発を、どうして推進しようという気になるのか、それが不思議で仕方がないんです。
見かけの安価も、じつはいろいろカラクリがあって、実際には火力発電よりコストが高いってのもいい加減バレバレだし。
それでもまだ原発推進を訴える人たちって、国民を舐めてないか? 上から押さえつければ諦めるだろう、大丈夫だって言い続けとけば流されるだろう、くらいに思われてないか? 
舐めてくる連中相手に、唯々諾々として従う理由はないだろう。


ところで、著者の吉原毅が理事長を務める城南信用金庫とはどういう組織か。
恥ずかしながら、発行人は本書を読むまで銀行と信用金庫の違いを知りませんでした。銀行よりも小規模で地域限定なのが信用金庫くらいに思ってた。
信用金庫は協同組合組織の非営利法人で、銀行とは経営理念が根本的に異なる。
地域で集めた資金を地域の中小企業と個人に還元することで地域社会の発展に寄与することが設立目的。営利法人である株式会社の銀行が、利益を上げることを経営の第一目的とするのとは、なるほど違うわけだ。

城南信用金庫の創業者の遺訓は、
「一にも公益事業、二にも公益事業、ただ公益事業に尽くせ」
第三代理事長の口癖は、
「銀行は金儲けが目的です。私たちは社会貢献を目的とした共同組織金融機関で、公益的使命を持っている。銀行に成り下がってはいけませんよ」

うわー、なんかイイじゃないですかーっ。
信用金庫に口座開こうかなあ。 ← 影響受けやすすぎ(爆)。





>  原発停止によって貿易赤字に転換したことで、為替が円安になり、デフレ不況が解消しつつある。貿易赤字、経済収支の赤字は、経済学的にはまったく問題ない。[…]企業や家計の赤字と国家の赤字とは根本的には意味が異なる。(37頁)


> 残念ながら、安倍首相は経済学の基本を知らない。大きな勘違いをしている。[…]安倍首相の「四兆円発言」は、そうした点を理解していない何よりの証といえる。(38-39頁)


原発がなくても日本経済は大丈夫。
むしろ脱原発こそが、日本経済を活性化させる。

ていうか、原発なんかに依存してるんじゃ、ヤバイよマジ。


来週は解散総選挙投票日です。
原発問題のみならず、経済問題にしろ、集団的自衛権問題にしろ、国民への説明責任ひとつ果たさずにいる政党がこれ以上調子に乗らないよう牽制するためにも、熟慮の一票を読者の皆様にお願いします。
現与党に白紙委任を委ねるのは、あまりにも恐ろしい…………。




☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆

原発ゼロで日本経済は再生する (角川oneテーマ21)
吉原 毅
KADOKAWA/角川学芸出版

***********************************************
まぐまぐにてメルマガ配信中。
よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。


第605号 『雪の結晶 小さな神秘の世界』

2014年11月30日 | メルマガお奨め本

***********************************************
メルマガ お奨め本
2014年11月30日発行 第605号
***********************************************
『雪の結晶 小さな神秘の世界』 ケン・リブレクト
¥1,600+税 河出書房新社 2014/10/30新装版発行
ISBN978-4-309-25306-0
***********************************************

冬、上着に降った雪の中から結晶を見つけてうっとり眺めた経験が、誰でも一度や二度はあると思います。
自然が創りあげる驚異の造型美。
完全に同じ形の結晶は二つとない。すべてが唯一無二。

この美しさに囚われる者は古今あとを絶たず、雪の結晶に関する本ならこれでもかというほど出ています。
写真集も、絵本も、エッセイ集も、学術書も。

本書もたいそう美しい写真の宝庫。
しかし写真集ではないのです。

> スノーウォッチングはレクリエーションとして正当に評価されていないと、私はつねづね不満に思っている。[…]そうか、スノーウォッチャーが少ないのは、これまでスノーウォッチングのためのいいガイドブックがなかったからだ!(7頁)

本書は雪の結晶を見つけて楽しむための、ガイドブックなのです。


雪の結晶ができる仕組み、湿度と温度による結晶形のでき方、結晶の模様や装飾の名称、それに大まかな分類。

読み進むうちに、この冬は雪が降ったらぜったいウォッチングしよう! と思えてきます。
この本に載っているような完全形は無理でも、ちょっと溶けかけていても、そこそこきれいな結晶はきっと見つけられるはず。

でも写真に撮るのは難しいだろうなあ。
巻末まで進むと、撮影方法も紹介されています。セッティングの方法も。
顕微鏡レンズの選び方、著者の好みはミツトヨ製らしいwww。
光の当て方やカラーフィルターでもずいぶん見え方が変わる。
ていうか、こういうフィルターがあるんですね、ってとこからですけど、私は。
やっぱりケータイカメラじゃ無理ですかね(笑)。


単純に写真集として眺めても美しいです。
それは表紙を見ただけでもお分かりいただけると思います。
薄紫色を基調とした、冷ややかな美しさ。
六方向に伸びる枝の、繊細で複雑怪奇な造形。
星形の樹枝、シダ状星形、扇形、星形角板……。
星の結晶でイメージするのは、星形樹枝でしょうね。いやー、ほんとにキレイ。

ルーペをひとつ買っちゃおうかなーと企んでいる発行人です。


☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆

雪の結晶
ケン リブレクト
河出書房新社

***********************************************
まぐまぐにてメルマガ配信中。
よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。


第604号 『ロボコン イケてない僕らのイカした特別授業』

2014年11月23日 | メルマガお奨め本

***********************************************
メルマガ お奨め本
2014年11月23日発行 第604号
***********************************************
『ロボコン イケてない僕らのイカした特別授業』 ニール・バスコム(松本剛史・訳)
¥1,800+税 集英社 2014/6/30発行
ISBN978-4-08-773485-0
***********************************************

「ロボコン」と言われれば、発行人の頭にまず浮かぶのは高専ロボコン。
初めてNHKの番組を見たのはいったい何年前だったろう。高校生がこんなの作っちゃうの!? と仰天し、テレビにくぎ付けになった記憶があります。いや、高専生は高校生より年上なわけだけど、それでも。


本書はそのロボコンとは違って、舞台はアメリカ。
アメリカにはいろんなロボコンがあって、その中の高校生ロボット世界選手権「FIRST」(For Inspiration and Recognition of Science and Technology)における実際のチャレンジ風景を追ったノンフィクションです。


モノづくりの土壌の衰えに危機感を募らせているのは日本だけではなく、アメリカも同様。子どもたちに好きなスポーツ選手や映画スターの名前を聞けば、目を輝かせて答える。けれど科学者や発明家の名前を聞いても首を振る。子どもだけでなく、大人でも。
FIRSTを立ち上げたディーン・ケーメンは、そんな現状を憂いてこの大会を構想した。

>  この国を経済の超大国にしたのはウォールストリートではない。[…]発明家や科学者、エンジニア、起業家たちの努力のたまものなのだ。
> 「アメリカが今の生活水準を保っていくには、生産的でありつづけるほかない」(39頁)


本書の主役は、カリフォルニアのドスプエブロス高校、ド・ペンギニアーズ・チーム。最上級生の四年生だけで構成されていて、このプロジェクトで学校の履修単位がもらえる(ほかのチームは学年混成が多い)。
ここがアニメやなんかとちがうところで、チームといっても一致団結した心の通いあった仲間たち、なんかじゃない。仲のいい子も悪い子もいる。お互いに口もきかないような子たちも。

それでも目標に向かって足並みを乱しながらも突き進む。
そのとき、中心になるのは教師。
熱血教師のアミールが八面六臂の活躍をして、彼のもとで高校生たちは本気でロボットに取り組み、チームの一員として成長していく。

理想に燃える指導者という存在が、高校生たちにとってどんなに大きいか。
教育者というものが、理想論だけで語られるべきではないのは承知の上で、それでもやはり特別なんだよなあ。

> 「先生には、この国の教育全体を変えるっていうすごい目標があるんだ。尊敬しないわけにはいかないだろ?」(157頁)


ロボットの製作は思い通りにいかなくて、スケジュールの遅れにドキドキハラハラ。
会場に着いてからも最後の調整でやきもき。
試合が始まれば手に汗握る大熱戦!

みんなカッコいいよ!


>  工具ベルトとつなぎに身を固め、歯車比やコンピュータコードの話をする高校生たち。[…]彼らと、そして彼らに声援を送る何万人ものファンたちが賛美するもの、それは発明と知性だ。
>  これこそがこの国の新たな文化だ。新たな〝カッコよさ(クール)〟の形なのだ。(18頁)


> 「ロボコンがクールかどうか知らないけど、何かにものすごく打ちこんで、必死になってやるのは、けっこうクールなんじゃないかと思う。何をやるんでもさ」(4.3頁)


もともとロボコンに興味があれば一層楽しいと思うけど、ロボコンという言葉も知らなかったような文系の人も、楽しめると思うな。


----------------------------

前回のメルマガで、書名が文字化けしてしまってました。すみません!

『くん拾帖』 「くん」は手偏に君 です。
たいへん失礼しました~~~m(__)m。




☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆

ロボコン イケてない僕らのイカした特別授業
ニール・バスコム
集英社

***********************************************
まぐまぐにてメルマガ配信中。
よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。


第603号 『捃拾帖』

2014年11月09日 | メルマガお奨め本

***********************************************
メルマガ お奨め本
2014年11月9日発行 第603号
***********************************************
『東京大学の学術遺産 捃拾帖』 モリナガ・ヨウ
¥1,100+税 KADOKAWA(メディアファクトリー新書) 2014/6/30発行
ISBN978-4-04-066795-9
***********************************************

捃拾帖(くんしゅうじょう)とは、田中芳男という人がつくった100冊近い数のスクラップ帳のことです。
幕末から明治・大正時代にかけての、チラシや領収書、お菓子の包み紙、ラベルにパンフレット。
スクラップ帳の性質上、中身を博物館などで展示されることもなく、人目に触れることが少ない。貼られた「その時」で止まっているのです。

貼られたそれぞれに説明はほとんどついていません。
モリナガヨウがコメントつけてますけど、あんまり学術的ではないな(笑)。


さて、捃拾帖をつくった田中芳男とはどういう人物か?
詳しい人なら名前だけで、「ああ、田中芳男ね」と分かるのだろうけど、発行人は聞いたことなかった。読者の皆さんもそういう人が多いと思うので、本書内で紹介されている田中の業績を、そうとう要約されている紹介文からさらに端折って引用すると……。

緒方洪庵から任されて九段坂上の薬草園を管理するとともに薬草栽培に従事し、舶来植物に菊芋と命名してその効用を発表し、英和対訳辞書を著述し、日本で初めてリンゴの接木に成功し、日本で初めて博覧会を開催し、明治6年のウィーン万博に政府代表として参加し、上野動物園の礎を築き、『有用植物図説』を著し、小笠原諸島を開拓して日本で初めてコーヒーの栽培に成功し、明治9年のフィラデルフィア万博に政府代表として参加し、日本で初めてコンクリート住宅を自宅として建築し、元老院議官や貴族院議員の任に就き、男爵の位を授与され……。

……やっぱ、ひとことで言って偉い人としか言いようがないですね。

 田中に限らず、本草学者はフィールドワークの記録として「貼り交ぜ帖」をつくっていたのだそうです。そんな中でも、田中の捃拾帖はすごいってことなんでしょうね。ほかの貼り交ぜ帖知らないけど。


スクラップ帳の内容を紹介する本だから、くだくだしい言葉を連ねても仕方がない。一度見てみてください。楽しいよ~。

せっかくのカラー新書なので、史料としての価値よりも、「見た目がきれいなもの、おもしろいもの」を意識して選んだ、とモリナガが書いています。
そうなんですよ。きれいでおもしろいんですよ。
私には学術的価値なんてわかりませんからね。

例えば28ページ。
悪病除けの摺りもの。怖い鬼の絵柄で病気を避けようとする……って、こわくない、この鬼ぜんぜんこわくない! むしろかわいい!
58ページのフルーツグラッセの包み紙はいかにもヨーロッパ風に品があってキレイ。
132ページと158ページの鶏卵のラベルは鶏卵らしくないけど、絵として美しい。
176ページには「貴島執事」の印のある受け取りが。おお、リアル執事!
260ページのガスライフの広告は七福神が楽しい。
273ページのミキモトのカレンダーは今でも通用しそうなデザイン。


> 明治も後半になると洋紙が増え、経年劣化で紙の質が悪い感じになってきます。めくりづらく、それ以前のものより、かえって時間の経過を意識せざるを得ません。(256頁)

和紙ってすばらしいんだなあ。

> 研究者の誰もが「その価値は計り知れない」とし、要するによくわからないから取っておかれた『捃拾帖』ですが、現物をきちんと保管している東京大学図書館という場所があるからこそ、安心してそういう態度が取れるのです。(283頁)


まったくです。
この本で、私たちは捃拾帖の一部に触れることができましたが、それは本当にほんの一部。
将来、本格的に調べたいと思う学者さんや、解析技術が進んでいろんな視点からの調査が求められたときに、東京大学の耐火書庫から取り出されるのでしょう。
それまで今まで通り保管され続けるのでしょう。
「とりあえず取っておく」、ありがとう、東京大学図書館!



☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆

東京大学の学術遺産 君拾帖 (メディアファクトリー新書)
モリナガ・ヨウ
KADOKAWA/メディアファクトリー

***********************************************
まぐまぐにてメルマガ配信中。
よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。


第602号 『日本のヴァイオリン王』

2014年09月21日 | メルマガお奨め本

***********************************************
メルマガ お奨め本
2014年9月21日発行 第602号
***********************************************
『日本のヴァイオリン王』 井上さつき
¥2,700+税 中央公論新社 2014/5/10発行
ISBN978-4-12-004612-4
***********************************************

副題:鈴木政吉の生涯と幻の名器


著者・井上さつきは、1900年(明治33年)パリ万国博覧会の楽器部門の受賞者リストに鈴木政吉の名を見つけ、衝撃を受けたのだという。
鈴木バイオリン製造株式会社の創業者で、元は三味線職人。幕末に生まれ、明治・大正・昭和の時代を生きた、一人の天才楽器職人の人生を描くノンフィクション。


音楽的素養が完璧に欠落している発行人は、ヴァイオリンの現物を触ったことすらないのですが、私に限らず、ちょっとばかり敷居の高い楽器というイメージを持っている方は多いのでは。

けれど、ヴァイオリンという楽器の扱いが、現代と当時とでは相当違っていたらしい。
明治五年に近代的な教育制度が敷かれたとき、小学校では「唱歌」が教科として置かれていた。その伴奏としてオルガンが使われたが、すべての小学校に直ちにオルガンが行き渡ったわけではない。そういう学校では、ヴァイオリンが使われた。

手軽に持ち運べ、ピアノに比べて安価なヴァイオリンは、今よりもずっと身近に愛された。
琴などの和楽器と合奏したり、流行歌の伴奏をしたり。通信教育も盛んだった。
流行の後押しをしたのは、国産の量産ヴァイオリン。
鈴木政吉は、ヴァイオリンを量産化するために工程の機械化を進め、名古屋では豊田佐吉と並ぶ発明家と呼ばれた。多くの職工を抱えた工場は最先端と賞賛を集めた。


ところが、時代が下り状況は変化していく。
名人の手工ヴァイオリンが海外から輸入されるようになり、量産ヴァイオリンが低く見られるようになる。
蓄音機の普及などでその芸術性と奥深さが知られることで、手軽に弾かれていたヴァイオリンが、敬遠されるようになり……。



> (蓄音機の普及により)それまで唱歌などを曲がりなりにも弾いて自分で楽しむことで満足していたアマチュアが、名演奏家の演奏に接したとき、その音楽の深さ、その楽器の真のむずかしさに直面する。
> ヴァイオリン音楽に人々が飽きたので、ヴァイオリン離れが起こったのではなく、ヴァイオリン音楽の奥深さを人々が知ってしまったために、ヴァイオリン離れが起こったともいえるだろう。(214頁)


> 鈴木ヴァイオリンが「工場製品」であり、工場に多くの機械が導入されていることは、それまではまったく問題にならず、むしろ、賞賛されるべきことであった。しかし、大正後年になると、量販品と手工ヴァイオリンとの違いや、クレモナ製の銘器の存在がクローズアップされてきて、日本人の量産ヴァイオリンに対する意識が変化した[…](220頁)


> 明治時代、政吉がヴァイオリンを作り始めたとき、いわゆる芸術作品としてのヴァイオリンの製作のことはまったく念頭になかった。政吉は良い品質のヴァイオリンを大量に作ることに精力を傾け、機械を考案・導入し、工場方式による生産を発展させた。(291頁)


日本におけるヴァイオリンという楽器の位置の変化と、振り回される鈴木政吉の人生。
なんという波乱万丈。
激動の時代、突き進んだ一人の男の企業家精神。

ヴァイオリン王の名にふさわしい男の一代記です。


☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆

日本のヴァイオリン王 - 鈴木政吉の生涯と幻の名器
井上 さつき
中央公論新社

***********************************************
まぐまぐにてメルマガ配信中。
よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。


第601号 『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』

2014年08月31日 | メルマガお奨め本

***********************************************
メルマガ お奨め本
2014年8月31日発行 第601号
***********************************************
『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』 佐々涼子
¥1,500+税 早川書房 2014/6/25発行
ISBN978-4-15-209460-5
***********************************************

東日本大震災で、壊滅的な被害を受けた日本製紙石巻工場。
奇跡の復興を成し遂げた職人たちの闘いを描くノンフィクション。


被害を受けたのは日本製紙だけではなくて、誰もが被災者で、誰もがそれぞれに傷を負い、悲劇を背負い、立ち上がるために必死に力を振り絞っている。
日本製紙だけが特別なんじゃない。
それでも、なにしろ「紙」という出版にとっての基本の基本をつくっている工場なので。
ここにはストーリーがある。
東北が支えてきた日本の様々な業態のうちのひとつがこれで、ほかにも多々ある中の代表なのだということ。
そして瀕死の状態から、彼らはまた立ち上がる。
自分たちのためであると同時に、日本を支えるために。



2011年3月11日、日本製紙石巻工場の建屋に入った津波は約四メートルにまで達した。近隣の家屋の二階部分十八棟が流れ込み、自動車約五百台が水に浸かった。
工場の敷地内で41名の遺体が発見された。

二十四時間水蒸気が吹き上がっていた煙突から、白煙が消えた。マシンを動かす物音一つしない。
工場が死んでいる、と工場長は思った。
誰もが閉鎖を覚悟した。新しく工場を作ったほうが早いんじゃないのか。

絶望を打ち払うために、工場長は、半年後の復興を目標に掲げた。

> 「全部のマシンを立ち上げる必要はない。まず一台を動かす。そうすれば内外に復興を宣言でき、従業員たちもはずみがつくだろう」(106頁)

> 「目標が達成できるか否かはリーダー次第。[…]現場の話を物わかりよく聞いていたら、三年あっても復興工事なんて終わらない」(110頁)

先々週紹介した、『断絶の都市センダイ ブラック国家・日本の縮図』を思い出す。
なにがなんでも成し遂げるという信念が、政府にあるだろうか。本当の意味で被災地を見ているだろうか。
体裁だけ取り繕って、予算を奪い合うことだけが目標になって、だからずるずるといつまでも、形だけの支援を続けて、被災者たちの苦しみを長引かせる。


> 「8号が止まるときは、この国の出版が倒れるときです」(10頁)


紙つなげ! この国の出版を支えているのは自分たちだとの誇りをもって、彼らは半年という目標を奇跡のように成し遂げた。

私たちは、この、ひとつの復興を、奇跡という言葉で終わらせないで、すごいすごいというだけで終わらせないで、駅伝のようにタスキを受け取り、すべきことをし、次へ渡さなければならないのではないだろうか。
たとえば読者という立場を持って、よい本を見極め購入することで。

紙から離れても、東北の被災を他人ごとと思わず自分に引き寄せて考えるというそれだけでも。








☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆

紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている
佐々 涼子
早川書房

***********************************************
まぐまぐにてメルマガ配信中。
よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。





第600号 『クラゲ 世にも美しい浮遊生活』

2014年08月24日 | メルマガお奨め本

***********************************************
メルマガ お奨め本
2014年8月24日発行 第600号
***********************************************
『クラゲ 世にも美しい浮遊生活』 村上龍男、下村修
¥1,000+税 PHP研究所(PHP新書) 2014/5/29発行
ISBN978-4-569-81884-9
***********************************************

発行人、クラゲ大好きです。
クラゲって、どうしてこんなに不思議な形をしてるんだろう。
こんなにキレイなんだろう。
本書は、村上と下村の対談&クラゲの写真集。

加茂水族館館長・村上龍男。
加茂水族館は世界でいちばん飼育するクラゲの種類が多いとギネスブックに認定された、クラゲ水族館。
ノーベル賞受賞者の下村修。
オワンクラゲの研究でイクオリンと緑色蛍光タンパクを発見。

対談ていうか、村上館長が下村博士に説明するって感じですかね。
下村博士はオワンクラゲの研究でノーベル賞を取ったけれど、専門は発光現象であって、光らないクラゲのことはほとんど知らないそうな。
館長さんは、倒産寸前の加茂水族館を建て直すのにクラゲに賭けた人だから、クラゲに対してはそりゃもう思い入れがあって、語り口も熱い熱い。


1964年に開館した加茂水族館は、日本動物園水族館協会に加盟している水族館の中で、最も規模が小さく内容が乏しかった。97年の入館者は9万人。「いよいよ最後のときが来た」と覚悟したとき、サンゴの水槽からサカサクラゲの赤ちゃんが湧いて出て、お客さんが歓声を上げた。
「クラゲに賭けるしかない」
2000年にはクラゲの展示種類日本一となり、2005年には世界一に。
エチゼンクラゲが話題になれば「食べる会」を企画するなど話題づくりに励み、知恵と工夫でやりくりして、ついに今年2014年6月、念願のリニューアルオープンにこぎつけた。


いやー、いい話ですねえ。

下村博士と加茂水族館の関わりがまた、いいんですよ。
2008年に下村博士がノーベル賞を受賞したときにはオワンクラゲを展示の目玉にして集客アップ。季節外れで、ほかにはオワンクラゲを展示しているところがなかったから、日本中から取材が殺到、一気に知名度が全国区に。
感謝を込めて、村上館長が下村博士に手紙を送った。十日後に本人から電話が来て、それまで光らなかった繁殖のオワンクラゲを光らせる方法を伝授してくれた。
それでまたまた報道ネタになって、集客増に。

いい人だなあ、下村博士。

んで、村上館長が解説するわけですよ。
たとえば本書の表紙になってるベニクラゲ。

謎の若返りをするクラゲで、老化が進んでぐちゃぐちゃになって死にかけると、とつぜん幼生のポリプに戻って、改めて成長を開始する。……なんだそれ。わけわかんねーっ。


そういう読み物部分もおもしろかったし、写真集としても美しい。

ハナガサクラゲは今まで私がクラゲに抱いていたイメージを覆した。
なんて華やかなんだ! クラゲがこんなに色とりどりだなんて!
ケムシクラゲもウリクラゲも、チヨウクラゲもヨウラククラゲも、これがクラゲ? と頭がくらくらする。

知らないクラゲにいっぱい出会えました。
うっとり~。





☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆

クラゲ 世にも美しい浮遊生活 (PHP新書)
村上 龍男,下村 脩
PHP研究所

***********************************************
まぐまぐにてメルマガ配信中。
よろしかったらご登録お願いしますm(_ _)m。
http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。