高速勾配エコー法として,FLASHの次に有名になったのは,FISPではないかと思います.FISPは,Fast Imaging with Steady Precessionの略ですが,FLASHと異なり,全く意味不明の言葉です.これが,FISPを,ある意味地味なものにしていると,言えるかも知れません.
原論文は,
A. Oppelt, R. Graumann, H. Barfuss, H. Fisher, W. Hartl, W. Schajor
FISP – a new fast MRI sequence
Electromedica vol 54, 15-18 (1986).
です.雑誌も,極めてマイナーな雑誌です.
さて,上に示すのが,FISPのシーケンスです.対称性の良い,非常に綺麗なシーケンスですが,初めてこのシーケンスを見て,核磁化の運動を読める人は,どれくらいいるでしょうか?
さて,私は,FISPは,FLASHに刺激を受けて開発されたものだとばかり思っていました.ところが,原論文を読んでみると,FISPは,SSFP(Steady State Free Precession)に触発されて,FLASHとは独立に開発されたと書いてあります.また,Philipsから提案されたFFE(Fast Field Echo)も,これらとは独立のようです(真相は分かりませんが).
この論文を見て不思議に思うのは,FISPの撮像パラメタが書いていないことです.すなわち,128×128画素の画像が9秒以下で撮れると書いてあるのに,TRが書いてありません.NEX=1ならばTR=70msとなるはずですが,でも,TE=35msとは,とても思えません.
また,後年,TrueFISPとして,リバイバルしたこのシーケンスに見られるBanding artifactが見られません.このあたりも謎が深いシーケンスです.
これから,しばらく,このシーケンスの解剖を行っていきましょう.
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