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言の葉いろいろ

身体も心も限界越えました
       鬱病で療病してます‥‥

自覚と無意識のズレ EMDR session2

2005年10月08日 | 療病
1回目のEMDRを終えてから、次回まで2週間あった。その間、心の底深くで、ざわざわしたうごめきを感じていた。心は、脳の働きによって生まれる。脳の深部がうごきはじめたのかもしれない。

脳が自己治癒に向かっているのだろうが、体験のない感覚におちつかない。早めに頓服の薬をのんでいた。うごめいている無意識の闇は、意識でコントロールできない領域だろうから。

1つのトラウマのイメージ変化は、他の心的外傷にも影響をおよぼしはじめた。EMDRで向きあっていないのに、以前よりも苦しみが軽減された記憶がある。逆に、以前よりも意味が重くなった記憶もある。

僕のケースは、単回性ではなく、反復性のトラウマ。PTSDでいえば、マルティプル・ストレス・イベント(Multiple Stress Event:多重ストレス体験)による、コンプレックスPTSD(Complex PTSD:重複心的外傷後ストレス障害)。

本日、2回目のEMDR。2つ目のトラウマと対決する。1つ目の血の海のトラウマに比べれば、難なく乗りこえられると思っていた。

しかし、それほど単純ではなかった。セッションのなかで記憶イメージは変化していくけれども、心の負担はなかなか軽くならない。意識のうえで自覚していたテーマと、実際に乗り越えなければならない無意識のポイントに、ズレがあったようだ。

トラウマに向きあう角度を何度か変えて、90分間、アタックしつづける。しかし心には、前回のセッションほどの劇的な変化はおとずれなかった。いくつかの新しい気づきはあったが、消化不良の感はのこった。

次回はすこし間をおいて、1カ月後。
 

ストレスと記憶障害、そして脳の再生

2005年09月26日 | 療病
ヒトは身を守るために、危機にみまわれると、一時的・短期的にストレスホルモンを自然発生させ、心身が状況に対処する。

しかし危険の衝撃が強すぎたり、危機的な状況が長くつづきすぎると、ストレスホルモンが長期的・慢性的に分泌されつづける。限度を超えて放たれつづけると、脳による自律的なコントロールがおよばなくなり、やがてストッパーがきかなくなる。ついにはストレスホルモンの過剰分泌が、脳そのものにまでダメージをあたえてしまう。脳の一部の領域(海馬)が萎縮し、体積が小さくなってしまうほどに。その結果もたらされる症状の1つの典型が、うつ病者の記憶障害だ。

しかし最新の研究で、脳の神経細胞は再生されることがわかってきた。充分な休養・睡眠、適切な薬物治療、脳を活性化させる食生活・栄養療法、ストレスを軽減して脳の再生を促す適度な運動療法などが推奨されている。


参考:『ストレスが脳をだめにする 心と体のトラウマ関連障害』 (J・ダグラス・ブレムナー:青土社)
  :『ストレスに負けない脳 心と身体を癒すしくみを探る』 (ブルース・マキューアン&エリザベス・ノートン・ラズリー:早川書房)
  :『これで脳は若返る』 (ダルマ・シン・カルサ&キャメロン・スタウス:TBSブリタニカ)
 

記憶イメージの劇的な変化 EMDR session1

2005年09月24日 | 療病
サイコセラピーの2回目、いよいよEMDR (Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動脱感作・再処理)のセッションに入った。

90分間、トラウマと向きあって、心も身体も疲れきった。しかし受けたダメージは、事前に覚悟を決めていたので、思ったよりは小さかった。意識のうえでは。

セッションはセラピストの誘導にしたがい、視線を左右に往復させる。眼球運動をくりかえして脳を直接的に刺激しながら、トラウマ性記憶と対決する。

脳の奥深くに、扁桃体という感情の領域がある。過去に体験した、非常に強い不快感や恐怖心などは、この扁桃体に焼き付けられている。意識のコントロールがとどかない、トラウマ(心的外傷)となって。

EMDRのセッションでは、セラピストの細やかなチェックのもと、眼球運動で脳を直接的に刺激しながら、トラウマへのアタックを何度も何度もくり返す。

やがて脳の奥深くへのルートがつながり、自己治癒力が働いてくる。驚くことに、記憶のイメージが自然に変化してくる。そう、EMDRとは、記憶に対するイメージを塗りかえていく作業だ、脳の底深いところから。

セッションの途中、記憶イメージの変化が劇的なターニング・ポイントを迎えた。感動で、涙があふれた。
(この部分の詳しいお話はできません。自分のためのセッションだから)

もちろん、このセッションだけで全てが解決したわけではない。起きた事実は、1つのトラウマに対して手に入れた、1つのイメージの変化。この変化が、脳の奥深くから定着する必要がある。おそらく脳はトラウマから方向転換し、いまも無意識の領域で自己治癒へと働きつづけているのだろう。

EMDRはブリーフサイコセラピー(brief psychotherapy:短期精神療法)。大部分のケースにおいて、1~3回のセッションで効きめがあらわれてくる (EMDR 診断と治療)。

しかし、EMDRはすばらしいと僕は言いきれない。現実には「自分の受けているEMDR」しか知らないから。

セラピストの腕、そして自分との相性の問題は大きいだろう。セッションの間は必死で気づかなかったが、終了後に、セラピストの激しい疲労をかいま見た。セラピストは細心の注意をクライアントに払いながら、真剣勝負のセッションをコントロールしていく。クライアントの何倍もの集中力が必要だろう。セッション後のセラピストの疲れはてた横顔に、真摯に取りくんでくれているという好印象をもった。

次回は2週間後。2つ目のトラウマと対決する。
 

きつくなりそうだ サイコセラピー初回を終えて

2005年09月10日 | 療病
ドクターは言った「たしかに、サイコセラピーを受けるには、その人のなかに内在するある程度の力が必要です。いまのMASARUさんなら、だいじょうぶだと思いますが」
僕もそう思っていた。
「ただしセラピーを受けても、必ず治るという保証はありません」
わるくなる恐れだってある。

自分なりに調べ、いろいろと(経済的にも)覚悟をきめ、EMDR (Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動脱感作・再処理)療法を申し込んだ。EMDRは、眼球を左右に動かして、脳を直接的に刺激する。その状態でトラウマと対決し、脳に刻みこまれた心的外傷を癒していく。

予約が詰まっていたので、7月下旬に申し込んでから、順番待ちで1カ月半。
本日、第一回目。
セラピストは、EMDR臨床家資格(Certification in EMDR)をもつ心療内科医。
初回は、EMDRに入る前の、いわば事情聴取。これまでの生活歴、現在の環境・問題・病状、主たるトラウマ性記憶、セラピーを受ける動機・目的など。セラピストからの細部への質問にも答えながら、密度の濃い1時間。このわが身を振りかえる作業だけで、けっこう苦しい。

次回から、2週間ごとにEMDR。ひとまずの予定は、今日をのぞいて全8回。
きつくなりそうだ。

EMDR
 

サバイバー(SURVIVOR) と サイコセラピー(psychotherapy)

2005年09月02日 | 療病
さまざまな家庭がある。機能不全の家庭に育つと、幼少期からストレスが繰りかえされる。幼い心は絶えまないストレスの蓄積を処理しきれない。

発育途上の脳は、未成熟ながらも懸命に身を守ろうとする。できるかぎり心身の危険を避けるため、ストレスホルモンを過剰分泌し、常時外界への警戒をゆるめない。それでも危険にみまわれると、意識のスイッチを切って耐え忍んだりする。

脳の防衛システムにより、長い長すぎる苦難の子ども時代を懸命に乗りきる。そして成人し、偉大なサバイバー(SURVIVOR)となる。

しかし長期にわたる、しかも幼少期からのストレスの蓄積は、脳に深刻なダメージと機能障害をのこしてしまう。無数のトラウマ性記憶が、感情・感覚をともなって脳に刻みこまれている。何年何十年が経過しても、その苦痛が今ここで起きているように。そして常に危険と対峙し警戒している太い神経ネットワークができあがり、脳機能の中心に居座って活動しつづける。心身に過大な負担をかけながら。

サバイバーは大人になり、生きぬいていく。しかし成人後は、別のストレス群が加わっていく。脳は人生初期から積み重なってきた重荷を、ついに背負いきれなくなり、悲鳴をあげる。時限爆弾が爆発するように、うつ病やさまざまな精神疾患、心身症などを発病・発症する。

治療法としては基本に薬物療法があり、それで回復する人も少なくない。しかし重いケースや複雑に入りくんだケースは、脳の神経ネットワークから組みかえなければならない。一つの治療手段が、サイコセラピー(psychotherapy:精神療法)だ。潜在意識のレベルでトラウマと向きあい、脳の深部から苦痛を解き放ち、新しい神経ネットワークに組みかえていく。

最新のサイコセラピーでは、催眠療法・イメージ療法・EMDR療法・TFT療法などの評価が高い。
『最新心理療法 EMDR・催眠・イメージ法・TFTの臨床例』

ただし、治療者の腕が結果を大きく左右するのは、脳外科医もサイコセラピストも同じだ。セラピーブームに乗って、安易に開業しているようなカウンセリングルームは避けるべきだ。

またサイコセラピーは危険がないわけではない。治療上で深刻なトラウマを再体験するので、病状が悪化する怖れもある。セラピーを受ける前に、ドクターへの相談が不可欠だ。