今日は、朝から雨が降っていて寒々としています。
木曽谷歴史文化研究文庫 第四号 木曽の伝説 第四集 興禅寺のきつね様 をご案内します。
興禅寺(11/14撮影)
興禅寺のきつね様
木曽福島の門前という集落に、興禅寺というお寺があります。このお寺には美しい庭がありますが、裏庭に一つ、きつねの碑が建ってます。この碑にまつわるお話です。
明治の初め頃、一匹のきつねが人間に化けてこの寺で小僧さんをしておりました。和尚さんは、小僧さんがきつねだということを承知して使っていたのでした。ですから、小僧さんが昼寝していてうっかりしっぽを出してしまうと「こらこら、しっぽが見えてるよ。」と声をかけたものでした。
ある日、和尚さんは日和田という集落へ小僧さんをお使いに出しました。しかし無事にお使いを終えての帰り道、小僧さんは鉄砲に撃たれて死んでしまいました。小僧さんは肉眼で見ると人間に見えたのですが、鉄砲を通してみると、きつねにしか見えなかったのです。それで猟師が、小僧さんを撃ってしまったのでした。
一方、小僧さんの帰りを待ちわびていた和尚さんは、心配になって日和田まで出かけて行きました。日和田の山道で、和尚さんは死んでいる小僧さんを見つけ、寺につれて帰りました。和尚さんは、小僧さんの死を悲しみ、骨を埋めてそこに碑を建ててやりました。
これが興禅寺のきつねの碑だということです。
興禅寺の勅使門(11/14撮影)
興禅寺の入り口にある勅使門です。
木曽路には、キツネに関する伝説は沢山あります。興味のある方は、いろいろ見て歩くとたのしいと思います。