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会社を悩ます問題社員の対応

会社を悩ます問題社員の対応,訴訟リスクを回避する労務管理

企業経営者の自宅付近で行われる労働組合による街宣活動が違法と評価されるのはどのような場合か

2014年06月17日 | 団体交渉

企業経営者の自宅付近で行われる労働組合による街宣活動が違法と評価されるのはどのような場合ですか。

 

 企業経営者の自宅付近で行われる街宣活動は,会社前路上などで行われる通常の街宣活動と比べて,大幅に制約されることになり,企業経営者の住居の平穏や地域社会における名誉・信用という具体的な法益を侵害しないものである限りにおいて,表現の自由の行使として相当性を有し,容認されることがあるにとどまることになります。
 労使関係の場で生じた問題は,労使関係の領域である職場領域で解決すべき問題であり,企業経営者も,個人として,住居の平穏や地域社会における名誉・信用が保護,尊重されるべきことから,労働組合の諸権利は企業経営者の私生活の領域までは及ばないと考えられるからです。


会社オフィス前における労働組合による街宣活動が違法と評価されるのはどのような場合か

2014年06月17日 | 団体交渉

会社オフィス前における労働組合による街宣活動が違法と評価されるのはどのような場合ですか。

 

 労働組合は,団結権,団体交渉権が法的権利として保障されており,その目的とする組合員の労働条件の維持,改善を図るために必要かつ相当な行為は,正当な活動として,違法性を阻却されることになります。労働組合の組合活動としての表現行為,宣伝行動によって使用者の名誉や信用が毀損された場合,当該表現行為,宣伝行動において摘示されたり,その前提とされた事実が真実であると証明された場合はもとより,真実と信じるについて相当の理由がある場合も,それが労働組合の活動として公共性を失わない限り,違法性が阻却されることになりますし,当該表現行為,宣伝行動の必要性,相当性,動機,態様,影響など一切の事情を考慮し,その結果,当該表現行為,宣伝活動が正当な労働組合活動として社会通念上許容された範囲内のものであると判断される場合には,行為の違法性が阻却され,不法行為とならないことになります。
 他方で,組合活動としてなされる文書活動であっても,虚偽の事実や誤解を与えかねない事実を記載して,会社の利益を不当に侵害したり,名誉,信用を毀損,失墜させたり,あるいは企業の円滑な運営に支障を来たしたりするような場合には,組合活動として正当性の範囲を逸脱し,違法と評価されることになります。


唯一交渉団体条項のある労働協約を締結していることを理由として,団体交渉申入れを拒絶できるか

2014年06月17日 | 団体交渉

社内組合との間で当該社内組合が唯一の交渉団体である旨の規定(唯一交渉団体条項)のある労働協約を締結していることを理由として,社外の合同労組からの団体交渉申入れを拒絶することはできますか。

 

 労働組合の団結権及び団体交渉権は等しく保障されるべき性質のものですから,社内組合と唯一交渉団体条項のある労働協約を締結したからといって,他の労働組合の団結権及び団体交渉権を侵害することはできず,唯一交渉団体条項は無効となります。唯一交渉団体条項の存在を理由に社外の合同労組からの団体交渉を拒絶することは,不当労働行為となります。
 唯一交渉団体条項の存在を理由に,社外の合同労組からの団体交渉を拒絶することはできません。


団体交渉が行き詰まった場合は,団体交渉を打ち切ることができるか

2014年06月16日 | 団体交渉
 

 労使の主張が対立し,いずれかの譲歩により交渉が進展する見込みがなくなったような場合は,団体交渉を打ち切ることができるものとされています(池田電機事件最高裁平成4年2月14日第二小法廷判決)。
 もっとも,交渉が進展する見込みがなくなったといえるかどうかは問題となり得ますので,通常は団体交渉が行き詰まっていることを組合に確認した上で,団体交渉を打ち切るとよいでしょう。
 また,団体交渉が打ち切りとなれば,労働組合による街宣活動や争議行為が行われる可能性が高くなることにもご留意下さい。


誠実交渉義務とはどういうものか

2014年06月16日 | 団体交渉
 

 労組法7条2号は,使用者が団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むことを不当労働行為として禁止していますが,使用者が労働者の団体交渉権を尊重して誠意をもって団体交渉に当たったとは認められないような場合も,同規定により団体交渉の拒否として不当労働行為となると考えられています(カール・ツアイス事件東京地裁平成元年9月22日判決)。
 具体的には,使用者は,
 ① 労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり
 ② 必要な資料を提示するなどし
 ③ 結局において労働組合の要求に対し譲歩することができないとしても,その論拠を示して反論する
などの努力をすべき義務があるとされています。
 使用者には労働組合に譲歩する義務も,労働組合の要求に応じる義務もありませんが,上記のような誠実交渉義務はありますので,注意が必要です。