MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

MRIの歴史的論文(11)

2006-03-30 07:00:57 | Weblog

上に,この装置で撮像された胸部の画像を示します.この画像は,当時としては,さまざまな意味で,大変画期的なものでした.

すなわち,頭部だけでなく全身の部位で,画像歪みもなく,画素強度の不均一性もなく,画像のボケもない画像が得られたことは,スピンワープ法の,手法としての優秀性を示すものでした.しかも,この画像が,0.04Tという低い静磁場で得られたことも,高磁場化による画質向上への期待を持たせるものでした.

特に,勾配エコーを用いて,一定の時刻におけるサンプリングを行うことにより,静磁場の不均一性が,位相の歪みにはならず,「単なる幾何学的な歪みにしかならない」こと,また,プロジェクション法においては,画像歪み(ボケ)の原因となる,静磁場の不均一性も,勾配磁場の不均一性も,スピンワープ法では,「画像のボケにはならない」ことが指摘され,このスピンワープ法(フーリエ法の発展形)の,プロジェクション法に対する優位性が示されました.

これ以降,ほとんどの研究グループでは,スピンワープ法をベースとし,これにスピンエコー法を組み合わせた方法が用いられるようになりました(スピンワープ法をプロジェクション法に適用した方法も,一部では用いられ,実際,国産第一号機の東芝のMRIでは,プロジェクション法が使われました).

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