仙台市とタバコ企業の協力から見えてくること

2021年02月05日 10:18配信の河北新報ONLINE NEWS
「勾当台公園に３種の喫煙スペース　仙台市とＪＴ、４月から社会実験」
は、仙台市がタバコ企業と共同で、喫煙所の設置を試行するという内容でした。
宮城県の禁煙団体であるNPO法人禁煙みやぎが郡和子仙台市長に提出した抗議書から
この件で禁煙みやぎが認識している問題点が大きな項目①～④で記されています。
さらに、①～④の指摘の後にも
・「止めたくても止められない」多くの喫煙者を タバコ消費に寄与させること
・タバコ煙のような微粒子の「分煙」は不可能であること
が挙げられており
「公園の灰皿を撤去することによって、必ず喫煙者は減少するはずです。
まずその事を実行してください。」
とも記されています。
灰皿の撤去だけで喫煙者の減少(公園で喫煙しない状況)にもっていくことは
なかなか難しいと私は予測します。
また、当記事は禁煙みやぎの抗議書について論じるわけではないので
内容については、皆さんが上記リンクから確認してください。


さて、禁煙みやぎが指摘した問題点のほかに
仙台市の担当課（青葉区公園課）がしようとしたタバコ企業との協力は
根拠法に基づかず文書主義を蔑ろにした、行政の暴走だと私は考えます。
また、行政とタバコ企業との協力が問題だと認識しているはずの郡和子市長にも
行政の長として過失があると考えています。
仙台市の協力相手である日本たばこ産業（JT）は
日本たばこ産業株式会社法（JT法）に基づき設置された特殊会社で
仙台市では、仙台市職員倫理規程で利害関係者との接触や
特殊法人を含む公官庁職員との接触について規定しています。
仙台市在住の知人が青葉区公園課に確認したところ
・公園課は勾当台公園の受動喫煙対策を日本たばこ産業に相談
・公園課では稟議書を作成せずに口頭で市長に説明
・市長は口頭で了承（決裁）
という説明を受けた、との情報も提供していただきました。
これらを総合すると、現在政府（行政府）の政策決定過程で問題となっている
文書不存在や便宜供与、利益相反など
規模の差こそあれ、この問題が相似形であることがわかります。
また、喫煙所設置・試行の費用はタバコ会社が負担するため予算の承認が不要で
行政は議会を通すこともなく施策を進めることができ
計画がかなり進捗してから情報が明るみになり、市民は驚くことになります。


そこで、2月28日に仙台市（郡和子市長、総務局局長、市民局広聴統計課）宛てで
以下のように要望を送りました（概略）。
１．仙台市職員倫理規程第5条・第6条に抵触
２．国会議員在職中に禁煙推進議員連盟に所属していた郡市長は
　　日本政府がFCTCに批准していることをご存じのはずで
　　タバコ企業と協力した「社会実験」が不適切であると判断できず
　　文書もなく透明性を保てないまま了承（決裁）した責任は重い
３．国際条約を蔑ろにする施策遂行は地方公務員法第33条に抵触
４．１～３について担当責任者及び郡市長の責任を明確にし
　　仙台市倫理規定第13条に基づき処分を行うこと
　　ただし、仙台市の施策においてタバコ企業との協力を解消する場合は本要望を取り下げる


仙台市からは、回答をお願いした3月3日を過ぎても連絡がないため
3月12日に改めて回答をいただけないかフォームから問い合わせましたが
なんの音沙汰もありません（おそらく回答できないのでしょう）。
行政とタバコ企業の協力は、公務員倫理の根幹を揺るがす問題でもあるのですが
3/30(火) 10:09配信の河北新報ONLINE NEWS
「勾当台公園の分煙実験を見送り　仙台市に抗議相次ぐ」
を読み、仙台市の姿勢に大きな変化がないと感じ、記事にしました。
河北新報にも問題意識は感じられず、これについても後日記事にする予定です。


当記事が、仙台市の市民をはじめ他自治体に居住する皆さんにとって
仙台市の姿勢や郡和子市長の市政の在り方や
居住地の自治体ではどうなっているのかを考える材料になれば、と思います。
自治体とタバコ企業の協力は、設定や条件を変えて
仙台市とほぼ同じ構造でほかの自治体でも起きており
私が居住する久喜市も、タバコ企業の協力を得て指定喫煙所を設けています。
久喜市の指定喫煙所の問題についても、改めて記事にする予定です。
仙台市のホームページには、3月19日付で
3月26日に「勾当台公園再整備検討懇話会」が開催と掲載されていますので
市の動向に変化があるかもしれません。