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ブログは自分のために書きなさい

私の仕事観、仕事術、書評などを中心に自分の軸を確認するためにブログを書いています。

人事はどこまで知っているのか

2008-08-28 | まずまずの本
人事はどこまで知っているのか (本の紹介はこちらから)

とりあえず、時間つぶしに軽く読める本ということで手にとって見ました。

人事とは何だろうともやもやしている部下にテキストとして読んでもらうことを前提に考えると良書と思います。

逆に、戦略的人事とはなどと大上段に構える輩には期待はずれということになるでしょう。

セオリーから出ているのでもうちょっと深いのかなとも思いましたが、確かに新書で出しても良かったかもしれませんね。

幕臣たちの明治維新

2008-06-14 | まずまずの本
幕臣たちの明治維新 (本の紹介はこちら)

こちらは先に紹介した「篤姫本」の続きとして読んでみました。

明治維新、勝ち組の薩長によって作られた歴史についてはよく知るところですが、負け組の徳川の歴史も当然ながらあるわけです。

静岡藩に徳川時代の英知が結集し、それが沼津兵学校を生み出し、近代日本の建立の礎となったという点は知っておくべきだと思いました。

また、空気を読む風土というのはこの時代でも健在であることを知ることができた点も良かったですね。

幕府が崩壊して、徳川家臣団としては、明治政府へ官吏すればとりあえず路頭に迷うことなく生活をキープできる機会があったわけですが、なかなかそれを潔しとせず、合理的判断ができなかったこと。

しかも、旧江戸の町人達も明治政府へ官吏した人々を蔑んでいたということでとかく世論が雰囲気に流されるのは、メディアが発達した現代の特徴ではなく、昔から漂う空気(同調圧力といでもいうのか)の存在ではないかと改めて思った次第です。


最後の大奥 天璋院篤姫と和宮

2008-06-14 | まずまずの本
最後の大奥 天璋院篤姫と和宮 (本の紹介はこちら)

今年はNHK大河ドラマ「篤姫」をかかさず見ています。

理由は、自分のルーツの鹿児島が舞台となっていること。そして去年暮に購入したHDDレコーダーが活躍してくれているからです。特にHDDレコーダーがなければやはり見ていなかったかもしれません。

というわけで、よりドラマの内容を理解しようかと思い、この本を手にとりました。

まあ、いつの時代にもキャリアな女性は存在するということもよくわかるし、なにより島津斉彬があれだけ英明であったのも、もとはと言えば外様で内向きであった島津藩に将軍家の竹姫が嫁いだ影響(モダンな考え方の持ち主)で8代藩主の重豪が蘭癖大名になり、その薫陶を曾孫である斉彬がうけていたという点を理解できただけでも読んだ価値はありました。

やはり、スターというものは、突然、彗星の如く現れるわけでなく、その伏線がありわけです。


ウェブ国産力

2008-04-25 | まずまずの本
ウェブ国産力―日の丸ITが世界を制す (★本の詳細はこちら)

まずまずの本というのは自分にとっては既知だが、他の人にとっては有益ではないかというジャンルの本をここで紹介しようかと思う。

ということでこれもサクッと通勤時間内で読み終えた。

第一章と第二章はぜひ読んでほしい。

・現在の検索技術は未完であること。
・究極の検索は他人のデータではなく、個人の偏在するリアル情報をアグリゲートした先にあること。
・それをするための有力なデバイスとして日本のケータイが存在し、社会インフラとしてもそれを実現できる国は日本が最有力であること。

以上のようなことを自分も常日頃考えているのだが、同じような考えを持つ人は多いのだろうな~。

そしてこの本の最大のスマッシュヒットはエピローグにある。これが言いたくてこの本はあるのではないかと思える内容なので一部紹介しておきたい。

以下の内容は著者の佐々木氏が「未来検索ブラジル」の竹中氏にインタビューしたものである。

(前略)

佐々木:グーグルに行ってみようと思ったことはない?

竹中:新規株式公開の前だったら、グーグルは行ってみたら面白い会社だったんじゃないかと思う。でも今はどうかな。もう優秀な人はグーグルに行かないんじゃないの。だってさ、今さら行ってもつまらないよ。

佐々木:技術者の理想の会社ではないということ?

竹中:技術者の理想の会社だというメッセージを伝えているのは偉いと思うけど、それが本当に技術者にとって幸せなことなのかどうか。そういうことに疑問を持ってしまうんだよね。少なくとも僕がグーグルに行ったらつらい気がする。だってみんなでホワイトボードを囲んで、自分のやってることをアピールするなんてねえ、そんなことやりたくない。合わせられないよ。

佐々木:しかしいまの日本でも、グーグルの人材吸収力は凄いけど。

竹中:検索エンジンまわりの人たちと集まって酒を飲む機会があると、いつも話題になるのは、グーグルって「人材クローラー」だよね、という話。人材をもの凄い勢いで吸い込んでしまっている。でもそうやって凄い人材を吸い込んでいる割には、アウトプットが少ないよね。ベンチャーを立ち上げられるような人を揃えている割にはね。

佐々木:最近のグーグルは対マイクロソフトを意識しすぎているように思える。

竹中:SaaSを推進し、グーグルだけで何でもできるようにするという戦略を遂行しているのは分かるけれど、でもエクセルやパワーポイントの真似をしたソフトを作るのが、技術者として面白いか?グーグルが吸い込んでいる人たちって、みんな生粋の技術者で、世の中を自分の技術で変えたいと思っている人たちだよね。そういう人がどうしてグーグルで表計算とかワープロとか作っているわけ?おまけに完全自前じゃなくて、外から買ってきたりしているしさ。みんな何しているんだよ。タダのご飯を食べてゴロゴロしているだけなわけ?そうじゃないと思うけど、そう見えちゃうんだよね。

佐々木:結局のところ、いったい何をやろうとしているのかわからない。

竹中:いくらガワをそろえたって、コンテンツがないとダメだよ。グーグルは入れ物産業をやろうとしてるわけ?カネもあって企業的には自由度も高いはずなんだけどね。

(中略)

佐々木:この業界では、一生使い切れないオカネができてしまったら、その後どうするのか?というのが現実的な問題として存在している。

竹中:あがちゃったプログラマー問題ね。海外に行って悠々自適で暮らす人もいれば、オカネがあっても仕事を続ける人、あるいは満たされなくて社会貢献に行く人とか。でも満たされてても満たされなくても、本当のプログラマーだったら、プログラムを作り続けているんじゃないかな。そこでプログラミングを止めてトロピカルカクテルに行っちゃうようなヤツは技術者じゃなくて、単なる資本主義の犬だよ。

(後略)

盛者必衰ですな。


追伸:件のグーグルであるが、各社内定がでて就職活動もひと段落という時期だが、優秀な大学に対しては、個別にインターン募集のメールを送りつけているとのこと。人材クローラーの名に恥じないアクティブさである。

サブプライム問題とは何か

2008-02-22 | まずまずの本
サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 [宝島社新書] (宝島社新書 254) (★本の詳細はこちら)

結論から言うと、おすすめの本かといえば、びみょーというところか。行きの新幹線の中で読了。読みやすいほんです。

あとがきにも書いてあるが、高校生でもわかるように書いたというだけあって、サブプライム問題をワイドショー的なタッチで解説している。筆者はこの道のプロなわけで、本当はもっと構造的な問題を提起したかったのだろうが、それでは新書としてのウケが良くないというわけで、まあそのあたりの苦悩が読んでいるうちに透けて見えてきました。

読むべきところは第5章と第6章に集約されているので、前半は読み飛ばしても良いと思います。

サブプライムローンというは、日本で言えば、ちょっと前の ゆとり返済 という代物ですから、これ自体が問題ではない。サブというからにはプライムローンもあるわけで、総量としてはむろんプライムのほうが多いわけでその点からもサブプライム自体が問題なのではない。ということをもっと書いても良かったんですがそこは随分とトーンをおとしてしまっているのが残念に思いました。

その点、今月の文藝春秋の榊原先生の原稿は要点がまとまっていて参考になります。

今日の経済ニュースでも地銀がサブプライムでやられていると報じられていますが、なぜ、アメリカの住宅ローンの焦げ付きが日本の地方銀行まで直撃するのか。

それは

1.ITが発達したために、金融工学が容易にシステム化される環境になった。(証券化が容易になった)

2.金儲けのためには手段を選ばないという拝金主義がグローバル化している。
(そもそも格付けなどARTの領域であり、ご都合主義である)

3.結局、最後は当局が尻拭いをしてくれるというモラルハザードと一方でこれだえけ金融がグローバル化してしまった現在では各国が区々で対応しても対応しきれなくなっているという現実といまだそれを認めない当局とのギャップ

という3点であり、

また、その背景として、米国ドルが基軸通貨として機能するための仕組みづくりであり、それに加担するように輸出大国としてアメリカへ物を送り続けることで経済成長を果たした日本の役割を存続させることになっていたが、それももはや代替としてのBRICsの台頭により、ジャパン・パッシングからジャパン・ナッシングになりつつあり、この国が今後どういうスタンスを国として持たなければならないのかを考えるよい契機にあるのだということをもっと書いて欲しかったなと。

多分、もっと書きたいことはいろいろあるのに、書ききれていないというのがわかるだけにびみょーでした。