2012年11月22日(木)、お隣の奥州市にて、奥州市観光地巡りバス「奥州ふるさと再発見号」Bコースが開催され、当推進室スタッフも参加してきました。
スタッフが参加したBコースは「アテルイの時代から安倍氏・藤原氏時代までの縁の地を巡るコース」で、世界遺産・平泉の文化を築いた奥州藤原氏や、平泉の文化が成立する以前にこの地方一帯を治めていた安倍氏、そして平安律令政府の征討軍と激闘を繰り広げたアテルイの時代にまでさかのぼり、その関連史跡を巡ります。
当日は朝からもやがかかっていましたが、お昼にはスッキリと晴れ渡り、絶好のツアー日和となりました。また平日にもかかわらずバスが満席となるほどたくさんの方が参加していました。
集合場所を出発したバスは、まず最初に奥州市水沢区にある「奥州市埋蔵文化財調査センター」に到着。館内では、802年(延暦21年)に坂上田村麻呂が造営し、鎮守府が置かれていた「胆沢城」や、古代東北蝦夷(えみし)とその長アテルイについて、係員による展示解説やビデオを見ながら学習しました。
展示室の見学を終えた後は、胆沢城から出土した屋根瓦の拓本取り体験を行いました。
最初に、同センター所長の佐久間 賢氏に瓦についてわかりやすくお話をいただいたあと、実際に拓本取りにチャレンジです。
和紙を瓦に貼り付けて筆で軽く濡らし、ビニールをかぶせて上から歯ブラシでこすると紋様が和紙に浮き上がってくるので、少し乾いてきたところをタンポで墨を押し付けることで和紙に紋様を写すことができます。
あとは、瓦から外した和紙を手で軽く伸ばし、最後は厚い本に挟んでしっかり圧し伸ばしたら拓本の完成です。
拓本は台紙に貼って記念に持ち帰ることができました。
埋蔵文化財調査センターを見学した後は、お待ちかねの昼食です。
奥州市江刺区・蔵町モールの中にある「蔵まち郷土食材間えぴや」でオリジナル弁当をいただきます。
地元の野菜や金札米を使った地産地消のお弁当とのことで、特に乾麺ではない生の「卵麺」を使った椀は食感もよく美味でした。
腹ごしらえができたところで、午後からはいよいよ本格的な史跡めぐりに出発。
ここからは、「えさし炎がいどくらぶ」会長の大浪 昭氏のガイドのもと、奥州藤原氏初代清衡が発願し5390巻もの「紺紙金銀字交書一切経」を写経させた地とされる「益沢院跡」や、藤原経清とその息子、清衡が住んでいたとされる「豊田舘跡(車窓から)」(どちらも奥州市江刺区)を見学しました。
その後は、みずさわ観光サポーターの会 岩城 秀弥氏の解説により、奥州市内の史跡を巡っていきます。
バスの車中では黒石寺蘇民祭のお話や移動ルート沿いの史跡の紹介など、知識豊富な岩城さんから様々な興味深いお話を聞くことができました。
次に向かったのは奥州市前沢区にある「白鳥舘遺跡」です。遺跡には数百年前の山城の跡があり、伝承では、かつて安倍貞任の弟である白鳥八郎則任(行任)の住んでいた場所としても伝えられています。
今回は史跡案内所付近での解説となり、実際に遺跡を散策することはできませんでしたが、見学ポイント正面に見える森全体が「白鳥舘遺跡」で、堀跡や土塁などの遺構が残されているほか、植物も多種多様で、花などの写真を撮りに来る方もいるそうです。
ここからは奥州市衣川区に入り、藤原秀衡の母が旅人を接待したと伝えられる「接待館遺跡」を車窓から見学し、「長者ヶ原廃寺跡」に向かいました。
「長者ヶ原廃寺跡」は元々金売吉次の屋敷跡と伝承されてきましたが、発掘調査の結果、安倍氏時代の寺院跡ではないかと考えられています。
東には平泉大文字送り火が行われる束稲山がよく見渡せ、長者ヶ原廃寺の礎石も束稲山で採掘されたものだということがわかっているそうです。
その後、安倍氏ゆかりの地とされる「安倍館跡」「磐神社」などを車窓から見学したのち、最後の目的地「一首坂」に辿りつきました。
ここは、前九年合戦のさなか、安倍貞任と源義家が歌問答を行ったとされる場所で、貞任を追いつめた源義家が、馬上から「衣のたてはほころびにけり」と下の句を詠みあげたところ、貞任は「年を経し糸の乱れのくるしさに」と上の句を返したと言われています。
一首坂の見学を終えた頃には日も傾き始め、一行を載せたバスはこの後集合場所へと戻り解散となりました。
今回は奥州市の史跡を肌で感じ、世界遺産・平泉に至るまでの歴史を紐解き、壮大な歴史ロマンを感じることができた1日でした。
なお、奥州市では2013年1月30日(水)~2月23日(土)の期間で「奥州ふるさと再発見号」(第2期)の運行を予定しているそうです。
第2期は「郷土食と地場農畜産物を学び体験するコース」と「古刹での体験・特別見学と銘菓の製造過程を学ぶコース」の2種類とのことですので、興味のある方は下記までお問い合わせください。
【申し込み・お問い合わせ先】
水沢ツーリストサービス(株) TEL 0197-24-7301
【参考サイト】
奥州市観光サブサイト:「奥州ふるさと再発見号」を運行します
http://www.city.oshu.iwate.jp/kanko/view.rbz?cd=1692