詳しくは、明日28日(もう今日だ)の昼間に、仕事中に書きます。
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「春の香り」という映画を観てきた。
初めて行った近所の整形外科の待合室にばかでかいモニターがあり、それに予告編が延々と流れていた。あのモニター、テレビ放送ではないのだけど、どこから何を流していたんだろう?
それはさておき、その予告を延々と見ていて、「誰が観るんだこの映画?」と思った。
難病もので、キャスト、スタッフはほとんど聞いたことがない人ばかり。知っているのは櫻井淳子くらいか。主演の子も聞いたことない。「本作で鮮烈なデビュー」だとか(ちょっと違う)。
自主制作か?よくある、地元で金集めて「ご当地映画」みたいに作って、地元の映画館では2週間ほど先行公開して、その後申し訳程度にほかの地域で劇場公開して、当然ながら全然興収は上がらず、のちにBL、DVDにはならず、配信にはされるけどあまり観る人もなく、大赤字に終わるというやつなのか・・・?
その後、東京新聞でこの映画に関連する記事を見た。・・・多分1,2年程度でリンク切れるだろうな。
せっかくなので全文転載。
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「私の闘病生活、リアルに残して」…少女の日々をありのまま映画に 「春の香り」上映、都内で舞台あいさつ
2025年3月20日 20時00分
脳腫瘍と闘い、18歳で亡くなった女性をモデルにした映画「春の香り」が今月から東京都内などで上映されている。度重なる手術で心身の苦痛にあえぎながらも、「人の心に何かを刻みたい」との思いから闘病生活をありのままに記録することを望んだ少女。20日には板橋区内の映画館で舞台あいさつがあり、両親は「生きる素晴らしさを最後の最後まで伝えた」とまな娘の遺志を語った。(細川暁子)
◆精神的に不安定な様子も、願い通り描いた
映画のモデルは、愛知県江南市で生まれ育ち、2020年に18歳の生涯を閉じた坂野春香さん。父貴宏さん(53)と母和歌子さん(51)が2022年に出版した闘病記「春の香り」が原作となっている。
春香さんは小学6年生だった2013年に脳腫瘍と診断され手術で腫瘍を摘出。2019年秋に再発し再び手術を受けた。漫画家になることが夢だった春香さん。手術の影響で右半身のまひなどの障害を負い、筆を左手に持ち替えて絵を描き続けた。
「私の記録を包み隠さず、リアルに残してほしい」。「人の役に立ちたい」。春香さんは生前、両親に訴えていた。願い通り、書籍でも映画でも壮絶な闘病生活が描かれている。春香さんは亡くなる数カ月前から精神的に不安定になり、頭を机にたたきつけたり、高い所から飛び降りようとしたりした。コントロールできない自分の心と体にいら立ち、泣き叫んだ。一時期、精神科にも入院した。
「死なせて」と手足をばたつかせて暴れる春香さんを両親と姉が押さえつけるうちに、春香さんが失禁してしまったこともあった。家族が5時間にわたりなだめ続ける中で起きたといい、年ごろの少女が隠したくなるような内容も「ありのままに」伝えたいという本人の遺志を象徴する場面として映画でも描かれている。
◆悪性リンパ腫と闘病…笠井信輔さんとの縁
春香さんの名前が知られたきっかけの一つは、東京新聞でかつて悪性リンパ腫の闘病記「がんがつなぐ足し算の縁」を連載していたフリーアナウンサーの笠井信輔さんと両親の出会いだった。和歌子さんが笠井さんに「春香のことを伝えたい」と東京新聞に投稿したことがきっかけで、笠井さんが2022年9月に両親の自宅を訪問。連載や交流サイト(SNS)で春香さんの思いを紹介した。そうした中で、両親がSNSを通じて映画のプロデューサーと出会い、映画化に至った。
この日の舞台あいさつで、坂野さん夫妻は主人公「ハルカ」を演じた俳優の美咲姫(みさき)さん、映画にも出演している笠井さんらと登壇。笠井さんは「春香さんが亡くなってしまったことは引き算の縁だが、映画などで足し算の縁がどんどん広がっている」と意義を語った。貴宏さんは「縁がさらにつながっていってくれるとうれしい」と願った。
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「春の香り」は「イオンシネマ板橋」や「アップリンク吉祥寺」などで上映している。
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で、ですね、この記事読んで、こういう映画って、ご家族や製作者の思いとは別に、誰も観ないで大したヒットもせず、映画賞も取らないし、凡百の映画の一本として忘れられてしまうんだろうなぁ、と思ったのだが、そういう映画こそ観ておかなければならない、と思い込んで、連日の3時間睡眠で電車のなかでも仕事中でもちょっと気を抜くとウトウトしてしまうというのに、平日の仕事終わりに観に行った。
・・・・・・ここまで長いな。
愛知県江南市を舞台にしているご当地映画なのはそうなのだが、ただの難病ものではなくて。
その子をモチーフにした劇映画になっていて、で、実写を絵に/絵を実写に変換する特殊効果(古いな)も使われていたり、とただの劇映画でもない。
しかし、冒頭から、難病物の映画なのに明るく仲が良くただの幸せそうな家族が描かれる。
まるで、戦争だかなんだかのはずなのにカフェで明るくくつろいでいるカップルばかりの街中で始まった「ガッチャマン」のようだと思ってしまった。
主人公が描く漫画の話が現実で展開していき、しかし現実には病が進行していき・・・という、なんというかこう、二重に話が進行しているかのようだった。
おっさんの私がぐっと来たのは、通信制高校に転向してスクーリングで知り合ったイケメンと仲よくなりつつあるところ、病の進行でスクーリングに行けなくなった主人公がLINEで一言「好きな人ができた」と嘘ついて別れるところ。
もちろんフィクションなんだろうけど、今どきは一言も言葉を交わすことなくLINEで別れるのと、病が進行しなければ嘘ついて別れなくても済むのになぁ、とちょっとおっさんはぐっと来てしまいました。あ、これ、数行上でも同じことを書きましたね。
亡くなった女の子のご両親が出した(おそらく自費出版の)本が原作で、だけど原作をなぞるのではなく、独自の物語の劇映画に仕立てた、ということになるのだろう。
そんな成り立ちで創られた映画だけど、まぁ残念ながらこの手の映画は「愛と死を見つめて」を除いては大ヒットはしない。
しかし、なんと言ったらいいのかなぁ。普通の商業ルートではなく創られた映画だと、金儲けをしようというよりも映画として遺そうという発想が強いのだろうか。
商業ルートには乗らないから、金儲けを主眼とする映画館ではなかなかかからず、かかったところで大儲けにはつながらず、年末の賞レースで話題になることもなく、関わった当事者以外の心にはあまり引っかからずに、円盤にも配信にもならず、数年経ったら映画の公式サイトもなくなり、世間からは忘れ去られていく・・・・
でもひねくれ物のワタシはそういう映画にも心惹かれてしまう。
なので平日なのに、「3/27で上映終了」と聞いたので、会社から遠く離れた板橋まででかけ、これまた「きっとほとんど売れないだろう」と見込んだパンフレットまで大枚1200円はたいて買ってしまった。
自費出版の文芸社が関わっているだけあり、厚めの造りで、関係者の談話が主だが、思った通りロケ地マップが載っていた。ご当地映画ならではである。
映画中、河川敷のサクラが何回か映り、そこも書いてある。主人公がアルバイトする喫茶店<「維納倶楽部」食べログで調べてください>がいいなと思ったらそこも。
その他、名鉄江南駅近辺のロケ地が書いてあるので、ロケ地巡りをするのには大変役立つ。
しかし、映画を観た直後だから行きたいと思うのであって、来年のサクラの季節になったらもう忘れているだろうな。
この映画、3/27で終了と思って頑張って観に行ったのだが、帰宅してTwitterチェックしていたらその27日になってから4/3まで延長されたそうです。
そして、原作本、Amazonで検索したらKindleアンリミテッドの対象で、プライム会員であるワタシはただで読める。
映画.comだと結構高得点だな・・・
そうだ、批判的なことを書いてきたけど、この映画、家族が仲良く、幸せそうなのである。もちろんそんなことはないんだけど、誰かの批評の通り、前半と後半で違うのだ。
「生きているって素晴らしい」「生きているって奇跡」「家族って素晴らしい」ことを描いているのかもしれないな・・・・・・
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