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小耳はミーハー

小耳にはさんだことへの印象批評

「時事放談」は好き?

2005-03-21 03:15:34 | バラエティ
私は井上陽水って歌手が好きだけど、彼の「ラインダンス」という著作は名著。基本的には彼の書いた歌詞が載っているんだけど、間に年譜やエッセイなんかも挟んであってね。なんたって、表紙がカッコイイ。横尾忠則が描いた陽水なんだけど、これが筆舌に尽くし難い素晴らしさなの。
で、話は彼がそのエッセイの中で書いているあるテレビ番組についての記述へ。陽水はテレビ好きを公言していて、最近はどうなのか知らないけど、一時期はテレビに出ないのにテレビばかり見ているという、まるでナンシー関のような佇まいでいたわけだけど、そんな彼が「時事放談」という番組について『これが、じじい放談だというシャレになっていることを、つい最近まで気が付かなかった。うかつ。』と言っている。当然、そんなシャレになっているわけはなく、こういった陽水のテレビの楽しみ方は実に正しいものであるのだけれど、その「時事放談」がこの平成の世に復活しているのである。
TBSの日曜の早朝、六時からという時間帯で、まさに「じじい」をターゲットにしている。そして、出演陣も「じじい」である。一回目から、今までのゲストを見ていくと。


第四十一回 「奮起せよ!ポスト小泉」 ('05年2月20日放送)
ゲスト: 野中広務 氏 / 渡部恒三 氏
第四十回 「皇室を考える」 ('05年2月13日放送)
ゲスト: 渡部恒三 氏 / 松本健一 氏
第三十九回 「戦後60年 ~歴史の分岐点で~」 ('05年2月6日放送)
ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 半藤一利 氏
第三十八回 「どうする日朝関係~経済制裁とは何か」
('05年1月30日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 野中広務 氏
第三十七回 「戦後60年から小泉政治を考える」 ('05年1月23日放送)
ゲスト: 中曽根康弘 氏 / 松本健一 氏
第三十六回 「大増税の入り口で~どうなる生活~」 ('05年1月16日放送)
ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 塩川正十郎 氏
第三十五回 「今年、気になること」 ('05年1月9日放送)
ゲスト: 野中広務 氏 / 渡部恒三 氏
新春SP 「2005年 日本はどうなる」 ('05年1月2日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 塩川正十郎 氏 / 瀬戸内寂聴 氏 / 岡田克也 氏 / 武部勤 氏
第三十四回 「今年1年を振り返って」 ('04年12月26日放送)
ゲスト: 野中広務 氏 / 日野原重明 氏
第三十三回 「今、政治がすべきこと~財界より」 ('04年12月19日放送)
ゲスト: 塩川正十郎 氏 / 諸井虔 氏
第三十二回 「日中新時代の処方箋」 ('04年12月12日放送)
ゲスト: 趙啓正 氏 / 野中広務 氏
第三十一回 「イラク自衛隊派遣延長~ねじれる世界の中で~」 ('04年12月5日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 加藤周一 氏
第三十回 「アメリカとの、もう一つの付き合い方~闘う石橋湛山を知っていますか」 ('04年11月28日放送)
ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 田中秀征 氏
第二十九回 「三位一体改革のウラ」 ('04年11月21日放送)
ゲスト: 塩川正十郎 氏 / 渡部恒三 氏
第二十八回 「イラクと新潟~危機管理を考える~」 ('04年11月14日放送)
ゲスト: 村山富市 氏 / 野中広務 氏
第二十七回 「ブッシュ氏再選~どうする日本~」 ('04年11月7日放送)
ゲスト: 中曽根康弘 氏 / 岡崎久彦 氏
第二十六回 「政治とカネ」 ('04年10月31日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 塩川正十郎 氏
第二十五回 「『ポスト小泉』に喝」 ('04年10月17日放送)
ゲスト: 野中広務 氏 / 渡部恒三 氏
第二十四回 「米大統領選から世界と日本を見る」 ('04年10月10日放送)
ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 緒方貞子 氏
第二十三回 「内閣改造の裏~これから何が起きるのか」
('04年10月3日放送)
ゲスト: 中曽根康弘 氏 / 森喜朗 氏
第二十二回 「どうする内閣改造」 ('04年9月26日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 野中広務 氏
第二十一回 「郵政民営化とは何か」 ('04年9月19日放送)
ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 塩川正十郎 氏
第二十回 「今、必要な外交は~日中米関係を読む」
('04年9月5日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 野中広務 氏
第十九回 「今、気になること~夏の終わりに~」 ('04年8月29日放送)
ゲスト: 野中広務 氏 / 瀬戸内寂聴 氏
第十八回 「角福戦争」 ('04年8月22日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 塩川正十郎 氏
第十七回 「何を語り継ぐか、どう語り継ぐか」 ('04年8月8日放送)
ゲスト: 野中広務 氏 / 土井たか子 氏
第十六回 「どうなる、米大統領選。どうなる日本」 ('04年8月1日放送)
ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 塩川正十郎 氏
第十五回 「今、何がおきているのか・これから何が起きるのか」 ('04年7月25日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 野中広務 氏
第十四回 「今、政治が漂流している」 ('04年7月18日放送)
ゲスト: 中曽根康弘 氏 / 塩川正十郎 氏
第十三回 「『新老人』宣言」 ('04年7月11日放送)
ゲスト: 日野原重明 氏 / 野中広務 氏
第十二回 「北朝鮮とは何だ」 ('04年7月4日放送)
ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 塩川正十郎 氏
第十一回 「どうする参院選」 ('04年6月20日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 野中広務 氏
第十回 「どうする日本の国際貢献」 ('04年6月13日放送)
ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 緒方貞子 氏
第九回 「どうするサミット~日本の小泉総理は何をすべきか」 ('04年6月6日放送)
ゲスト: 中曽根康弘 氏 / 大河原良雄 氏
第八回 「北朝鮮訪問~小泉総理の交渉力」 ('04年5月30日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 野中広務 氏
第七回 「小泉総理の再訪朝!」 ('04年5月23日放送)
ゲスト: 野中広務 氏 / 瀬戸内寂聴 氏
第六回 「野党はどうあるべきか?」 ('04年5月16日放送)
ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 塩川正十郎 氏
第五回 「政治に元気がない!軽い政治の行方は」
('04年5月9日放送)
ゲスト: 村山富市 氏 / 野中広務 氏
第四回 「憲法」 ('04年5月2日放送)
ゲスト: 中曽根康弘 氏 / 土井たか子 氏
第三回 「小泉政治3年に喝!」 ('04年4月25日放送)
ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 野中広務 氏
第二回 「景気はどうなる?」 ('04年4月18日放送)
ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 塩川正十郎 氏
第一回 「21世紀の日米関係」 ('04年4月4日放送)
ゲスト: 中曽根康弘 氏 / 宮澤喜一 氏

てな感じで、宮沢・塩川・野中の三人を中心にして、出ている人にそれほどのバラエティはない。ほとんどが政治ネタであるが、今になってみれば、第十九回の野中と瀬戸内による「今、気になること ~夏の終りに~」という回の内容がどんなものだったのかが、今、気になるね。
まあ、ゲストを大事にする番組なので、一般的なテレビのスピードの中ではうまく所信を伝えられない人にとってはいい場所であると思う。でも、それゆえに言いたい放題になってしまうときも多々ある。そこでこの番組の一番の見所としては、局アナの小島慶子アナの食らいつき方だ。言いたい放題になってしまう、御大たちに対して、時折彼女が見せる抵抗。なんか、こーいう構図の中にはもっと深い問題も潜んでいるようにも思うけど、陽水みたいに『うかつ!』とか言っているくらいのスタンスで、テレビを見たいものだと思ったりもするからね。

陽水自身、テレビを見て作ったという歌がある。

「ミスコンテスト」

水着に着替えて 化粧には力を
会話をみがいて 微笑を整え
全国から来た 美人の群れに
間もなく幕が 上がろうとしている
 ファンファーレ ファンファーレが鳴る
 レディス&ジェントルマンが見る
 ミスコンテスト

大理石のような壁紙の前で
ムダもなく並び 美しさを競う
黒いタキシード 蝶ネクタイの
たよりなさそうな司会者が叫ぶ
 ファンファーレ ファンファーレが鳴る
 シャンデリア シァンデリアが揺れる
 ミスコンテスト

厳正な審査
夢のコンテストは誰が№1?
順番を決める封筒が届いた
審査委員長は「ムツカシカッタ」と言う
誰も見ていない 舞台の裏で
何も決めていない 掃除婦が働く
 ファンファーレ ファンファーレが鳴る
 会場がかたずをのむ
 ミスコンテスト
厳正な審査
夢のコンテストは誰が№1?


「儲かりマンデー」は好き?

2005-03-05 23:37:12 | バラエティ
「儲かりマンデー」って、AM7時半から放送されているけど、内容としてはもっと遅い時間帯で放送すべきだと思うの。なんか、雰囲気とかは「所さんの目がテン」みたいだけど、内容としては全然違うよね。
基本的に、「お金」をテーマにしているし、それが加藤浩次をホストにしていることからも解るように、若者向けに作られているので、現行の時間帯ではもったいないと思う。
日曜日に放送されているのに、「マンデー」。つまり、日曜日にお勉強をして、月曜日から実践して儲けようという意味なんだけど、この掴みはいいよね。昨今の番組タイトルは、もう行き着くところまで行ってしまった感じがするけど、言わずもがなタイトルって本当に大事。タレントの名前を冠するのか、シンプルで行くのか、等々。最近だと、「給与明細」や「きらきらアフロ」なんてすごくいいタイトルだったよね。
話を戻すと、「儲かりマンデー」は加藤浩次と進藤晶子、サブとして局アナで今、もっとも頭のいい女子アナである川田亜子を擁している。加藤浩次と進藤晶子、非常に大人っぽい。進藤さんは置いておくとして、加藤浩次はスーツも似合うし、大人っぽい。芸人にも、大人っぽい芸人とそうでない芸人がいる。それが芸人としての価値にはどう繋がるのかは解らないけど、少なくとも加藤浩次は芸人としての姿だけでなく、1社会人としての姿を想像することのできる芸人だと思う。実際、彼は成功したビジネスマンたちと話していても、話の文脈を読み違えることはないし、テレビの前にいる「経済にまだ疎い若者」たちの聞きたいことを代弁してくれている。
例えば、堀内健が「儲かりマンデー」のホストだったとする。それはそれで面白いけど、その面白さはテレビ番組としての面白さであって、「お金」をテーマとした情報番組としての中身の面白さではない。このあたりの視点でもってして、私は「金八先生」の否定のされ方に対しても言いたいことがあるのだけれど、それはまた別の機会に。


「リチャードホール」は好き?

2005-01-29 02:59:19 | バラエティ
おぎやはぎ、中川家、くりーむしちゅー、森三中、小川奈那、そしてアンタチャブル。略して「リチャードホール」であるのだけれど、数多いコント番組の中で今最もレベルの高い番組だと思うの。
お笑いブームが、ネタ見せの番組を中心にして巻き起こったわけだけど、それはあくまで劇場型のお笑いをテレビの中に持ち込んでいるのであって、テレビ番組として良質であるかという問題は別である。その中で、コント番組は芸人も作家も演出家もそれぞれがある一つの目標に向かっているという意味で、そしてそれぞれが与えられた役割を果たさなければならないという意味で、テレビ番組としてもっとも健全な形であるといえる。
「はねトビ」「ワンナイ」「メンB」などコント番組は一時期に比べれば増えている。しかし、「はねトビ」は「めちゃイケ」で解るように演出優位の番組であり、「はねトビ」もコント番組で終わらせるつもりはないという前提がある。だから「塚地24」などに対して元々のファンがクレームをつけたように、純粋なコント番組としては楽しめなくなりつつある。
「ワンナイ」も多くのライバルを蹴落として、あの枠に辿り着いたのだけれど、それぞれが器用に多くのことをこなすけれど(唄であったり、モノマネであったり)それ自体が面白いのか?という疑問がある。いわゆるタレント・キャラ優位の番組になってしまった気がするの。
そして、日テレの「メンB」。これは開始当初はまったく何をやりたいのか解らなかった。タレント陣も固定してなかったし、コントなのかネタ見せなのか解らない中途半端なものだった。でも、最近はコーナーも固まり始め、タレントたちの関係性の中にも笑いを見出すことができるようになった。「ウザイル」「ワタ子」など、タレントと制作者のバランスが取れている。ただ、いかんせんタレントの力がまだ弱い気がするね。スピードワゴンとか、入れたらいいのにな。
で、そんな中にあっての「リチャードホール」である。冒頭に書いたように、おぎやはぎ、中川家、くりーむしちゅー、森三中、小川奈那、そしてアンタチャブルという面々である。もともとは、「ワンナイ」に負けたメンバー(中川家、くりーむしちゅー等々)が中心だったのだけれど、いまや劇団ひとり、アンタッチャブルの勢いが凄まじく、それぞれのタレントに力の差はまったくない。敏感なファンは、山崎中心になっている現状に苦言を呈しているけども、私としては勢いのある人を中心に使うということは正しいと思う。そして、「リチャードホール」の場合は、周りがしっかりと支えているのが解るしね。
劇団ひとりの「夢の島先生」も凄いとしか言いようがない。ほんと、「劇団」の真骨頂だ。「ワンナイ」は遅かれ早かれ、終わりそうな気がするけど、後に「リチャードホール」を持っていきたいけど、時間帯が早くなるのは怖いのかなって気もするよね。
あと、コント番組における女性タレントっていうのも興味深いね。本人の力量以上の評価が与えられたり、またその逆もあったりするんだけど、小川奈那に関してはあまり自分の個性を出さないようにしていると思う。それは「リチャードホール」の場合は適切なスタンスなのかな。「ワンナイ」の小池栄子。「メンB」の小野真弓。私は、それぞれに彼女たちにとってはマイナスなんじゃないか?と思うから。

「地名しりとり」は好き?

2004-12-30 07:18:05 | バラエティ
ついにワッキーが三重県にゴールしたという噂は聞いていたのね。
で、恒例の年末スペシャルを期待していた私は少し早めに帰郷して、昨日の深夜にスペシャルを見ることが出来ました。
四時四十五分までの放送予定だったのですが、意外にもゴールを迎えたのは二時台。残りの時間は何を放送するのかなと思っていると、後日CBCホールで行われたワッキーの「地名しりとり」卒業式。ホールいっぱいのお客さん。それも決して若い人達ばかりではなく、子供からおじさん・おばさんまでが楽しそうに笑っていました。その光景は、この企画が決して昨今のお笑いブームとはまったく関係のない場所で成功していたことを感じさせてくれました。
まず三重県知事が登場して、ワッキーに感謝状を手渡して卒業式はスタート。司会進行を務めていたのは、「地名しりとり」でずっとナレーションを担当していたCBCの渡辺美香アナ。で、私は「地名しりとり」のナレーションを局アナがやっていたということに仰天したの。というのも、「地名しりとり」のナレーションはても素晴らしく、きっと専門の人(アナウンサーは専門なはずなんだけど、最近はちょっとね)が担当しているのだろうと思っていたから。木村匡也さん(めちゃイケなど)とか、窪田等さん(情熱大陸など)のナレーションはまさに番組を作る上で欠かせない。まさにプロだなという感じがするんだけど、局アナのナレーションにはそこまでの個性はないんだよね。局アナは個性を出すべきではない、という意見もあるかもしれないけど、私は局アナにはそーいう技術を求めるわ。
で、「地名しりとり」の渡辺美香アナは「もしもツアーズ」の武田祐子アナと双璧をなすほどの局アナナレーションの実力者だと思ったの。「お願い、誰か三重って言ってー」という彼女の声は、画面上のワッキーのツラそうでありながら優しい表情に感情移入している視聴者にとって、とても心地よいものだったのね。
で、話はワッキーの卒業式に戻るんだけど、三年十ヶ月の間にあった出来事を振り返りながら、いろんな人との出会いや苦労話なんかを紹介してくれた。それで、やっぱり思うのは、「田舎に泊まろう」なんかがヒットしているように、牧歌的な雰囲気というものはまだまだ人を惹きつけるんだなあってこと。で、「田舎に泊まろう」の場合は、その「田舎」が生きるも死ぬもゲストに因ってしまうんだけど、「地名しりとり」の場合は当然ながらゲストはずっとワッキーだったわけで、その「田舎」はずっと生きていた。視聴者からのメールにもあったけど、ワッキーの人としての言動には素晴らしいものがある。自身でも、「地名しりとり」は仕事ではなく、生活だったと言っていたけど、そんな生活の中ではずっと芸人でいられるはずはなく、素の部分が出てしまう。で、ワッキーはその素の部分が素晴らしかったのね。
誰かが、今のお笑いは芸ではなく、人を笑っているだけだ、と言っていたけど、それが良い方向に転ぶ場合もある。ワッキーの場合、番組の企画もよかったけど、終盤ではみんな企画ではなくワッキーを見ていたのだ。だからこそ、卒業式なんていうブラウン管の外でのイベントも開催できたんだと思う。とにかく、ワッキーお疲れさまでした。

「M-1 2004」は好きだった?

2004-12-28 06:12:20 | バラエティ
M-1は結果だけを見れば予想の範囲だったはずなのに、番組としては意外な出来だったよね。
アンタッチャブルがブッちぎった形であったけど、あれだけ簡単に勝ってしまうとM-1の価値が下がってしまう感じがするの。
漫才の出来はそれぞれ良かったと思う。千鳥もくじ運の悪さにめげず頑張った。タカアンドトシは漫才の中に若干の悲壮感を持ち込んでしまったけど、その実力は漫才師として堂々たるものだった。東京ダイナマイトも異色であることにあぐらをかかずに会場をまきこもうと努力していた。トータルテンボスも渋谷系とかいうキャッチフレーズがつけられていることが可哀相になるくらいにしっかりとした漫才だった。POISON GIRL BANDはファンタジックなネタの世界(野球ではなくて中日をネタにするなんて!)を広げてくれた。そして南海キャンディーズは一番の収穫で、苦労してきた山里さんの優しいツッコミに感動すら覚えた。敗者復活で本命と言われる中、ちゃんと勝ち上がってきた麒麟。それは本当に凄いこと。その実力は証明されたと思う。
だが、問題は優勝候補笑い飯だった。おかしい。ネタが始まってすぐに審査員も会場もテレビを見ている人もそう思ったはず。「いつもの熱量が足りない」ナンチャンが言っていたことは審査する側としては真っ当な意見だ。でも、審査ではなく批評しようとするとき、それだけでは説明がつかない。なぜ、熱量が足りなかったのだろう。
それは今回の番組自体の雰囲気にも関係していたと思う。紳助、松本の不在は審査そのものにはあまり影響はないはずだし、審査員のせいにしてはいけないとも思う。番組を見るまではそう思っていた。でも、あの二人の存在は審査よりも、むしろ番組全体の雰囲気を作ることに大きく影響していたんだね。当日の直前番組を見ても、去年ほどの緊張感はなく、それは紳助に比べてラサール石井があくまで審査員・観客としてM-1を楽しんでいるからではなく、そーいう部分ではなく、直前番組を一つの番組として考えたときのキャスティングとしての紳助が不可欠だからである。M-1の売りは今ではガチンコ感であり、もっと言ってしまえば情緒である。そして、紳助はここ数年の活動(選挙の応援とか、ダイオキシン問題とか)でそこにもっとも適するタレントになっている。紳助がいることで、見る側はM-1に真剣さや稀少性を感じることができる。松本に関しても同じことが言える。去年、松本が審査員に加わったことで、真剣さと稀少性はさらに増幅していた。だからこそ、去年は最高の大会になったんだと思う。
漫才の大会と言うもの自体は毎年たくさん行われている。言ってしまえば、今年のM-1はその中の一つにすぎなかったということになる。審査員の方たちも当然真剣に審査していたけど、それは他の漫才コンテストでもよく見る光景でもあった。最近のナンチャンはとてもいいなと思うけど、私としては松本人志と並ぶナンチャンに感動する。昔、同じスタートを切った二人が今、若手を真剣に審査している光景に真剣さや稀少性を感じるのね。でも、ナンチャンは優しい人だし、適応力のある人だから昨日の審査員の中に入るとよく見る光景に収まってしまう。
てな具合で、番組がはじまった途端、すでに見る側にとっての緊張の度合いは去年に比べると著しく低かったと言わざるをえない。そんな中で、7番手だった笑い飯は何を考えていたのだろう。わざと負けた、とまでは言わない。でも、この大会で優勝していいのだろうか、という疑問は彼らの頭の中をよぎったはずだ。アンタッチャブルは今年で参加資格が切れるので、「バラエティ慣れしている」と今田に言われながらもがむしゃらに頑張ったに違いない。2000年結成の笑い飯にはまだまだ出るチャンスがあった。こう考えると彼らは非常に微妙な立場にあったに違いない。確かに去年のことを踏まえて、決勝用によりよいネタをとっていたということは考えられる。でも、ネタ自体で負けたのではなく、そこには「熱量」がなかったのだ。普通にやれば勝つかもしれない、でもここで勝っていいのか。そんな心境のまま、舞台に上がっていたとすれば「熱量」が欠けても仕方ない。
「どーも、優勝候補の笑い飯でーす」と言って出てきた彼らは、自分たちは〈どこで〉〈何で〉優勝したいのかをこれからきっとすごく考えるんだと思う。

「加藤家へいらっしゃい!名古屋嬢っ」は好き?

2004-12-23 18:22:59 | バラエティ
名古屋が注目されて久しいね。経済的にも、文化的にも。それまではあまり東京や大阪に比べて個性のない都市だと思われていたけど、実は結構個性的な街だよね。発端はトヨタとか名古屋巻きとか、全国に影響を及ぼすものなんだろうけど、名古屋だけで通用している文化にも見るべきものはたくさんあるんだよね。で、それをドラマ化したのが「羊の皮をかぶったテレビ局」であるところのメーテレ制作の「加藤家へいらっしゃい!名古屋嬢っ」。
このドラマは名古屋の「一般的」な家庭、加藤家を舞台にしたホームコメディで、きっと名古屋文化圏以外の人が見たら引くくらいに、「名古屋」「名古屋」とアピールしてくる。年に何度か東海圏に行くことがあると見ていたので、変わったドラマだと思いながら、堤幸彦が演出をしているということと、重泉充香、すほうれいこ、石田未来などの男心をうまく掴んだキャスティングで見せる力を持っているのね。メーテレは、以前にも「ダムド・ファイル」という地元密着ホラードラマを作り、東京でも放送されていたけど、とても好評だったんだよね。で、「加藤家へいらっしゃい!」も東京での放送が始まったの。深夜、というか朝四時からという時間帯でも、私はテレビ朝日はいいチョイスをしてるなあと思う。しかも、年末にかけて数回放送するようで、いかにも年末のおめでたい雰囲気を持っているドラマであるだけに、この時期での放送はいい感じだ。
うーん、名古屋のテレビは確かに面白い。年末には、ついに三重県にゴールしたらしい「地名しりとり」のスペシャルを二夜連続で計八時間ほど放送するみたいだし、明けて今日の深夜には「スジナシ」が全国で放送される。あ、さっきホームページを見ると、「加藤家へいらっしゃい!名古屋嬢っ」もDVDになるみたいです。名古屋弁とか、好きになれるかもね。名古屋の番組がよく出来ていると思うのは、大阪なんかはあまりに強固な大阪に対するパブリックイメージに応えようとし過ぎているのに比べて(それはそれで好きだけど)、名古屋は別に名古屋的であることを番組には活かしていないんだよね。ただ、「加藤家」はそこをあえて突くことで、新鮮さを得ているんだね。上手い。

「M-1」は好き?

2004-12-09 17:00:26 | バラエティ
なんか関西のテレビ寄りの記事が続いていたけど、私は東京のテレビが嫌いなわけじゃないの。
やっぱり時間とお金と人が集まっているから、東京の番組はダントツにレベルは高いよね。例えば、「めちゃイケ」のような番組が関西ローカルで放送されていたら、それはそれはカリスマ的な、関西人の誇りにもなる番組になっていたと思う。でも、東京で作られている以上、みんながみんな温かい目で見てくれるわけじゃないもんね。そこが辛いところ。ジャイアンツみたいなもんだよね。ファンも多いけど、アンチも多い。
ところで、今年もM-1の決勝が近づいてきました。

11/27(土) 大阪、11/28(日) 東京で行われたオートバックスM-1グランプリ2004準決勝の結果、以下の8組が決勝進出を果たしました。この8組に決勝当日行われる敗者復活戦の勝者1組を加えた9組によって、12月26日、東京・有明スタジオで決勝が行われます。

Entry No コンビ名(所属)
898 東京ダイナマイト(オフィス北野)
2560 アンタッチャブル(人力舎)
2584 タカアンドトシ(吉本興業 東京)
2585 千鳥(吉本興業 大阪)
2591 トータルテンボス(吉本興業 東京)
2598 南海キャンディーズ(吉本興業 大阪)
2604 POISON GIRL BAND(吉本興業 東京)
2617 笑い飯(吉本興業 大阪)

■オートバックスM-1グランプリ2004 決勝戦

  12/26(日) 午後6:30~ [全国ネット生放送]
  司会:今田耕司 西川きよし 井上和香

てな感じ。意外と有力視されていた人たちがすでに負けてしまっているので、視聴率的には厳しいと思う。26日の裏番組をチェックしていないのでなんとも言えないけど。
アンタッチャブル対千鳥・笑い飯という図式は簡単に想像できるよね。あとはそこにどんなダークホースが絡んでくるか、そこが見所(東京ダイナマイト・POISONあたりか?)。「優勝候補」笑い飯に関しては、紳助不在と、最近のテレビへの露出量(今年は他のコンビがあまりにも露出していないこと)を加味すると、実はかなり厳しい状況にあると思う。でも、彼らは本物だし、そのような状況の中でも優勝しきってほしいと思う。もっとも彼らに関しては、私は中学・高校の後輩でもあるので私的な感情が入っているのだけど。

確かに漫才の才能とテレビタレントとしての才能は別物だ。M-1の「M」がMANZAIの「M」である限り、以前松本人志が望んだような真の意味でのタレントナンバーワン決定戦ではない。でも、M-1も数年前までなら考えられなかったはずだ。ますだおかだが優勝したときも、彼らは松竹芸能所属なので、吉本の聖地である「NGK」の舞台に立ったときのことに感慨深げだった。
テレビの世界における、そういった「以前なら考えられなかった」と言われることの多くは、実は大したことではない場合が多い。最近ではフジテレビの27時間テレビの中での、テレビ朝日との同時中継なんかが画期的だと言われたけど、それで「俺たちは新しいことをやった」然としていられると少し困る。そーした慣例を無視するということは、手段であるべきなのにそれが目的になってしまっていて、「番組」になってしまった。視聴者が見たいのは、別にそーいうものではないしね。
でも、M-1の場合は別だ。「以前では考えられなかった」ことを通して、M-1という質の高い番組を作っているのだから。つまり、目的のための手段として必要だったから、慣例を無視するという新しいことをしたにすぎないのね。

「スジナシ」は好き?

2004-11-23 09:07:54 | バラエティ
以前、「ローカル番組は好き?」で少し紹介した東海ローカルの「スジナシ」という番組が来月23日に全国区で放送される。「スジナシ」は中部日本放送(CBC)の制作で、ここは他にも地名しりとりを生み出した「ノブナガ」、またドロドロしていない昼ドラ(キッズウォーシリーズ)などを作っていて、いわばローカル局の雄の一つなんだね。
で、「スジナシ」だけど、これは我らが笑福亭鶴瓶がホストとなり、毎回ゲストを呼んで、二人が即興でドラマを作る、という内容の番組。セットだけが与えられて、あとは二人の駆け引きの中でドラマが作られていくのね。十五分という時間の中で、一応は話に決着をつけなければならないので演者には相当のプレッシャーがかかる。で、この番組の面白いところは、ドラマを演じた後で、二人がお客さんの前で反省会のようなものをするというところなのね。それに、毎回のゲストがかなり豪華。大竹しのぶや八嶋智人、イッセー尾形なんかも出ていたはず。それはきっと人間関係というものを大切にしている鶴瓶のなせる技なんだは思うんだけど(彼は無学の会というイベントを定期的に行っていて、そこにも毎回意外で豪華なゲストが来てる)。
そしていよいよ全国区で放送される来月のゲストは、妻夫木聡だそう。全国進出にふさわしいといえばふさわしいよね。何をやっても好かれる鶴瓶(五十台のおっさん)と、好かれすぎて何かしたがっている妻夫木(二十台のいい男)の真剣勝負が見たいよね。全国区だからと、妙な帳尻合わせだけはしないでほしいな。


「恋するハニカミ!」は好き?

2004-11-06 01:01:18 | バラエティ
「恋するハニカミ!」には結局「参った」って言うしかない気がしてるんだ。
芸能人同士のデートなんか見て何が面白いのって言われるけど、実際週刊誌の類は芸能人のデートを追っかけているんだもんね。そんなに見たいのなら、見せてやるって作り手が考えたかどうかは解らないけど。
でも、週刊誌を飾っている「夜道を歩く芸能人カップルの白黒写真」からは伝わってこない、リアルじゃないけど、本当はリアルなハニカむ芸能人の姿を見せることに成功しているもんね。それにカメラの前でよくあんな恥ずかしいこと出来るよ、って言う人もいるけど、最近は素人の方がカメラの前で凄いことをしているよね。
でも、問題もあるね。これまで多くの芸能人がハニカんできたけど、中にはどーしよーもない回もあった。何がどーしよーもないかっていうと、後日本当に噂になってしまったりすることね。そこはきっちりと線引きをしてほしいな。一視聴者として、がっかりしちゃうもんね。生々しい感じがして。
生々しいイメージのある芸能人たちがあくまで爽やかにハニカむ、このコンセプトこそがこの番組の命なんだからさ。「恋するハニカミ」で出会った二人が、後日週刊誌に載ってしまってはね。本末転倒かな、って気がするよ。

ローカル番組は好き?

2004-10-31 07:40:54 | バラエティ
今、ローカル番組が注目を集めてるでしょ。
「水曜どうでしょう」「ノブナガ」「きらきらアフロ」「なりたい」など枚挙には暇がない感じ。
それぞれに北海道発、名古屋発、大阪発、静岡発ではあるが、どの番組も特別その土地の色を感じさせる内容ではないの。これは、それまでのローカル番組と大きく異なる点だと思うの。例えば「探偵ナイトスクープ」に代表される元祖ローカル番組の雄は、いい意味でも悪い意味でも土着性が強かったでしょ。そして、今でもそーした土着性の強い番組はそれぞれの地方で作られているし、それは必要でもあるね。でも、全国区の支持を得るには、今はそれほど強い土着性は必要じゃないんだね。
「水曜どうでしょう」とか「きらきらアフロ」なんかはDVDになっているし、「ノブナガ」の中の人気コーナー「地名しりとり」も本になっている。名古屋発では「スジナシ」はDVDになっていて、それらは東京でも手に入れることができる。つまり、別に日本のどこで作られたものであろうが、もう横一列なんだよね。たしかに、ローカル番組は予算や時間、キャスティングという面では制約が多いのも事実。でも、その制約は逆に武器になって、成功する例もある。
例えば、鈴井貴之や大泉洋という全く新しいタイプのローカルタレントの登場は、テレビというエンターテイメントの未知なる可能性を感じさせたし、「地名しりとり」では年に二回、盆と正月に総集編を夜中4、5時間ぶっ通しで放送するっていうキー局じゃ考えられないダイナミックな試みを成功させている。
けっこう前からお笑いブームだけれど、ネタ見せの番組ばかり作っていてはよくないなあと思う。若手の芸人の力量にかなりばらつきがあるので、そのネタ見せ番組自体の密度の濃いファンは生まれにくいし。例えば、笑い飯のライブのDVDは買っても、彼らが出ていたネタ見せ番組のDVDは買わないってこと(そんなDVDがあるかは不明だよ)。
もう、テレビ番組は一回性のエンターテイメントじゃない。何度も味わえて、視聴者に自分こそがこの番組の一番のファンだという自負を持ってもらえるような企画の番組が求められているんだね。