今日はg20 international tax symposiumに出席してきた。
今日のトピックは、イントロ、digital economy, crcb, treaty abuseであった。
ここでは、これらとは直接関係しないが、最近の国際税制にかかる改正プロセスに関する考察を若干記しておきたい。
いわゆるbepsに対応する最近oecdの動きは、企業のロビイング活動の重さ・スピード感、場合によっては経路にも影響を及ぼしている。
現状、国内税法の改正は、例えば経団連等産業界の意見を経産省等が吸い上げ、財務省と折衝している。
産業界は、予算を要する改正は、政治家に働きかけることもあるだろう。
これに対して、oecdの勧告策定等は当然oecdが行っているため、産業界が意見を具申する相手はoecd相手になる。
この場合も産業界は経団連等を経由するということになるだろうが、経団連等に所属していない主体は、他の業界団体ないし自ら対応する必要がある。
日本の政治家を相手にすることもできない。
しかも、国内の場合とは異なり、当然英語で意見発信する必要がある。
最近のbeps対応アクションにかかるディスカッションドラフトは、何十ページにもわたる英文が逐次公表されており、これらを読み込んでコメントする必要がある。
oecdは、各界からのコメントも検討の上、最終勧告を公表。
それが各国国内法改正、租税条約改正につながることとなる。
国内法制化される段階では、国際的に合意がされているのだから、細かい箇所はともかく、大枠への反対は困難であろう。
その意味で、産業界は、出だしのoecdディスカッションドラフトの段階でもれなくコメントする必要がある(周知の通り、現段階でも締め切り済みのものがいくつか)。
その場合、ボリュームが大きく、かつ英語であるため、負担は大きいであろう。スピード感もある程度のものが要求される。
こうした税制、しかも国際税制の議論は、例えば個別の税務申告・調査や、プランニングと異なり、個別の会社が人件費を負担することが難しい場合もあろう。
さらには、税務専門家であっても、制度論であるゆえに、適切にコメントできるとは限らないし、そのコストも誰がどう負担するか難しいだろう。
そういう意味で、最近の国際税制にかかる改正プロセスは、一種独特なスタイルに切り替わりつつあることを留意する必要があるだろう。