未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第20章 運命は変えられる! ③

2021-03-11 16:20:46 | 未来記

2013-03-21

3.どうすればいい?

 

アニキが立ち去った後の部屋は、しばらくシーンとしていた。

 

子供達は、何をどうすれば、この状況が変わるのかわからなかったが、

 

いずれこの部屋のドアが開けば、元の現実に戻らなければならないことは、わかっていた。

 

大多数の少年達は、宇宙ステーションに戻って、自分の家族に会えるかもしれないことに、安堵の気持ちもあった。

 

 

しかし、タケルには自分の行き先がどこなのか、その先が見えていなかった。

 

このまま宇宙ステーションに帰っても、自分のしたいことが見つかるかどうかわからない。

 

キララの言うように、地球へ行くことも選択肢のひとつにはあるのだが、

 

今帰っても、自分の耳が聞こえなくなるという状況は、変わっていない。

 

「これから、どうしようか?」

 

 

思わずタケルがつぶやいた時、少年のひとりがキララに向かって言った。

 

「ねぇ。タケルの友達が、危険なグループに捕まるって言ったよね。

 

その子達って、どうなるの?」

 

 

キララは、平然として答えた。

 

「死んじゃうンだよ。

 

こことちょっと時間が違うらしいから、いつかはわからない。

 

でも、アタシには、そういうホログラムが見えたよ。

 

タケルがあの子を助けたいって言うンなら、一緒に行ってもいいけど…

 

無理だろ? 」

 

キララは、タケルをちらっと見て、首をすくめた。

 

 

タケルにも、キララの言葉は心に伝わったが、タケルはキララの言うことが信じられなかった。

 

というより、キララにまただまされるような気がして、イヤな気持ちでいっぱいだった。

 

キラシャが死ぬなんてことも、絶対にウソだと思う。

 

キラシャは、何でもタケルに報告してくれたし、誰よりタケルのことを心配してくれた。

 

何かあれば、必ずメールしてくれるはずだ。

 

あのお祭りのホログラムだって、ホントかどうか、Mフォンで確かめたら…。

 

 

でも、よく考えたら、Mフォンはキララが持っている。

 

悪魔のようなキララが、簡単にMフォンをタケルに渡してくれるわけがない。

 

しかも、今は宇宙のどこかわからない。

 

タケルのMフォンは、確か宇宙ステーション用に設定されていたので、今は使えないはずだ。

 

『困ったな~』

 

タケルは、心の中でつぶやいて、キララを見やった。

 

キララは、何かたくらんでいるように、にやりと笑っていた。

 

「アタシには、わかってるよ。

 

アンタが、このMフォンを取り返したがってるってね。

 

それより、もっとおもしろいことがあるよ。

 

そうだね~

 

アンタの友達を紹介してもらおうか。

 

このMフォン作った人。

 

アタシも、会ってみたいンだ。

 

これで、地球に行けるかもしれない。

 

その、やり方ってやつを教えてもらわないとね…」

 

 

タケルは、キララの言い方にムッとしながら、言った。

 

「でも、今はそいつと連絡できないンだ。

 

宇宙ステーションに戻れば、何とか連絡がつくと思うけど…」

 

 

「だけどさ。

 

そこに着くまでに、アンタの好きな子、死ンじゃうかもよ!

 

さっきも言ったけど、いくら防衛軍がそばにいたって、敵の数は何倍っているンだよ。

 

アンタが助けに行ったって、無理だと思うけどさ、アタシが行けば、隠してはやれるからさ。

 

タケル!

 

アンタを助けようと思って、言ってやってるのにさ。

 

アタシのこと、まだ信じないンだね? 」

 

タケルは、この言葉をどう受け止めていいのか迷った。

 

『ホントに、どうしたらいい…?』

 

タケルの頭に、またあの憎たらしいヒロの、人を小馬鹿にした笑いが浮かんだ。


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