11月29日(土)にカシミヤのニット製品を製造、販売している(株)ユーティーオー(UTO)岩手工場の見学・体験ツアーに参加してきました。(所在地:北上市下江釣子12-164-3)
このツアーは、「UTO」と国内で製造されたアパレル製品などを販売している通販サイト「ファクトリエ」との提携で行われ、全国から約30名のアパレル関係者や一般のカシミヤ愛好者が参加し、製造工程の見学や縫製などの体験をしてきました。
世界中の多くのニット製造工場は、製品を低価格で販売するためにほとんどの作業を機械で行うのでセミオーダーはできませんが、UTO岩手工場は大量生産ではなく、各工程を手作業で行い、自社で工場生産をしているので一枚からニットの生産が可能です。そのため、セーター、カーディガン、ストールなどのニット製品をお客様の希望のサイズ、好きな色でオーダーを受けることができます。ニットのセミオーダーを可能にしている工場は世界的にも珍しいそうです!
製品の製造工程は、オーダーを受けてから大きく分けて9つほどありました!
1. 【ろう引き】 機械で編む際に糸の滑りを良くし、
静電気が起きないように糸にロウを塗ります。
2. 【編み立て】 編み機は3台あり「SHIMA SEIKI」という日本製の機械を使用。
世界の6.7割がこの機械を使用しているそうです。
3. 【縮絨】 40℃の水温でつけ置きし、ろう引きしたロウを洗う。
洗うことで生地の組織を密にして柔らかさや硬さを出します。
家庭で洗う場合はニットを洗濯ネットに入れ、オシャレ着洗い用洗剤と
柔軟剤を入れて洗濯機の手洗いコースで洗います。
4. 【乾燥】 一般的には乾燥機を使って乾燥させるが
自然乾燥がカシミヤにとって一番負担のかからない良い方法。
5. 【リンキング】 伸び縮みする編み地同士を縫い合わせていく作業。
双方の細かな編み地同士をつなぎ合わせる為、
高い技術を必要とする。
6.【仕上げ】 寸法を整えるために製品を型にはめて蒸気でアイロンをかける。
7. 【縫製】 リンキングしたパーツ、前身頃、後身頃などを
縫い合わせる。
8. 【内職】 縫製した捨て糸を取り除く。
9. 【畳み】 完成したニットやマフラーなどのホコリや糸を
ガムテープで丁寧に取り除き、包装する。
岩手工場の従業員さんは平均28歳という若い年齢にもかかわらず、熟練されたとても高い技術を持っていらっしゃいました。
特にリンキングという網目のひとつひとつに針を通す細かな作業や、ニットのほつれ、穴あきの修復作業は高い技術を目にした参加者の皆さんから 「まるで、手品のよう!」 と、とても感心している様子が伺えました。
参加者は6.7人に分かれ製造者の指導の下、リンキング、仕上げ、縫製、内職などの体験を行いました。皆さん、初めて見る機械に興味を持ち、真剣な表情で作業していました。
また、製造者との交流を楽しみながら、体験を通して技術の難しさを感じているようでした。
今回のカシミヤ工場見学・体験ツアーでは、普段見ることができない職人技術や製造工程、販売の流通を学ぶことができて、とても貴重な体験をしました。
「UTO」は各工程を自社で行うというスタイルでセミオーダーを可能にし、上質のカシミヤニット製品を通販サイト「ファクトリエ」のインターネット販売により流通のコストを抑えて低価格の販売を実現しているそうです。
世界的にも大きな評価を受け、新しい生産スタイルを作り上げたUTOの岩手工場は北上が誇れる魅力の一つだと思います。