基本的に西武鉄道

などと書きながら、詳しくないです。
文字より写真多め

検証から始める案件

2024年02月25日 | a day
経験してきたことの話



私は社内で、非常にニッチな存在だったので、当然ながらニッチな仕事が来る。

社内にちゃんとした一流カメラマンが数多くいるのだが、それでも





これは誰に頼めばいいのか?
どうやって撮るのか?







というヤバい案件が来ることが多い

完成ビジュアルは明確でも、それをどうやったら撮れるのか
そこから担える人は誰なのか





とある案件

国民的ゲームのプロモーション用VRコンテンツ
ま、VRと言っても、パノラマツアーをPCやスマホで見るだけのものだが

そのゲームの世界観で、作られたジオラマ

そのジオラマを、ゲームのように360度ぐるりと見渡しながら、移動していき、その過程で、キャラクターと遭遇する
もう公開期間は終わっているが見たことある人がいるかもしれない

ジオラマ自体は、10m x 10mほどの大きさなのだが、スケール感は小さい

その小さい世界をパノラマで撮るのだが

そもそも小さすぎて、通常使用するカメラが入らない
色々考えたが、小さい一体型を使うことに

当時入手できる小型のパノラマカメラを集めて、検証

世界が小さくて近いので、近接性能の検証

1cm単位でキャラクターのフィギュアを配置して、
近接はどこまでピントが合うのか?
奥行きはどこまで合うのかを確かめ、使用カメラを決定

まず、我々だけで検証し答えが見えたら、案件関係者を集めて検証会を実施し納得してもらう




次に、どうやってカメラを固定するか?





当初はジオラマに穴を開けて、下から突き出すことを考えていたが
撮影後にジオラマを展示することになり却下

そこで、どうせ空は後処理で合成するので、上から吊ることに





そこで新たな問題

近接過ぎるので、小型パノラマカメラの特性上
つなぎ目が出てしまう
ズレるのだ

これをレタッチ修正するのだが
できればその時間を少しでも減らしたい
なぜならば、リアルを追求したいから







そこで考えたのが

1回目を撮ったらカメラを90度回転させてもう1回、撮ればいい
そうすれば、ズレたところを自然にカバーできる(素材が得られる)

カメラを上から吊りながら、軸をブラさずに90度確実に回転させる方法

これは、、、そういう機材持ってるのであっさり解決
スマホから命令すると、好きな角度で回転する機材





そんなわけで、いざ本番撮影

自社スタジオで2面を繋げて使えるスタジオで、いざ撮影開始

私とアシスタント2名

ライトはHMIを天バン固定

メインを2回撮ったら、カメラを変えて、IBL用のHDRI素材撮影

これは、当初はキャラクターをフィギュアでやる予定だったのだが
近接で細部まで見えてしまうが、それに耐えられるクオリティでフィギュアを作れないので、3DCGになったのだ。



普通に考えると光は一定なので、HDRIは、1カット撮れば光は再現できるのだが、映り込みもあるし、リアルを追求したい、という3DCG部の熱意でカット毎にHDRIも撮影することに



撮ったらすぐ、その場でプレオペで仮組みしてもらって、クライアントチェックでOK出てから次のカットへ

撮影は深夜にまで及んだが、撮り終えることができた。



実際撮影するまでの準備が大半ですごく重要
あらゆる事態を想定して、何重にも予防線を張っておく
それでも現場では想定外のことが起きるので、想像できることは全部検証して準備しておくのだ


受注してから本番撮影まで、2ヶ月ほど
そこからレタッチ1ヶ月
webに実装して公開するのに1ヶ月
で公開しても3ヶ月程度でクローズ

広告とかプロモーションって儚い
制作者が世間の目に触れることは滅多にないし
それでも、あくなき追求してビジュアルを作り上げる



検証から始める案件


多くの広告ビジュアルは、1枚の写真で成立することはほとんどない
1枚に思えても、実は、たくさんの素材で構成されてたりする

それも、撮影写真だけでなく、既存写真や、3DCGだったり、、
それぞれのプロフェッショナルが関わって、時間と予算を費やして完成させる

プロフェッショナルは細分化され狭い領域に特化しているのだが、
私のように、広く深く関わった人が重宝されることもある

ズバリのメインカットの依頼は来ないが、前述の理由により、脇役素材の依頼が来る

撮影も機材も、2DCGも経験があり、3DCGは制作できないけど知識はある。
数多くのロケ経験がりフットワークも軽い

予算がなくても受けるという融通さも都合がいいのでは

他の人たちは、売り上げのノルマがある
私は、技術開発部やR&Dに長くいたこともあり
その後、売り上げノルマを設定されても、まったく気にしてなかったので

オレはカネでは動かない

って言ってた。
予算ゼロでも、できそうでおもしろそうな案件は受けていたのだ


今、営業という役割になって思う


こういうニッチで横断的で、お金がなくても動いてくれて、
時間や労力を無限に投入してくれる人材

貴重だわ
こういう人がいると心強い

そんな存在だったわけだ。
キチョー


楽しい日々だった
これがあるから、今、こうして働けるのよ
色々な意味で。





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