MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

MRIの歴史的論文(17)

2006-04-05 08:04:44 | Weblog

昨日お話しました,FLASH誕生のいきさつに関して,Jenz Frahmが書いていることを紹介したいと思います(上の図の左がAxel Haase,右がFrahm).

まず,FLASHは,突然生まれたのではなく,STEAM(Stimulated Echo Acquisition Mode)という,現在では,局所スペクトロスコピーに使われている方法が母胎になって生まれた,ということが述べられています.そして,ある金曜日(日付は記載していない)の朝,初めてFLASHの実験が行われたことが書かれています.

その日に撮れらた代表的な画像は,TR=15ms,128×128画素,全撮像時間1.92sの手の画像だということでした.そして,FLASHという名前は,その日のうちに付けられたということでした.

彼らは,1985年2月12日にドイツ特許を出願し,その後,まず口頭発表でインパクトを与えることを考え,SMRM(国際磁気共鳴医学会:ISMRMの前身)やRSNAのアブストラクトの投稿は行いましたが,それらの口頭発表が終わるまでは,論文投稿を控えるという戦略を採りました.

ところが,色々なルートで情報は漏れるもので,1985年8月にLondonで行われたSMRMでは,すでに複数のメーカーが,臨床用MRIを用い,FLASHと同様のシーケンスを用いた人体の画像を展示していました.

また,Frahmらの(インパクトが期待された)発表は,その学会の最終日に予定されていたため,FLASH開発のニュースは,学会が終わるまでには,既に広まっていた,ということでした(GEなどは,SMRMの1週間前に,ある研究者がFrahmの研究室を訪問し,FLASHを見せられてその重要性に気づき,さっそくミルウォーキー(GEの医用機器事業部の拠点がある)に連絡し,急遽実験を行って,SMRMの展示に間に合わせたとのことでした).

このため,彼らの論文の日付は,1985年10月となっています.また,すでに特許が出願されているようなシーケンスでも,他社は,将来への布石として,遠慮なく,どんどん使っていくということも良く分かりますね(いずれ,クロスライセンスなどで解消する:ただし,特許は公開されていないので,元々分からないのですが).


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« MRIの歴史的論文(16) | トップ | MRIの歴史的論文(18) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事