MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

MRIの歴史的論文(19)

2006-04-07 23:26:28 | Weblog

高速勾配エコー法として,FLASHの次に有名になったのは,FISPではないかと思います.FISPは,Fast Imaging with Steady Precessionの略ですが,FLASHと異なり,全く意味不明の言葉です.これが,FISPを,ある意味地味なものにしていると,言えるかも知れません.

原論文は,

A. Oppelt, R. Graumann, H. Barfuss, H. Fisher, W. Hartl, W. Schajor
FISP – a new fast MRI sequence
Electromedica vol 54, 15-18 (1986).

です.雑誌も,極めてマイナーな雑誌です.

さて,上に示すのが,FISPのシーケンスです.対称性の良い,非常に綺麗なシーケンスですが,初めてこのシーケンスを見て,核磁化の運動を読める人は,どれくらいいるでしょうか?

さて,私は,FISPは,FLASHに刺激を受けて開発されたものだとばかり思っていました.ところが,原論文を読んでみると,FISPは,SSFP(Steady State Free Precession)に触発されて,FLASHとは独立に開発されたと書いてあります.また,Philipsから提案されたFFE(Fast Field Echo)も,これらとは独立のようです(真相は分かりませんが).

この論文を見て不思議に思うのは,FISPの撮像パラメタが書いていないことです.すなわち,128×128画素の画像が9秒以下で撮れると書いてあるのに,TRが書いてありません.NEX=1ならばTR=70msとなるはずですが,でも,TE=35msとは,とても思えません.

また,後年,TrueFISPとして,リバイバルしたこのシーケンスに見られるBanding artifactが見られません.このあたりも謎が深いシーケンスです.

これから,しばらく,このシーケンスの解剖を行っていきましょう.
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