きさらさら日記

日々のいろいろ雑記帳 by:kisarasara

ひとりのわたし ~『へばの』シアターホトリ上映によせて

2011年05月24日 02時23分56秒 | まち
私が初めて『へばの』という作品に出会ったのは3年前の冬のこと。
それから機会があるごとにこの映画を見てきた。

核燃料再処理施設をかかえる青森県六ヶ所村を舞台にした男女の物語。
そう聞いた時の印象はどうだろうか。
正面切って触れにくい何か、目をそらして通り過ぎた方が楽な何か……。

シアターホトリで『へばの』を上映したい、という思いは立ち上げ当初から。去年の秋のことだ。
〈原発〉というテーマを扱いたかったんじゃない。

日常においていちばん目をそらしていること。
向き合わないと本質的に先に進めないこと。
『へばの』はそれに、真っ正面から向き合った映画だと思っていからだ。

社会における様々な問題は「ひとりのわたし」で抱えきれるものではないけれど
「ひとりのわたし」の延長に世界はある。
そこに立って、「ひとりのわたし」として、何を考えるか。
その先にしか未来はない。
わたしはそれを『へばの』につきつけられた。


そして今。地震は様々なこと裏返してしまった。
目をそらして通り過ぎることが難しい現実が目の前にある。
見て見ぬフリはできない。そう思っている。

だけどこの実感の無さはどうだろう。
どんなに騒ぎ立てても、どんなにデータをかき集めても、
そしてともすれば変わりない日常の中に埋没させてしまいやしないか。
そんな気持ちに駆られているのは私ばかりではないだろう。

いま「ひとりのわたし」として、何を考えるか。
何を次につなげていくのか。

いま『へばの』という映画を介して
どんな気持ちが生まれるのか。
ぜひその実験に出ていただきたい。

映画というのは不思議なもので、
フィクションでもドキュメンタリーでも関係なく、
そのうしろにいる、それを作った人たちの思いが
画面からにじみ出るようなところがある。

『へばの』のそれは、とても不器用だけれど、
自分の考えたことを、ごまかさずに、ぶつけ合ったのであろう
というその姿勢が、端々からにじみ出ている。
それを感じていただくだけでも、この映画を見る価値はものすごく大きい。

ごまかさずに、ぶつけ合うこと。
その先に未来はあるのかもしれない。
そう思わせてくれる映画です。
ぜひお誘い合わせの上、山中湖へ。
会場でお待ちしております。



*『へばの』公式ホームページ http://teamjudas.lomo.jp/top.html
*監督ブログ A Pluralistic Universe 

*(公開当時にへばのについて書かせてもらった文章はこちら)→http://hebano2009.exblog.jp/15491798/
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【定期映画上映 シアターホトリ】

■上映作品:『へばの』各回アフタートーク有
■日時:2011年6月9日(木曜日)~6月12日(日曜日) (計7回上映)
■チケット:前売1,500円/当日1,800円
■同時開催:北村早樹子(『へばの』音楽)LIVE 前売1,000円/当日1,300円
■会場:山中湖畔 宿ホトリニテ http://hotorinite.exblog.jp/i29/
■チケット取扱
 宿ホトリニテ(山中湖村) 0555-62-0548
 ナノリウム(富士吉田市) 0555-24-2938
 わじあじあ(甲府市) 055-237-2133


■上映時間/アフタートーク詳細

(1)6月9日(木曜日)18:30開場/19:00開始
多様な職業の女性3名によるクロストーク!!
三浦裕子(みうら ひろこ)1969年生まれ/会社員/富士吉田市在住
友添 直子(ともぞえ なおこ)1983年生まれ/ヨーガセラピスト/富士吉田市在住
丹澤宏美(たんざわ ひろみ)1978年生まれ/写真家/甲府市在住


(2)6月10日(金曜日)13:30開場/14:00開始
渡辺大壑(宗教家・書家)渡辺大壑(わたなべ だいがく)1962年生まれ/宗教家・書家/富士吉田市在住 
富士吉田市臨済宗妙心寺派吉祥寺住職。
1984年東北大学理学部数学科卒業。埼玉県平林寺専門道場にて糸原圓應老師
に参禅し、座禅修行を積む。89年斬暇後、高校にて教鞭を執るかたわら、
書真会渡辺寒鷗師に入門し、書、刻字を学ぶ。2001年毎日書道展毎日賞。
同展会員。書道研究春登会会長。山梨書道協会常任理事。同年,先住職の没後、
住職となる。以後、「直心道場座禅会」を主催し若者の指導に当たる。


(3)6月10日(金曜日)18:30開場/19:00開始
戸高優美(自然活動家)×菅沼雄介(高校教師)
戸高優美(とだか ゆうみ)1969年生まれ/自然活動家/山中湖在住
野外学校FOS事務局。東京生まれ。小さい頃から自然・キャンプに親しむ。
大学で野外教育学を専攻、「自然・人・自分」をテーマに様々な活動を行う。
出産を機に出会った母親たちと富士北麓のフィールドで自然育児を満喫。

菅沼雄介(すがぬま ゆうすけ)1974年生まれ/高校教員/富士吉田市在住
山梨県立富士北稜高等学校建築デザイン系列教諭。長野県飯田市生まれ。
2001年より山梨県職員として工業高校建築科に勤務したのち現在に至る。
大津蔵(下吉田)の改修や石窯の制作等、実体験を重視した、
地域社会とのつながりを活かした教育活動が注目されている。


(4)6月11日(土曜日)13:30開場/14:00開始
*アフタートーク無し
◆北村早樹子LIVE 16:00開場/16:30開演 
北村早樹子(きたむら さきこ) 1985年大阪府生まれ。高校1年生の時より、思春期の煮え繰り返る行き場のない感情を
発奮させるべく、ピアノを触って歌を作り歌いはじめる。アルバムでは1st『聴心器』(06)、
2n4d『おもかげ』(07)、2011年1月1日に豊田道倫プロデュースによる
3rd『明るみ』をリリースした。『へばの』主題歌「蜜のあはれ」は『おもかげ』収録。


(5)6月11日(土曜日)18:30開場/19:00開始
木村文洋(きむら ぶんよう)「へばの」映画監督
木村文洋(映画監督) 
1979年青森県生まれ。99年より8mmによる映画制作を始める。その後、
京都国際学生映画祭運営に参加、映画上映・批評に学生時代を費やした。
佐藤訪米、井土紀州に師事後、2008年に『へばの』を初長編監督、
国内外で自主公開・上映する。現在新作準備中。


(6)6月12日(日曜日)13:30開場/14:00開始
多様な職業の男性3名によるクロストーク!!
渡辺一史(わたなべ かずふみ)1965年生まれ/市役所職員/富士吉田市在住
三浦貴久(みうら たかひさ)1978年生まれ/MIURA料理店店主/河口湖町在住
小山田俊司(おやまだ しゅんじ)1984年生まれ/観光従事者/富士吉田市在住


(7)6月12日(日曜日)18:30開場/19:00開始
木幡赳士(科学ライター・科学記者)
木幡赳士(こわた たけお) 1943年生まれ/科学ライター・科学記者・generalist/山中湖在住
大学・大学院では物理化学を専攻。百科事典の編集、先端科学技術の取材、現代用語事典の
企画・編集・執筆に従事する傍ら各種メディアで天文学や宇宙論、物理学、生物学、医学などの
解説や書籍の執筆・翻訳・編集。大学講義:科学史、エネルギー論など。

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