上の図は,FIDを発生する核磁化の運動を,回転座標系でみたものです.このように,z軸のまわりを,ぐるぐる回りながら,原点に近づいていきます.
回転座標系という言葉は,このブログでは,初めて出てきましたが,静磁場方向を軸として,ある角速度で回転する座標系のことです.通常,この角速度は,NMR(MRI)の受信機の参照周波数(共鳴周波数にほとんど一致)です.すなわち,「信号観測周波数」と言っても良いかも知れません.
NMR(MRI)信号の振る舞いは,ほとんどの場合,回転座標系で議論されます.
上の図に示すように,核磁化は,回転しながら減衰していきます.この減衰は,核磁化全体を構成する,より小さな領域の核磁化の回転位相が,静磁場の不均一性のために,ばらばらになっていくことによるものです.この減衰の時定数は,T2*と言われ,NMR信号の減衰は,tを時間として,
exp(-t/T2*)
と表されますが,実際の試料では,指数関数的な減衰をするとは限りません(静磁場の分布に依存します).
ところで,「静磁場の不均一性が無視できる場合」,核磁化は,どのような時間変化をするのでしょうか?
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