goo blog サービス終了のお知らせ 

読書とかいろいろ日記

読書日記を中心に、日々のあれこれを綴ります。

『ぐるぐる博物館』 三浦しをん

2019年07月16日 | 読書日記

『ぐるぐる博物館』 三浦しをん
¥1,600+税 実業之日本社 2017/6/25発行
ISBN978-4-408-53707-8

博物館とか美術館とか、好きです。
敬老パスみたいなので名古屋市内の美術館博物館行き放題、とかなったらいいのに。そしたら老後の楽しみができるわー。老人の外出機会の創出になっていいんじゃないかなー。

日本中のおもしろ博物館を三浦しをんが回りました。
やだもう、全部あとを追いかけて博物館めぐりしたいよ。個人的にはとくに、龍谷ミュージアムと奇石博物館と石ノ森萬画館にはかねて興味津々です。


『デューン砂の惑星』 フランク・ハーバート

2019年07月12日 | 読書日記

『デューン砂の惑星 1』 フランク・ハーバート(矢野轍:訳)
¥250 早川書房(ハヤカワSF文庫) 昭和47年12月31日発行 昭和48年9月15日四刷

『デューン砂の惑星 2』 フランク・ハーバート(矢野轍:訳)
¥250 早川書房(ハヤカワSF文庫) 昭和48年2月28日発行 昭和48年6月15日二刷

『デューン砂の惑星 3』 フランク・ハーバート(矢野轍:訳)
¥330 早川書房(ハヤカワSF文庫) 昭和48年4月30日発行

『デューン砂の惑星 4』 フランク・ハーバート(矢野轍:訳)
¥330 早川書房(ハヤカワSF文庫) 昭和48年6月30日発行 昭和48年10月15日二刷


昭和48年といったら1973年ですよ。40年以上も前ですよ。
我ながら物持ちいいなあ。

えー、先日カラオケで米津玄師まつりを開催したように、今ちょっとはまってるわけですが。米津のボーカロイド曲に「砂の惑星」というのがあって、ニコニコ動画「マジカルミライ2017」テーマソングだそうですがそういう背景は正直興味なくて、タイトルから連想するのはやっぱ私としてはフランク・ハーバートなんで、懐かしくなって読み返してみました。
表紙・挿絵が石森章太郎(石ノ森ではない)。懐かしいどころじゃない。

たぶん、私が最初に読んだのは高校生くらいだった気がするな…。もともとは姉の蔵書だったはず。
読み始めてすぐ、ああそうだった、この頃のSF小説ってこんな感じだった、こういう文章だった。
ストーリーはほとんど覚えてなくて、3巻の、ポウルが死者を悼んで涙を流し、「かれは涙を流しているぞ!」「死者に水分をあたえている……」とどよめくシーンだけがやけに印象に残っている。(砂の惑星なので水分が貴重なのだ)
マジで、読み返して記憶にあったのはここだけだった。

 


『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』 原武史、三浦しをん

2019年07月02日 | 読書日記

『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』 原武史、三浦しをん
¥1,500+税 KADOKAWA 2019/2/27発行
ISBN978-4-04-107668-2

原武史ってテツの人、という認識でした。天皇家オタの人でもあると、本書で知りました。すみません。

本書は対談集で、五回の対談中に上皇の生前退位発言があったりして、原先生のハンパない天皇家知識が炸裂する様子がよーく見えました。すげえ。

 

> 原  安倍政権は、天皇が女系にさえ移らなければ、あとはすべて妥協するかもしれません。皇居を開放するよりも、女系天皇が嫌なのです。
> 三浦 まじか。どういう理屈なのかまったくわからない。
原  我々には理解しがたい。「万世一系」はたかだか明治から終戦までの間に作られたイデオロギーに過ぎないのにある種の人々にはそれが守るべき「伝統」に見えてしまうんでしょう。その考えが政権の中枢になお生き続けている。(71-71頁)

 

> 三浦 だってはっきり言って、神武天皇は実在しないですよね?
>原  実在していると思い込んでいる政治家もいます。
> 三浦 いやしかし、それだと歴史学の成果はどうなるんですか。神話なのに「実在してる」って。
> 原  そこから先はコミュニケーション不能なんです。いまだに「皇紀二千六百何年」などという人が、神社本庁や「日本会議」、政権の中枢にいる。(73頁)

つまり「学問」というものが理解できてない人たちなんだな。見たいものを見て、信じたいものを信じる。こんな無知な人たちに利用されてしまう天皇家が気の毒だよ……。

 

 

> 原  大正天皇は漢詩のほうが好きなんです、いくらでも長くできますから。題材も葉山でヨットに乗る、日光で馬に乗るといった感じで、漢詩がまるで夏休みの絵日記のようです。(118頁)

大正天皇、かわいいな(笑)。

 

 


『経済政策で人は死ぬか?』 デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス

2019年06月28日 | 読書日記

『経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策』 デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス(橘明美・臼井美子:訳)
¥2,200+税 草思社 2014/10/15発行
ISBN978-4-7942-2086-8

2019.6.16の中日新聞書評欄で、栗原裕一郎氏が紹介していた本。
5年も前の本だったんだな。
だったらもうとうに世界中の経済学者と政治家が、緊縮政策が不況をさらに悪化させると理解していておかしくないのに、そうはならない。人は見たいもののみを見る。けれどそれで犠牲になるのは机上で方針を決める連中ではなく、庶民、特に弱い人たちだ。
政策の選択次第で、経済が復興するか、弱者が命を落とすかが変わる。そして命は決して帰ってこない。

書名の問い、経済政策で人は死ぬか? 答:死ぬ。弱者が。数千、場合によっては数万の単位で。

> 往々にしてイデオロギーに走りがちな経済政策論議にもっと事実を、確かな証拠を持ち込むべきだ(15頁:まえがき)

> 保険医療費関連予算を削減した国では栄養失調やHIV感染が急増したが、予算削減を拒否し、食糧費補助やワクチン接種などを続けたマレーシアではそうした事態は避けられた。(106頁)

> 欧米の大手銀行と同じように、アイスランドの主要銀行も「大きすぎて潰せない」と見なされていたが、アイスランド政府は潰れるに任せた。その決断が正しかったかどうかは、結果を見れば明らかである。多くのヨーロッパ諸国が苦しみ続けるなか、アイスランドは景気回復に成功したのだから。(138頁)

> ここで忘れてはならないのは、医療に市場原理を導入すれば効率的になるかというと、決してそうはならないということである。この点を誤解している人が多い。[…]
 このように、アメリカでは驚くほど医療費が膨らんだが、それは高齢化が進んだからでも、病人が増えたからでもない。[…]
 では何なのかというと、要するに出費に見合う効果が上がっていないだけのことである。アメリカは賢い予防医療などの「ヘルスケア」ではなく、ずっと高くつく「病気のケア」に金を注ぎ込んでいる。(180-181頁)

 

IMFは世界中で迷惑をまき散らしているだけとしか思えないな……。

 


『ユダヤ商人と貨幣・金融の世界史』 宮崎正勝

2019年06月26日 | 読書日記

『ユダヤ商人と貨幣・金融の世界史』 宮崎正勝
¥2,500+税 原書房 2019/3/27発行
ISBN978-4-562-05646-0

ユダヤ商人について知ることで世界の経済がわかる、かも?
ユダヤ教についても知ることができる、かも?
いろいろ無知な私だけれど、なかでも経済と宗教は苦手分野なので、一石二鳥を狙って読んでみました。
よくわかった、とは言わないまでも、わかりやすく読みやすい文章でサクサク読めましたね。ユダヤ教という宗教自体はなかなか親近感を覚える……ていうか、なんでむかしここまでユダヤ教が迫害されたのかはやっぱりわからん。つまりキリスト教が狭量だっただけだな。同じ一神教でもイスラム教徒はずいぶん違う。戦いたがり、迫害したがり、君臨したがる宗教って既に罪だ。

タルムードについて、本書にかかわりのある部分の引用。

>  ユダヤ教の「タルムード」では、キリスト教とは違って「欲望」が人と人を結ぶ接着剤として肯定され、富や財貨の獲得は善なる行為と見なされました。貨幣は、欲望を実現するための「手段」と見なされたのです。「タルムード」には、「体は心に依存している。心は財布に依存している。お金は悪でも呪いでもない。それは人を祝福するものである。人を傷つけるものは三つある。悩み、いさかい、空の財布。そのうち空の財布が最も人を傷つける。聖書は光を投げかけ、金は暖かさを投げかける。金貨が鳴れば悪口が鎮まる」というような言葉も含まれています。(28頁)

人を傷つけるのは空の財布! ご尤も!


『渦 妹背山婦女庭訓魂結び』 大島真寿美

2019年06月20日 | 読書日記

『渦 妹背山婦女庭訓魂結び』 大島真寿美
¥1,850+税 文藝春秋 2019/3/10発行
ISBN978-4-16-390987-5

大島真寿美は中日新聞で「ひろいもののおすそわけ」というコラムを連載していて、本作のことも何度か言及していて、気になってたんですよー。
浄瑠璃作者の近松半二の生涯を描く、実に面白い小説でした。
「妹背山婦女庭訓」はそういう話だったのか、そう読むのか…!
はやや~~~。

大島真寿美は、これを書いてる間、近松半二といっしょに生きてたんだな。いっしょに大坂の町を走り回ってたんだな。いっしょにうんうん唸って書いてたんだな。


『インフルエンス』 近藤史恵

2019年06月17日 | 読書日記

『インフルエンス』 近藤史恵
¥1,500+税 文藝春秋 2017/11/25発行
ISBN978-4-16-390758-1

久しぶりに、近藤史恵のミステリらしいミステリ…ていうか、人が死ぬような、事件が起きるミステリを読んだ。
はー。
やっぱうまいなー。どきどきしましたよ。


団地で過ごした小中高校時代。多感な時期を共に生きた少女たち。
友情と罪。贖罪と赦し。

ある意味では、彼女たちは幸せなのかもしれない。
切れない繋がりを持つ、あっていなくても片時も存在を忘れない相手がいることは。


『へんなおさかな』 小林龍二

2019年06月15日 | 読書日記

『へんなおさかな 竹島水族館の「魚歴書」』 竹島水族館館長 小林龍二・監修 竹島水族館スタッフ・編
¥1,200+税 あさ出版 2018/3/16発行
ISBN978-4-86667-042-3

去年新刊で発売された時に中日新聞で紹介されてて、その記事を読んだ時から読みたいと思いながら読み逃していた。
一年半ぶりに、ようやく手に取りました。

 

カクレクマノミ
出身:サンゴ礁市岩場町イソギンチャクマンション3番地
職歴:ずっと某歓楽街の2丁目でママをやっており女王と呼ばれ数々の男をトキメかせてまいりましたが、このたび、水族館の水槽の中で、部下たちとお店を開くことになりました。(36頁)

 

てな調子で、ぜんぜん学術的じゃないけどおもしろい履歴書ならぬ魚歴書を掲示している竹島水族館。
入館料500円。一度行きたい。

索引があればよかったと思う。
90ページの「点々とする毎日を」とあるのは「転々」ですね。いま行ったら直ってるかなあ。


『刑罰0号』 西條奈加

2019年06月14日 | 読書日記

『刑罰0号』 西條奈加
¥1,700+税 徳間書店 2016/8/31発行
ISBN978-4-19-864221-1

西條奈加はすっかり時代小説作家なのだけど、デビュー作は『金春屋ゴメス』なんだよね。SFファンタジー。

今作も、記憶の画像抽出なんてできるわけがないので、これはSFというよりはファンタジーに近い。
でも、もしこれができるならぜひ実行してほしいものだ。

技術的なところは説明を端折ってるところがずるいというか、うまいというか。

ラスト、『グラウンド・ゼロ』の治療法は存在しないほうが良かったんじゃないかなー。
治療法があるということは、逆もできてしまう。
再びの『グラウンド・ゼロ』を為政者が執ることも可能ということになったらそんな世界は怖すぎる。
最初で最後、研究者を失って二度と実行できない、ということでいいじゃない。治療できなくてもいいじゃない。被爆者たちは治療されなかったんだよ。同じじゃないの。