ふるさと古民家たより

北信州の古民家から発信する四季のお便りです

古民家再生(12)

2019年10月18日 | 古民家


古民家の西側は道路より下がった位置にあり、昭和の増築で石垣との距離が狭まり、そこに長年の土砂の堆積により家の中の地面のレベルより外の地面のほうが高くなっていました。当然水分は低い所に溜まり、西側に面している床下は湿気でジュクジュクしていました。本来なら土木業者に依頼する工事を、予算の関係から、棟梁は自ら手掘りで土砂を取り除き、屋敷の土台より低いところまで掘り下げ、水を逃がす処理の上コンクリートで固めました。石垣も積み直し補強しました。この処理によってジュクジュクしていた床下はカラカラに乾燥したということです。問題をそのまま放置せず、根本的な原因を取り除くことで解決した棟梁の仕事に対する姿勢に感服いたしました。

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古民家再生(10)

2019年09月11日 | 古民家


写真は我が家の離れの室内を撮ったものです。右下は崩れた壁土を水を加えて塗り直した部分、左下は古い壁土が足りなかったので新しい壁土を購入し塗った部分です。新しい壁土は藁を刻んで混ぜただけで、滑らかでなく壁面もひび割れてきます。昔の人は、クタクタに柔らかくなった藁の繊維を混ぜて上質の壁土として使ったのです。古民家の崩れた壁土はこの様に貴重なマテリアルです。

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古民家再生(9)

2019年09月11日 | 古民家




上の写真は、解体時に崩れた壁土を捨てずに丁寧に集めたところです。古い壁土は中の藁の繊維が程よく馴染んで、水を加えるだけですぐに再生に使えます。下は早速、崩れた部分に塗り修復したところの写真です。

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古民家再生(8)

2019年08月29日 | 古民家


写真の材木は床下の基礎の部分に使われていたものです。ほぞ穴が多数開けられているのが確認できます。時代が新しい古民家ほど、このように使いまわし(リサイクル材)の使用が見られます。時代をさかのぼって、例えば江戸時代の古民家は、施主の自分の山から切り出した選りすぐったケヤキ、ヒノキ、松などをふんだんに使って建てられますが、例えば大正、昭和になると山にはあまり良い木は残っていません。一度解体されたリサイクル材は安価に手に入るので庶民の民家に多く使われています。

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古民家再生(7)

2019年08月22日 | 古民家


2005年、我が家の古民家再生工事の写真です。築230年の古民家を支えてきたのは、通期の良い80cmの床下の高さと床下の土に秘密があります。歴史的建造物の正倉院や神社仏閣は一様に床下が高く、通気により建物を湿気から守っています。また、我が家の床下は、土間も含め全て三和土(たたき)が打ってあります。三和土とは、敲き土(たたきつち)の略で、赤土などに消石灰とにがりを混ぜて練り、塗って敲(たた)き固めた素材。もともとはセメントがなかった時代に、地面を固めるために使われていました。我が家の床下の三和土は、セメントよりも防水性があり、230年経った今でも機能しています。

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