2021-09-28 22:49:00 | 未来記
17.夢での出会い
『キラシャ…
キラシャ…
オレだよ! タケルだよ… 』
『…えっ? タケル…?
ナンでココにいるの…? 』
空中に、ボンヤリとタケルの顔だけが見えた。
『オマエに会いたくて…
キララが…、こんな風だけど、会わせてくれンだ…
あっ、キララって…その…
オレらと同じ人間じゃないンだ。
キラシャと似てるンだけど… 』
「タケル… 」
キラシャは、思わず声を出しかけたが、周りの子が寝ていることに気づいて、心の中でタケルに話しかけた。
『もういいよ!
あたし、タケルのこと忘れることにしたンだ。
タケルがどんな子と、仲良くなっても気にしない!
ケンの方が、本気であたしのこと思って、そばにいて助けてくれたンだ。
タケルより、ずっと強い気持ちでね… 』
『そうか。キラシャ、ごめんな!
オレのせいで、オマエやケンまで危険なことに巻き込むなんて…
ヒロのヤツが、大丈夫だって、そそのかすからさ…
オレって、やっぱりバカだな…
もう、オレのことキライだよな… 』
『ホントに、ダイッキライだよ!
ヒロが、タケルが戦ってるとこ見せたいって、言ってたって!
でも、タケルの戦ってる姿なンて、ちっともあたしには見えなかった…
ケンは、アフカが危険なトコだってわかってても、一緒に来てくれたンだよ!
ここに来るまで、危険なこと何度もあったけど、あたしを引っ張ってくれた。
タケルのことも、必死であたしに見せようとしてくれたンだよ!
あたしが、タケルのこと好きだから…
ケンがあたしのこと好きでも…
自分が損だってわかってても、見せようとしてくれたンだよ!
わかる? ケンの気持ち
タケルにあたしの気持ち、わかる…? 』
『…本当に、ごめんよ…
もう、キラシャの邪魔はしないよ…
たぶん、もうずっと、会えない…
だけど、これだけは言っておきたかったンだ…
キラシャのこと、誰よりも好きだったよ…
ただね、キラシャ。
宇宙で出会ったキララのおかげで、耳が聞こえなくても生きてゆける気がしたンだ。
アイツのそばでないと、オレは…
キラシャのそばにいたら、いい迷惑だろ? 耳の聞こえないヤツなンて…
キラシャには、ケンがいる。
あいつなら、キラシャのことまかしておけるよ!
だから、キラシャはオレのこと忘れていいよ!
でも…。
いつか会える日が来たら、イヤがらずに会って欲しい…
キラシャ、ずっと元気でいてくれよな… 』
そう言い終わると、空中のタケルの顔が、スーッと消えて行った。
キラシャは、しばらくそのあとをボーっと見つめた。
ナンでなの? タケル…
もっと言いたいことがあったのに…
ナンで勝手に消えちゃうの?
自分だけとっととしゃべってさ、もう…
そうなンだ。きっとこれも夢なンだ…
と…、キラシャは割り切るしかなかった。
キラシャは寝返りを打って、スヤスヤと眠っているパールの肩に頭を押し付けた。
『相手の気持ちもわからないヤツなンかより、
気持ちのわかる子の方がいいよねっ、パール!
ホントに大っっっきらいだよ。
タケルなンて…
もう絶対、会ってやンないンだから… 』
キラシャとパールを真ん中にして、2人を守るために両端に寝ていたマイクとケン。
キラシャのそばで寝ていたケンは、キラシャが黙って肩を震わせながら泣いているのに気がついた。
ケンは、キラシャの背中をさすって、気持ちを楽にさせてやりたいと思ったが、負けん気なキラシャは、かえってイヤがるかも…とあきらめた。
『キラシャ…。オマエがだれを選ぼうと、オレ、全力でオマエを守るからな…』
ケンは、そう決心した。
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