昨年の大晦日、大掃除のつもりもなく(毎日が大掃除なので)庭に数年来横たわっていた大きなブロックをどけると、そこに、この笑顔のカニがいました。
丸くきれいに部屋を作ってあったのに、いきなり屋根を天井ごと外されたカニは、本当は人間の勝手な思いで見る笑顔どころの騒ぎではなかったに違いありません。
しばし茫然とした(のかどうか)後、ほどなくして静かに横歩きをしていなくなりました。
本当は新年早々に、カニの笑顔で投稿しようと思っていたのですが
それこそ、笑顔どころの騒ぎではなく様々に大切なものが壊れていく事態が起こり
連日の味噌作りも始まって、カニの笑顔の存在そのものを忘れてしまっておりました。
今日の味噌作りの最中、ひとりで同時に進行具合と理解度の違う複数人の方々に、それぞれに声をかけながら、目と手と心を配りながら、農婦の脳みそも体もぐるぐるしていると、
突然「こんにちは!ここはお米作っていますか?」と笑顔で入って来た方が来ました。
それには答えず「ご用件は?」と尋ねると、「育苗土を販売しているのですが、使ってもらえないかと。お米作っていますか?」
自分の名前も名乗らず、相手の許可もなく突然味噌作りの場に入って来られて、用件も言わずに自分の聞きたいことをいきなり質問されて
いささか、ムッとした農婦。お名前はと問うと、ようやく名刺を出したものの、また、あれこれと話し始めました。
「今、本当に忙しいんです」と言うと、すみませんと言いながら、帰って行きました。
その後はいつものように、和やかに、にぎやかに皆さんに味噌作りをしていただき、夕方、最後の方を笑顔で見送りホッとしたところで
ふと、お米、作ってますか?を思い出し、再びムッとしながら後かたずけをひとり黙々とした次第です。
夜になって写真の整理をしていて見つけた笑顔のカニ。
自分はカニに対して無断で屋根を剥がしておいて
本当は笑顔なんかではなかっただろうに
勝手に笑顔に見えたのをいいことに、不躾な態度で写真まで撮って主を家から追いやったではないかと
日中のムッとした自分とカニとが重なりました。
今日の味噌作りで、農婦の思い違いからの代案を快く受け入れてくださった方々に心から感謝をしつつ、一体いつになったら、人生の修行は終わるのかと
反省は尽きません。
カニさん。ごめんよ。