めざせ キリマンジャロ プロジェクト Kilimanjaro Project for children!

私がアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ登山をすることによって寄付を集め、子ども達を演奏会に招待する プロジェクト

キリマンジャロ登頂 報告記3

2018-10-05 | 日記
9月17日
朝起きると、テントが霜で凍っていた。



さあ、今日も良い天気。今日はラバタワーと呼ばれる溶岩の頂を超えるので、しかも4600mまで登り、下りるので長時間になる。覚悟して出発。

このあたりになると、低木も無くなってくる。キリマンジャロの頂が見えてはいるものの、まだ遠い。さすがに歩みは1歩1歩の進みで更に遅くなる。
呼吸を意識して歩いている。
上ったり下りたり、その繰り返しが延々と続く。




ラバタワーは、少し雹も(雨でなく凍っていた)降ってきて、さすがに寒い。
ダウンを出して着た。毛糸の帽子もかぶる。

バラッカは早く皆を下ろすため、休憩もそこそこだ。
他の誰かがテントを張っていた。よくこんなところにテントを張るなぁと。


この時の私の顔は疲れている。今日は7時間の行程だから。

ラバタワーからの下り道は、ちょろちょろ川もあり、雪もあり、なかなか変化に富んでいる。


私は個人ポーターを頼んだので、行動中のすべての荷物を持って貰っている。担当はオマリー。本当に良い人だ。
「ママ、マジ」(マジとは水)といつも声をかけてくれる。この高さでは水を飲むことが、高山病の予防にもなる。


岩はゴロゴロしているけど、まだ、この辺なんか楽なほうだ。



バランコキャンプに到着。 3900m。
「せっかく4600mまで登ったのに~、もったいない!」



リサが食後、ゲームをしようと言ってきた。
全員(バラッカを入れて6人)でアフリカの国を挙げていく。言えなくなった人が抜けて、最後まで誰が残るかだ。

さすがに、リサはアフリカ54か国を知っていた。
「どうしてそんなに知っているの?」「地図見ているからね」

次はアメリカ合衆国の州。これは誰もが最後まで言えない州があった。翌朝、インディアナ州が抜けていたわよと。

まだ、みんな余裕あり。


9月18日
朝、空が青いなぁ。

ここだよ、ここ。岩場を右へトラバースする場所は!
ちょっとスリリングな場所。
本当にポーターには、ポーター様様です。よくこんなところを荷物担いで通るわ。



おお、キリマンジャロの頂が近くなってきた。でも雪があるねぇ、大丈夫なの?
私の顔はもう、浮腫んでいる。4000m超すからね。今までに登ったことの無い未知の高さの体験。



でも、ラバタワーで4600mを経験しているのが、みんなの強み。頭痛くならなかったしと自信がつく。やはり、経験は大きい!

こんなところを歩いていて、何が楽しいのか?って聞かれたとしても、
ただただ、頂上を目指すための過程ですかね。先に目的があるから。

この辺になると、「もう4日も過ぎた!あとちょっと!」という気持ちが強くなってくる。


カランガキャンプ到着。 3995m。


今日はガイドの一人、レオンのお誕生日だと昨日知った。私は何もあげるものがないので、ナプキンで折り鶴を折ってみた。
折り方を忘れていて、なかなか出来上がらない。リサが不思議そうに眺めている。

工程表の書かれたA4の紙を正方形に切って、その紙でやっと思い出した鶴を折って、食後レオンを呼んで、皆でHappy Birthdayを歌った後にプレゼントしたら、ものすごく喜んでくれた。

明日はいよいよベースキャンプだ!
この頃から、みんな体調がさまざまになってくる。

リサは2日目から風邪をひき、鼻が出たりで苦しそう。だが強い!
アヴィブはお腹を壊しているのかな? トイレが長い。
エリは相変わらず黙々と。ポーターに荷物を預けず、自分で持って登っている。
ある時、私が聞いた「どうして、荷物も預けず、自分で背負っているの?」「う~ん、自己満足かな」 強いね!
吉田さんは、便秘で出ないと、食欲もなさそう。みんなが心配している。
さすがに私も食欲が落ちてきた。持ち込んだドライフードのお味噌汁が美味しい!
自分でアレンジしてきたハーブティーを飲みだす。ジンジャー入りだからとリサにあげたら、ジンジャーティーが気に入って、ポーターに言ったら、あるって!
その日から、ポットにジンジャーティーが出るようになった。

毎食にスープが出る。これが何より有難い。そして美味しい。

9月19日
この日はいよいよ、ベースキャンプのバラフキャンプ(4673m)へ移動だ。





歩く距離は短いが、4000mを超えているので、空気が薄い。その分動きはゆっくりで、歩くのも遅い。たかが、800mを登るのに、4時間もかかる。

でもまだ、余裕あり。顔はすでにむけている。





バラフキャンプに着いても、何となく、いつもと違う。緊張感が漂う。
お昼にバラッカから説明が入る。

夕食は5時。その後仮眠して、妙子は足が遅いから1時間先に出る。10時半に起きろ。そして11時に出発する。
みんなは1時間遅い出発とする。

私に付いてくれるのは、ガイドのレオン。そしてオマリー。
水は2L以上必須なのだが、夜中は凍るから、誰もがハイドレーション(管でリュックから飲めるビニールタンク)はやめて、水筒にする。私は同僚が餞別にくれたポットがある。
お陰で、お湯が飲めた。

ガイドは何も持たず、我々も最低の水のみ。

私は6枚を着こんだ。 ヒートテックの下着、タートルネック、スポーツシャツ、フリース、ライトダウン、そしてゴアテックスの雨具。
下も、スポーツ用スパッツ、毛糸のタイツ、登山ズボン、雨具。

手袋はスキー手袋、毛糸の帽子にネックウォーマー。

夜中に出たから、顔に日焼け止めを塗るのを忘れた!

仮眠していても風でテントがバタバタとあおられる。「いやだな」と思いつつ寝る。

夜中の11時。ヘッドランプをつけて、歩き出す。

寒い! 風が吹いている。それも強風。

なんで、こんなに風が!

富士山登山同様、夜中に登山のライトが連なっている。どう考えても200名くらいいるのでは?

しかも、1歩1歩、ポレポレにしか歩けない。
とにかく、寒い。

「この風、止んでくれ~」と祈りつつ。でも一向に止まない。

バラッカからは、ホカロンは温まった空気が3時~4時の一番寒い時に凍るから、最初から入れるなと言われていたが、寒くて寒くて、我慢できずに右腕に入れた。(何時だったかは分からない)

風は右側から吹いてくるので、体の右側が異様に寒い。
立ち止まってお湯を飲むのも寒いので、なるべく止まりたくない。でも、水は飲まねば。

外に出ていた水筒は中が凍っていたが、そんな冷たい水、寒くて飲みたくはない。
ポットのお湯が命拾いだった。

上りが渋滞で、足が止まった途端、ふっと意識が飛んだか、眠ったかで、よろけて転んだ。
ほんの数秒のことだけど。
この体験は、日本にいる時に、6000mの空気の薄さの部屋でトレーニングしていた時に同じように、無意識に眠ったか、意識が薄らいだかの経験をしていたので、パニックにならずに済んだ。
これ1回で済んでよかった。

「朝陽よ、早く出てくれぇ~」と願っていた。朝6時を過ぎないと出ないとは分かっていても。
一体、今が何時なんだかも分からない。時計を見るのも面倒で。
やっと、東の空が薄く、オレンジになってきた。
「あ~やっと日の出だ!嬉しい!」



しかし、日の出を写真に撮ろうと待っていると、寒い。
歩きながら、早く、早くとせかして、やっと太陽は出た。
出たが・・・太陽は出た! でも、寒さは変わらない! そんなはずじゃぁ!



風は相変わらず強風だし、寒さは変わらないし、太陽が出て良かったのは、上に登る人が見えて、まだあんなにあるんだとがっがりしたこと。(笑)




足を1歩出すために、息を深く吸い込まないと苦しい。
1歩1歩を深く深呼吸していないと、血中酸素濃度が下がる。
それに加えて、風を伴い、体感温度はマイナス17度とか。

息も苦しいが、これは何とかなる。この寒さだけは勘弁して欲しい。
まだ、あんなにあるのかと思った時、私を追い越して先に頂上に着いた4人が下りてきた。

「ママ、あと20分、頑張れ」「頂上はそこだ!」と励まされたが、その1歩が出ない。

「もう、ここまで来たのだから、これで十分」そう思いかけた時、ガイドのレオンが私の手を繋いで登りだした。

バラッカもオマリーと交代して一緒に登ってくる。
もう嫌とは言えない。最後の力を振り絞り、喘ぎながら、「この1歩を出して続けていれば、いつかは着くさ」と自分に言い聞かせて。

リサが登る前に、テントで言っていた。「何かを思って、そのことだけを集中して考え続けて登るの」と。
今、私も、「この1歩はいつかは必ず頂上へ繋がる」とだけを何百回も考えて続けて、足を出し続けた。

とうとう着いた! 



やっと、着いた! キリマンジャロの頂上に本当に立った!

頂上に着いた時、涙があふれて、あふれて、写真を撮るよと言われても、泣き笑いだった。



夜11時に出発して、頂上に着いたのは朝の7時だった。8時間、ほとんど休まず歩き続けた。私の後ろにはもう誰も登ってこなかった。

最後は本当に、本当に苦しかった。でも、皆が応援してくれたおかげで登ることができたと思う。

きっと、みんなの祈りが私を押し上げてくれたのだろう。

レオンの手も嬉しかった。
オマリーもよく私に付いてくれて優しかった。
バラッカはいつも写真を撮ってくれた。
サムもいつも「ママ、ジャンボ?」と声をかけてくれた。

みんな、良い人たち。遠く離れた日本と、ここアフリカと、善意に囲まれて、私は登れた。

毎朝、キャンプ場へレスキューに来るヘリコプターの音。
寝ている間に高山病になって、下へ運ばれるのだ。

登頂の登りで、引き返す人々。

そんな中で、無事に登頂できたのは、多くの人々のお陰だと思う。

心から感謝です。 ありがとうございました!


報告記4に続く

「誰かの行いが誰かを笑顔にする」をモットーに、私がキリマンジャロへ挑戦することで寄付を募り、
その寄付で子ども達に音楽を楽しんでもらおうと、無料でコンサートに招待するプロジェクトを立ち上げました。

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