コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。


正統ポップカルチャーの水脈

2010-09-15 23:51:15 | 
この夏も色々面白い出会いがあったんだけれど、一番の衝撃は、“大衆演劇”だと思う。
あの、梅沢富美男とか、早乙女太一とかちび玉とかの。

情報としては知っているし、まぁ、面白そうだけれど、「ちょっとね」という感じ?

自分にとって衝撃だったのは、その面白さ、重要性よりも、自分の中の無意味な選別意識というか、アンテナの不具合を思い知らされたこと。


木馬館の前はしょっちゅう通っている。
それどころか、大学院生の頃、木馬亭には何度か入っているのだから、隣に入ってみようかな、と思わなかった自分の鈍さにがっかりするのだ。
周りのオトナ達も、浅草で飲んだあと、ストリップに行こう、という人はいても木馬館、という話は出たことがない(終演時間過ぎてただろうけど)。
あぁ、ストリップも、行っておくべきだったのかな。

学生時代、アングラ劇やテント芝居に行かなかったことも、今は残念に思っているんだけれど、自分にとって、大衆演劇の方が遙かに重要だ。


前に少し書いたように、「4夜連続演講」の合間、8月15日に法斎さんとN君と、3人で大井川娯楽センターに出かけた。
出演していたのは満劇団(大日方皐扇座長)。
空間、客、出演者、どれをとっても“すごい”としかいいようがない。
結局、8月後半の2週間で3回、同じ劇団の公演を観た。
芝居としては最初に観た“森の石松 えんま堂の最期”が一番だったと思うけれど、他の演目でもそれぞれに上方の劇団らしい笑いと、家族的な暖かさを感じられたし、歌謡ショーは見事だった。

3度も通ったので、劇場のおかあさんや、役者さんにも憶えられてしまった。
こう言うのが、多分、他の芸能と違う大きな魅力なんだと思う。


で、いよいよ木馬館。
色々事情があって時間があったので、13日の昼の部に入った。
出演していたのは桐龍座恋川純弥座長)

開演5分前くらいに入ったのも甘かったんだけれど、補助席。
平日の昼間、大入り満員。
年齢層も幅広い。
歌謡ショーも芝居もかなりしっかりしている印象で、満劇団のような“ゆるさ”“親しみやすさ”より、“芸能人”という感じが強い。
しかし、客出しの時にはほぼ全員としっかり握手も話もする。
この人たちは、多分、一度来た客をしっかり記憶できるんじゃないかと思わせる力がある。

二つの劇団しか観ていないので、結論めいたことを言う気はないのだけれど、なんにしても、これはすごい。
多分、学生の頃にふらっと入っていたとしても、その価値を認めようとせずに混乱したかも知れない。
今は、全面的に支持する。
これは、すごい。

歌舞伎が明治に入って、演劇天覧を経て“改良”され、新劇が生まれ、新国劇が生まれた。
“上昇”した歌舞伎とは別に、嘗て大衆の物だったはずの歌舞伎の精神的な骨格は、ちゃんとこうやって継承されていたのだ。

歌舞伎にしても、講談や落語にしても、幕末の大衆娯楽はかなり知的で複雑な要素を持っている。
そう言う物は小難しくってわからねえ、という人たちにも、これは恐ろしく単純明快に愉しい、まさに“娯楽”以外の何ものでもない。
そうやって、文化遺産的“伝統芸能”とは別の道を進んできた“大衆文化”がちゃんと存在し、新しい血に引き継がれていることを、まず、素直に喜びたい。

ここには、日本の大衆の“真・善・美”が、凝縮された型としてある。
ルイ・アームストロングのアドリブのように、これ以外無い、というところにまっすぐ入ってくる心地よさ。

演目や、興業の仕組み、劇団の構成や歴史など、調べたいことは山ほど在る。
常連客の生態も知りたい。
例えば横浜の三吉演芸場のサイトで公開されている98年からの上演記録。クラクラする。
 各劇場にこういう台帳が存在するはずだ。
これは、ちょっと、深入りすることになると思う。


さしあたり、大井川には定期的に行こうと思っている。
桐龍座は来月篠原演芸場。
そして、11月には木馬館に満劇団が初お目見えの由。
大井川とは違う空気の中で、皐扇・若旦那はじめ、優しい劇団の人たちがどう立ち回るのか、今からたのしみだ。

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2 コメント

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Unknown (bonox)
2010-09-18 18:52:19
どっぷりですね~。

歌舞伎との岐路というのは考えどころですね。

文化とか伝統とか、そういうのの在り方って何なの?って。

やはり一度学生にも・・・。
もうね (こにた)
2010-09-18 23:33:54
やばいよ。

日本文学概論御一行様でいくかな~。


今月浅草が熱いよ!
是非行ってきて!!!!

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