喫煙を考える

「喫煙」という行為について共に考えましょう。
タバコで苦しむのは、喫煙者本人だけではありません。

夜行バスの禁煙徹底の要望に回答が来ました

2017-11-08 07:53:55 | タバコ問題への取り組み

4月に奈良を訪れた際に利用した夜行バスで
これまで嗅いだことのない臭いを長時間、繰り返し嗅がされたことで
急激で強烈な体調不良に見舞われたことは、2017年4月16日の記事で書きました。
臭いの性質と身体的症状などから、加熱式タバコの使用が原因である可能性と
「死んじゃうかも」と思うくらい激烈な症状によって恐怖を感じたことから
夜行バスの運行会社である近鉄バスと関東自動車に要望書を出したところ
4月28日付の文書で回答があり、5月12日の記事で紹介しました。
バス運行会社の回答に不満があったことと
今後二度とこのような事が起こらないように、対策について確約を取りたいと考え
「バスの完全禁煙をめざす会(以下、バス禁煙の会)」に相談したところ
バス禁煙の会から運行会社2社に加え、日本・栃木県・大阪バス協会と国土交通省に対して
要望書を出してくれることになりました。


バス禁煙の会では、以下の趣旨で8月10日ごろに要望書を出したそうです(概略)。

「とちの木号」は開放休憩がないので、休憩のSA等で喫煙した乗客の呼気からサードハンドスモークの被害を受けたとは考えられず、車内で加熱式タバコの使用があったと思われます。
バスの輸送の安全とは、整備された車両及び優秀な運転手によってバス車両が無事故で目的地に到着しただけでなく、乗客を無事に目的地に届けることが求められます。今回の如く、バス車内で受動喫煙による健康被害を受けたことは、輸送の安全が確保されているとは言えません。
今回は、乗客による加熱式タバコの隠れた使用による受動喫煙が原因と思われ、直接指導等が難しいかもしれませんが、多くの航空会社をはじめ国際標準で行われているように「あらゆる型のタバコも使用を禁止する」ことは、乗客の安全を守るだけでなく、乗務員の受動喫煙による体調悪化の結果生じる重大な事故をなくすことにより、バス輸送の安全性をより高くするものと思われます。
路線バス車内における、「あらゆる型のタバコ使用を禁止して頂くこと」を要望します。言うまでもありませんが、これはお願いや注意だけを掲示、放送することだけをお願しているのではありません。実効性ある対処で車内において「あらゆる型のタバコ使用を禁止」を実現して頂くことを要望致します。


これに対し、9月30日までに各要望先からバス禁煙の会に回答が届きました(概略)。

【近鉄バス】
今般お客様からバス車内で新型タバコの使用があったと思われるとのご申告をうけ、従来の禁煙表示から新型タバコ等も含めた表示に順次変更していくほか、車内アナウンスでも禁煙についてご案内する際は、具体的に新型タバコについても禁止である旨を付して放送するように致しました。また、全運転士に対して、開放休憩後は出発前に臭気の確認をすることおよび運転士が休憩で喫煙した場合は、三次喫煙によりお客様に不快な思いをさせる事があるとの認識を高めるように改めて通知いたしました。
今後もお客様のご意見や社会動向等を踏まえて、お客様に快適にご利用頂けるように努めてまいりますので、何卒ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。
近鉄バスは、今回の件を受け、ホームページで
バス車内は電子・加熱式タバコも含めて禁煙であると明記するようになりました


【関東自動車】
○弊社のバス車内では電子タバコも含めて禁煙となっております。
 (平成28年4月から貸切バスも全車両車内禁煙としました。)
○バス車内での案内等強化実施
 禁煙表示に電子タバコも含む案内に変更、アナウンスに電子タバコの案内も追加、車内巡回時の臭い等の確認の実施をしております。
○乗務員に喫煙(サードハンドスモーク等)に対する教育を実施
 衣類等へのタバコの臭いや有害物質の付着等によるサードハンドスモークによりお客様に不快な思いをさせる事があるとの認識を高め注意するよう指導しました。また、産業医による健康相談時のタバコの健康被害等の指導も取り組んでおります。
タバコに関しては法整備も進められておりますので今後の法改正や社会環境の変化を鑑みながら更なる対応を検討していきたいと考えております。
関東自動車は、今回の件を受け、ホームページで
バス車内は全席禁煙(電子タバコ含む)であると明記するようになりました


【日本バス協会・栃木県バス協会・大阪バス協会の3社連名】
貴会よりいただいたご要望にある加熱式タバコなどの新型タバコの取扱いにつきましては、現在、国土交通省から明確な取扱いが示されておりませんので、その取扱いが示されましたら、これに従って対応していきたいと考えております。
なお、バス事業者の中には、近鉄バスや関東自動車のように加熱式タバコなどの新型タバコについても禁煙対象としている事業者があります。
以上、ご理解のほど何とぞよろしくお願い申し上げます。


【国土交通省】
バスをはじめとする多数の者が利用する施設での受動喫煙の防止については、健康増進法(以下「法」という。)において措置されているところです。
今般、法を所管する厚年労働省では受動喫煙の防止が平成15年に法の「努力義務」とされてから10年以上が経過し、国民の8割を超える非喫煙者を受動喫煙による被害から守るため、法改正を行い多数の者が利用する施設等の一定の場所での喫煙禁止と、管理権限者への喫煙禁止場所の位置の掲示等を義務づける検討をしていると認識しております。
一方、今般ご要望いただいた、電気加熱式たばこ等は、厚生労働省によると現時点では受動喫煙による健康影響についての知見が十分でないため、法案が規制対象とする「たばこ」の概念に含めた上で、健康影響が明らかでないものを、政令で、規制対象から除外可能な形にするとしています。
国土交通省としては、法改正の動きを注視しつつ、適切に対応していきたいと考えておりますので、ご理解をいただきますようよろしくお願いいたします。


いやー、面白い。
実に面白い。
組織が大きくなればなるほど、そして上級所管になればなるほど無責任です。


実際に乗客に健康被害を与えてしまった運行会社2社は
要望のすべてを叶えるとまでは行かずとも、誠意のある対策を実行してくれたのに対し
バス協会は完全に他人事です。
判断は国土交通省任せであり、新型タバコを禁止している会社として
驚くことに、今回の件の当事者である近鉄バスと関東自動車を挙げてきました。
近鉄バスと関東自動車は、乗客によるものとはいえ、被害を出した当事者であり
要望書によってそれを知り得た後に対策を講じた会社であるわけですから
通常の理解力と思考力があれば、しれっと2社の名前を挙げることは
たいていの場合、図々しいのではないかとか、さすがに恥ずかしいとか
厚かましいと思われるのではないかとか、面の皮が厚いことが露呈するのではないか
などと考えると思うので、回答に書いてしまうことはおいそれと出来ることではありません。
バス協会、心臓に毛が生えています。


さらにその上を行くのが国土交通省です。
まず、日本語での説明を不自由としているようです。
そして、受動喫煙の防止に関しては健康増進法に措置されているとしながら
国土交通省では判断せずに他所任せ、厚生労働省のせいにしています。
しかも、この日本語として怪しい回答を読むと
厚生労働省は新型タバコをとりあえずは「タバコ」の概念に含めたうえで
健康影響が明らかでないものを、政令で規制対象から除外可能な形にする
というではありませんか
これが事実であれば、とんでもないことです。


健康影響が明らかでない物を規制対象から除外するということは
『治療』特集2017 №11 禁煙up to dateでご紹介した野村英樹氏の発言からもわかるように
「疫学的研究の結果が本当に確定するまでには短くて20年近くかかりますので
 新しい製品を出しては20年売り続けるという作戦を許していたら
 永遠にニコチン・デリバリー・デバイスはこの世からなくならないと思います」
ということになってしまうのです。
そうなると、影響はバスだけにとどまらず、広範囲に広がってしまいます。
今後、バス禁煙の会と作戦を練って、対策を考えたいと思います。


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