センター試験地理B2009年 

センター試験2006~2009年地理Bの解答解説。上のタイトルをクリックすると目次ページになります。

2006年地理Bセンター試験第4問

2006-08-25 | 06地理B
2006年センター試験地理B第4問

第4問 資源と産業に関連し、各問いに答えよ。

問1 下の表は原油輸出国(アイウ)から、主要先進国への輸出量を示す(2003年)。アイウは、あとの①~④のうちのどれか。



①アルジェリア  ②インドネシア  ③ベネズエラ  ④リビア 

問2 日本の主要発電所をエネルギー源別に示す。火力発電所は①~④のうちのどの分布図か。



第4問は続く

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解答
問1 (ア)③ (イ)① (ウ)②  問2②
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解説
問1
(ア)ベネズエラは南米唯一のOPEC加盟国。マラカイボ湖周辺の油田が中心である。アメリカに7割以上が輸出されたが、左翼政権が誕生してからは、中国への輸出が増加している。
(イ)アルジェリア。フランスの植民地時代(1834~1962)が長く、フランスとの経済的結びつきが強い。ただし、フランスはエネルギーの海外依存には危機感があり、フランス国内に多数の原子力発電所を建設している。
(ウ)インドネシア。東南アジア唯一のOPEC加盟国で、スマトラ島が最大の原油産出地である。原油・天然ガスを日本・韓国に輸出している。しかし原油産出量が減少しているため、シンガポール経由で世界各地から原油を輸入して、それをインドネシア産原油として輸出している。インドネシアには原油精製所がないため、シンガポールから石油製品を輸入している。インドネシアの灯油・ガソリンなどは政府の補助金政策があり、非常に安い。この安い灯油・ガソリンなどを、北朝鮮・中国などに密輸出する業者が少なくない。

問2
①水力発電(日本国内総発電量の9%)
福島県・長野県・富山県などの山間地に多いから、水力発電。
福島県の只見川流域は日本の電源地帯として有名であった。山間の谷間に多数のダムが階段状に建設された。只見川は新潟県では阿賀野川である。
ダムの放水による発電は1時間程度でダムが空になる。緊急に電力が必要になった場合、あるいは毎日電力消費の多い時間帯に、短時間、集中的に発電する。ダム湖に水がなくなると、自然の状態では補給に3日~2年もかかる。深夜に余剰電力を利用して下流からダム湖に水を汲み戻して補給する(揚水式発電)。なお、余剰電力は深夜も操業を続ける原子力・火力発電所の電力である。


②火力発電(66%)
大都市周辺に多いから、火力発電。火力発電の燃料として、値段の安い輸入石炭が使われる。石油(重油、原油)は価格の変動が上昇基調のあるので、火力発電への利用は減少している。液化天然ガスLNGをエネルギーとする火力発電所が増加している。LNGは価格が高いが、複数年にわたる長期契約で安定輸入ができる。大都市周辺の火力発電所には、クリーンエネルギーの天然ガスが使われる。

③原子力発電(24%)
福井・福島には原子力発電所が多く、海岸線の一部は原発銀座といわれる。
原発が全部操業すると、日本の総発電量の40%を占める。しかし、定期点検・故障で休止中の原発がある。また電力会社の安全性欠如のため、政府から操業停止を命令された発電所もある。原子力発電所の2004年の実績では24%である。
1986年のチェルノブイリ原発事故以来、原発から他の安全なエネルギーに転換をめざした国が多いが、風力・太陽光など現在の技術水準では実用性に欠け、再び原発に戻ろうとしている。

④地熱発電(1%以下)
大分県・岩手県など、火山・温泉の近くなので、地熱発電。
地下から高熱高圧の水蒸気を取り出し、発電タービンをまわす。チェルノブイリ事故があった時には期待が大きかったが、地熱発電は近隣市町村をまかなう程度の発電量であり、将来にはあまり期待ができない。むしろ、地下からの高温水蒸気に含まれる有害化学物質の除去にカネがかかり、地熱発電の新規建設が進んでいない。

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日本経済新聞(2006.8.2) 最近の原発の動向を詳しく
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中部電力は8月1日、浜岡原発5号機(静岡県御前崎市、138万キロワット)がタービンの事故で停止した問題を受け、タービン製造元の日立製作所1000億円超の損害賠償を請求する方針を固めた。事故は日立の設計不良が原因であると判断。今年度末まで浜岡5号機の運転が停止した場合を想定し、不足電力を割高な火力発電などで補うための追加コスト分を請求する。国内企業同士の損害賠償請求額としては過去最大級という。
中部電力浜岡原発5号機は6月15日に、異常振動をともないながらタービンの羽根が折れ、他の羽根を折る事故に拡大した。5号機の操業は中止。
日立の製造した志賀原発(石川県)でも、緊急点検の結果、同様にタービンの羽根が多数折れているのが発見され、操業が中止された。
日立の技術力低下が問題である。浜岡原発を所有する中部電力は5号機操業停止の損害の半分1000億円を日立に請求する。
志賀原発を所有する北陸電力も、損害額が分かり次第、日立に損害賠償を請求する予定である。

 


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