うんたま森のキジムナー

取り壊し

1969年のオープンから、「市民の台所」として
親しまれてきた公設市場も道路拡張工事のため
9月に閉鎖、10月には取り壊しが決定している。
長かったようで短かったようなオバァとの付き
合いも、最後の夏だ。

野菜売りのオバァたちは「ひらら市場」への移転が
決まっているそうだが、鮮魚、精肉店は冷蔵庫という
お荷物があるので店舗が必要になる。
今さら数百万もかけて冷蔵庫を買ってまで営業が
出来るわけがない。一時期、市営住宅との併設案
なんかも出ていた。市営住宅には身体の不自由な方や
高齢者の方も多く住んでおられるので
「なかなかいい考えだな・・・」とも思ったが、
いつのまにかそんな話も消えてしまった。

オバァとの付き合いもカウントダウンが始まって、
まぁ、朝から一日、一日が気の重い日もある。
そういえば、あんなこともあったな・・・ 
こんなこともあったけ・・・
ほんの小さなきっかけから、思い出深い人生の
1ページ・・・?一冊ほどの数々の出来事が思いだされる。
バックミラー越しに見るオバァの顔もそろそろ
見納めだ。   ・・・・・とっ思っていたら
「野菜にかえようかねぇ~」と言い出した。
足が悪くなったオバァのために乗り降りしやすい
軽自動車にしたけれど今度は野菜運び用のトラックを
買わされるんじゃないかとカラカラ先生はヒヤヒヤして
いる。

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