KIRA KARACHO/唐長の奏でる唐紙の音

唐紙屋「唐長」唐紙師トトアキヒコが奏でる光りと音…「唐長美術館」への軌跡

人間は世界の中心ではない

2011-08-26 22:47:00 | 文天紙結音の会(あやつこてんしゆいおん)


月に祈りを
星に願いを
心に花を






今年の大文字はなんとも印象的でした。
大文字の火が灯されるとともに山影から妖艶なオレンジの輝きが…
はじめ、なんだかわからなかったのですが、
月でした。

大文字とともにのぼりし月

こころに刻まれたこの光りから彷彿する色で月をうつしとる。
8月の文天紙結音の会、ことのはの会ではこの月にみなで月という文字をしたためました。
写真で本当の色はでてないけど、朧げな月にさまざまなもののけが宿る気がします。


自然はいつもそこにある。
環境保全について考える風潮はよいことだと思うけど、人間が世界の中心だと考えている限りはうまくいかないでしょうね。
自然は人間がコントロールするべきでも、ましてやコントロールできるものでもないんだから。
自然はモノではないし、人間は雄大なる自然の一部にすぎない。

本当の共生とは、そういう気づきからしか、はじまらないとぼくは思う。










8月26日
唐紙師 トトアキヒコ

イロとコトバ

2011-08-21 23:01:29 | 散歩や美術鑑賞など


イロはヒトのココロを動かす。
すると、色が人生を導き開くと云う考えにも至るわけだ。
目にする色、身に纏う色や側に在る色で運命が変わることもあるだろう。







先日、友人のはからいで淡路島へ。
ゲストハウスにてバーベキューパーティーに招かれる。
180度をゆうに超える水平線を見ながら、西の海に暮れるまでの夕日をぼーと眺める。
美しい夕焼けにみんなで見入る。
京都では見れない景色。
日がおちるまぎわのまぎわ…瞬間に少しだけ見せた丸い太陽の色がある…
友人から、トトこれは何色?
と、尋ねられなんだか安易に口にするのをはばかってしまう…
それほどまでにココロ動いていたのだ。

京都に戻ってからも考えたり調べたりしてもしっくりくる名にあてはまらない。

そうだ。
自分でつくってしまえばいいんだ。
色名ごと…

ぼくの見た景色や情景、心象風景に生涯通じて名をつけてゆこうと思った。
それを生涯作としてつくりつづけている唐紙作品「星に願いを」に反映させてゆけばいい。
そして、そうやって何百色、何千色…記憶したイロと思い描いたコトバを表した唐紙を祈りをこめて世に表そうと、ぼくは思う。

例えば、
晴海ヶ丘 夕暮れのとぎれび












8月21日
唐紙師 トトアキヒコ

平和への願い

2011-08-15 23:41:42 | 文様



66回目の終戦記念日。





鳩がオリーブの葉や枝をくわえて飛翔する文様がある。


これは、聖書では、ノアの箱舟から放たれた鳩がオリーブをくわえて戻り洪水の終わりを告げたことに由来し、古代ギリシャ・ローマ時代から、鳩とオリーブは無垢と平和の象徴として用いられており、その起源は古い。
東洋では、
鳩が鶴になり、オリーブが松に変わり表現され皇室などにも用いられるたいへん縁起の良い吉祥文様として人々に愛されてきた。

西と東で表現が異なれど、そこに潜む根源的なモノには共通するものがある。
これは、人種や宗教、歴史や文化の隔たりを超えて、人間が平和を願う気持ちを表した尊い文様ということ。

ノアは何度も鳩を飛ばしたとされる。
何度も…何度も…

忍耐と希望、カミさまへの祈りを信じる。
こんなことをおしえてくれる文様です。



ぼくの好きなおすすめの配色、銅色地にターコイズブルーで仕上げた松喰い鶴の唐紙です。
素敵なご夫婦のもとへ嫁入りしました。

ちなみに、前回の文天紙結音の会、「ことのはの会」でも用いました。
平和への願いをこめて手がけた唐紙にみなで文字を記しました。










8月15日
唐紙師 トトアキヒコ

風と花

2011-08-12 17:00:22 | 思い


風のように歌い
花のように笑う


そんなあなたたちがぼくは大好き


風を纏い
こころに花を抱き
ぼくはゆく



風とともに
野を超え山を越え嵐を超えて
花に宿る














8月12日
唐紙師 トトアキヒコ

風吹く唐紙

2011-08-07 23:58:18 | 文様


8月1日、朝一番鳥が鳴いた。
風が吹いた。


この唐紙、きっと良き風を世界にもたらすことでしょう。


黄金色の地に墨をふくませた雲母で微妙な銀色のような色でうつしとる…

これは奈良の正倉院御物にもある花鳥文様で、ぼくにとっては10年来思い入れがあるうえに、好きな文様のひとつだ。
文様の呪術性を紐解いているぼくとしては、なんとも華やかで雅、花と鳥が習合されたこの美しさと東洋と仏教の宗教性ただようこの唐紙は好き。
これは奈良にある祈りに関する場に行くということも、また嬉しさのひとつ。




先週は他に
金色で染めたり…
白色に染めたり…
雲母で染めたり…
水色で染めたり…
黄金まじりの緑色で染めたり…
キラでうつしとる…

月火水木金土とひたすらに淡々と誰が為に唐紙と向かい合う。
その間、出会った素敵な人たちとその物語。
唐紙とそれを紡ぐ人間のフィロソフィと愛してくださる方々のハーモニー。
溢れる思いはあれど、ここに記さぬともぼくのノートに書き記しています…
いつか本にします。

明日からまた元気にこころ安らかに美しい唐紙がてがけられますように。








8月7日
唐紙師 トトアキヒコ