上に,この装置で撮像された胸部の画像を示します.この画像は,当時としては,さまざまな意味で,大変画期的なものでした.
すなわち,頭部だけでなく全身の部位で,画像歪みもなく,画素強度の不均一性もなく,画像のボケもない画像が得られたことは,スピンワープ法の,手法としての優秀性を示すものでした.しかも,この画像が,0.04Tという低い静磁場で得られたことも,高磁場化による画質向上への期待を持たせるものでした.
特に,勾配エコーを用いて,一定の時刻におけるサンプリングを行うことにより,静磁場の不均一性が,位相の歪みにはならず,「単なる幾何学的な歪みにしかならない」こと,また,プロジェクション法においては,画像歪み(ボケ)の原因となる,静磁場の不均一性も,勾配磁場の不均一性も,スピンワープ法では,「画像のボケにはならない」ことが指摘され,このスピンワープ法(フーリエ法の発展形)の,プロジェクション法に対する優位性が示されました.
これ以降,ほとんどの研究グループでは,スピンワープ法をベースとし,これにスピンエコー法を組み合わせた方法が用いられるようになりました(スピンワープ法をプロジェクション法に適用した方法も,一部では用いられ,実際,国産第一号機の東芝のMRIでは,プロジェクション法が使われました).
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