続・MBAへの道

MBA卒業後の徒然を書き綴ってみようと思います。

改めて、組織開発

2013年05月26日 23時55分15秒 | 人事組織
さて、人材開発の話も迷走しつつありますので、このあたりで視点を変えて組織開発の話に移っていこうと思います。ちょうど先週会社で組織開発の関連テーマで研修に参加したりもしましたので、頭の中に比較的話が残っているうちに、自分の言葉で表現してみたいと思います。

という話でスタートしようと思ったのですが、そういえば以前このブログの中でも「組織開発」なるテーマを取り上げたことがります。2010年の4月ごろですね。その時の関心事は「組織開発とは何か」「組織開発の担い手は誰か」この2点でした。まぁ今回もあまり話は変わらないのですが、という意味ではこの2点は結構奥が深い問いだということでもあるのですが、似たような話をまた少し違う切り口で突っ込んでみたいと思います。

で、まずは自分でも思い出しましょう。前回ここで何を書いたのか。あの時「組織開発」をどう定義したかと言えば、組織の中に「1+1=3」の状態を作り出すこと。もう少し言えば、その状態を作り出すために「要素間の関係に介入し意図的に操作すること」が組織開発なのだと書きました。うーん、我ながら分かりにくい。平たく表現して「組織内の人間関係への意図的な介入」というような言い方もしましたが、どんな感じでしょうか。これで何かのヒントになっているや否や。

それでも、組織開発といった時の本質的な意味は上記のとおりで良いかな、と私は思っています。まぁ同じ人が同じ脳みそでいくら考えても所詮3年ぐらいでは深まらないということでもあります。とはいえ、新たな知見も加わっていますので、その辺りを加味してもう少し考えてみることは有益かなぁと思います。なので、余り進歩はしていませんが、最近の話題のテーマでもありますので、ひとまずこの状態で先に進めていきたいと思います。

広い意味での人材開発

2013年05月18日 22時14分21秒 | 人事組織
人材開発を極めて狭義で捉えると、それは研修体系の構築であり、また個々の研修内容の設計になります。確かに、Off-JTとしての教育研修の場というのも、「人が自ら変化を起こすことを支援する」活動の1つであることは間違いありません。コンテンツが非常にうまく設計されている研修であれば、人の変化を支援する上でかなりの効果が期待できます。Off-JTがそもそも日常の仕事の場を離れて行うものでもありますので、研修に参加すること自体が小さな環境の変化と捉えられなくもありません。

とは言いつつも、本当に研修の効果を最大化しようと思ったならば、タイミングや前後の文脈も含めて設計することが欠かせません。同じ研修に参加するにしても、参加する必然や意味が本人の腹に落ちてるかどうかで学びの質は全く変わってきます。これまでの話を踏まえるなら、内発的動機づけのレベルが違ってくるということができます。だからこそ、研修体系の構築といった場合にも、研修だけで考えるのではなく、キャリアの節目や異動昇格などの人事的なイベントとの関係の中で検討がされるのです。

その意味で、人材開発は単なる研修よりは極めて広い意味の概念になります。変化の支援を体系化するといった場合についても、そのための研修の設計では決してなく、節目やイベントそのものの設計が非常に大事である、という話になります。

というような話を改めて書いてみたのは、狭い意味での人材開発は人事部の、場合によっては研修部門のテーマになるのですが、人材開発を人の変化を支援する全ての活動と広い意味で捉えたときには、その人を取り巻く全ての人が人材開発の関係者であり支援者であるという意味で組織全体のテーマとして広がっていくように思われます。人材開発と組織開発の間を探るという元々のテーマを考えたときに、その広がりの中に両者の重なりと関連を考えることができるように思えるからです。

自らの変化を支援する

2013年05月11日 15時44分21秒 | 人事組織
色々と話が広がってきましたので、少しまとめましょう。前回の話の中で、「成長=変化のプロセス」だという定義を紹介しました。このとき成長する主体は「自分」であり、「個人」です。したがって、人材開発と言った場合に、企業が主体で人(=従業員)を育てる、という捉え方もありますが、私のスタンスとしては、あくまで成長する主体は「個人」であって、人材開発はその「支援」と考えたいです。

その前提に立った時に、例えば経験学習という学習モデルで学習し成長する主体はあくまで個人であるけれども、経験学習に繋がる経験そのものを用意したり、プロセスの質を高めたり、プロセスからの学習を促したりする支援を企業が主体になって行う、それを人材開発という活動だと考えます。自分が育つのであって、企業が育てるのではない、企業は育つための支援をするのみ、とまぁそんな風な言い方の方が分かりやすいかもしれませんが。

自分以外の他人を変えることはできない。これは私なりの人間観でもあります。もちろん、誰かに関わることでその人に変化が起きることがありますし、それを内側からの変化なのか、外から起こした変化なのか、その線引きは明確にできないわけなのですが、人が人を変えられるというのはちょっと傲慢な感じがしてあまり好きではありません。同じ意味で、企業が人を変えるというのもなんだか洗脳に近い感じがして少し違和感を覚えます。なので、人材開発という場合も、会社が会社の都合で人を育て変化させるというスタンスではなく、人が自ら変化を起こすことを支援するというスタンスに立ちたいと思うわけです。

また脱線しました。人が自ら変化を起こすことを支援する、と言ったときに、まずはその人自身が置かれている環境そのものを変化させる、これが最も基本的な支援の形になります。あとは、その変化の度合いに応じて、変化に適応できないリスクも高くなりますので、その人自身が変化を起こせるように内発的な動機づけをしてみたり、評価・フィードバックをしてみたり、情報を集めて仕事とのマッチングを図ってみたり、研修のような機会の提供も含めて、様々な支援の方法が考えられます。この一連の支援の形を体系化すること、仕事としての人材開発を捉えるとそんな活動になるように思います。

評価・フィードバック

2013年05月05日 22時01分52秒 | 人事組織
内発的動機づけの重要な要素の1つが「自律性」であり、前回の「自分自身で選択する」というのがその自律性を高めるための方法の1つだという話でした。で、もう1つの重要な要素が何だったか。それは「有能感」だと以前紹介しました。自分自身で目標を選択し、自分自身でそれを達成できる。その達成のステップで外せないのが、評価・フィードバックです。

改めて言うまでもないのですが、評価・フィードバックというのは単に査定をして報酬を決めるためのツールではありません。もちろん、そうした側面も1つにはありますが、人材開発や育成というもう1つの側面があることを忘れてはいけません。報酬決定のための評価・フィードバックは他者との「差」に注目しますが、人材開発や育成のための評価・フィードバックは自己の中での「距離」「方向」に注目するものです。

以前、このブログの「成長支援」という記事で、成長とはベクトルであり、「ある状態(起点)から別の状態(終点)へと変化するプロセス」だと定義しました。つまり、人は何かしら自己の理想の状態に向かって努力しており、また会社も目指す人材イメージに向けて育成をしていく中で、両者が一致しているかどうかは別にしても、何らかのゴールに向けたプロセスの途上にあるという理解です。途上。そう、途上であるからには、どこまで来たのか、あとどのくらいなのか、方向は合っているのか、修正が必要ではないか、と言った羅針盤やコンパスのようなものが必要になります。その役割を果たすのが、ここで言う人材開発や育成のための評価・フィードバックです。

と言っても、大学受験や資格試験と違って、人の成長や人材の育成の目標やゴールは極めて曖昧です。なので、適切な評価・フィードバックは非常に難しい。じゃぁやらなくてよいか。というわけでもないのですよね。客観性の担保が難しい分だけ、どうしても主観に頼らざるを得ない。となると、何を言われたかより、誰に言われたか、が重要になったりするわけです。

何だか話が脱線しましたね…。きちんと「距離」や「方向」のフィードバックを与えることで、それが自分でゴールに向かって進んでいく原動力になる。それが1つのリスクヘッジの手段になる。それを本当は言いたかったのです。