私は仕事の裏側を見るのが好きだ。
よって、
NHKの「プロフェッショナル」をよく観る。
昨夜の夜は7時半から8時45分まで
動物スペシャルと題して、4つの話が取りあげられていた。
①1人で深夜救急も受けつける獣医師の話
②某動物園のキリンとその特別飼育員
③某動物園の象とその特別飼育員
④介助犬トレーナー
以上の4つ(4人)である。
どの人も凡人にはできない並々ならぬ努力を日々重ねている。
①、④の人、ふたりとも今の日本に必要とされる貴重な
人材で後継者になりたい人が多く出て来る事を願う。
②のキリンとの日々の生活は私の琴線に触れた。
引き込まれるようにして映像を見た。
動物好きのA氏は20才で動物園に就職し、キリン飼育員に配属されたが
8年間で6頭ものキリンが亡くなったそうだ。
本来キリンはアフリカで荒野を走り回って生活している。
狭い柵の中に入って生活する事はない。
あくまで人間という我々生き物が自分たちの楽しみの為に捕獲し、
観賞用として動物園の檻の中という狭い所に閉じ込めているのだ。
走り回れないキリンはストレスが溜まる。
動き回れないキリンの足の爪は伸びる。
檻の中に入れられている為、方向感覚もなくなり
すぐに色んな物にぶつかったり、伸びた爪で何かにつまづいたりして
転倒するらしい。
転倒して骨折したら・・・手厚い治療を施しても
すぐに亡くなるという。
A氏はちょっとした事で亡くなるキリンを目の当たりにして
もがき苦しんだ。落ち込んだ。心が折れそうになった。
どうすれば、人間の犠牲になったキリンを少しでも楽しく
野生のキリンより生きてもらうかを日々考え、あるトレーニング法を
学び実践した。
キリンに人一倍愛情をかけ、そのトレーニングにより、キリンを自由自在に
操れる(というより、キリンが彼になついていた)ようになった。
体長7mのキリンが彼の号令で止まったり、右側を向いたり、首を下げたりするのだ。
毎日、一時たりとも、キリンの健康状態の善し悪しを見逃さない、
それが、キリンの寿命を延ばした。
キリンが病気になった時の注射の仕方は、キリンの好物の食べ物を
鼻先に持って行き首を下げさせ、その下がった瞬間に首に栄養剤や
痛み止めを獣医師が打つのだ。
A氏と獣医師の連携技。お見事!
大型の動物は治療が難しいので、麻酔銃などで身体を横たわらせて
治療する場合が多いと思うが、全身麻酔は動物にとっても大きな負担で
回復が遅れたり、回復できなかったりするようだ。
③の象の特別飼育員のB氏の日常も涙ぐましい努力の日々だ。
ある象が子供を産んだのに育児方法が判らず、育てようとしなかった為
B氏が母親代わりになり、約一年間、象の部屋で一緒に寝泊まりした。
その象はB氏を母親のように思い、B氏の姿が見えなくなると
情緒不安定になり、泣き続ける。
そんな時は突き放さないといけないと言う。
ある程度まで成長したら自分の力で生きていかなければいけない、
それを見守るのも飼育員の仕事だ。
キリンと象・・・
確かに飼育は難しいようには思っていたが、
動物園の裏側でひとりのリーダーのもと、多くの人が日々、身を粉にして
働き、動物園を訪れる私たちを楽しませてくれる・・・という事実を
TVの映像は語りかけてくれていた。
動物園に入れられる動物たちは可哀想だが
やはり、身近でキリンや象などを一般人の私たちは観たいと思う。
A氏やB氏のように心から動物を愛し、その動物に慕われる飼育員が
これからもどんどん育っていって欲しい。
TVプロフェッショナルは仕事の裏側を私たちに見せてくれる
興味深い番組である。
特に昨夜の番組(動物編)は
ギスギスした人間関係がはびこっている人間社会の中への
一条の灯りのような気がした。
久しぶりに心癒された充実した内容、
再放送があれば、皆様にもお勧めしたい番組です。(*^_^*)