旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

コーカサスのライオンラグなど動物柄の絨毯とキリム

2022年06月14日 | 古い物



個人的にも好みな動物柄の絨毯やキリムです。

絨毯で動物柄と言えば、ライオンが代表されるとこかもしれない。

イラン物を中心とした事だろうが、
ライオン・ラグは一部で根強いファンが居ると知人から聞いてもいるが、
現地でもそれを感じさせる事はあった。

ある絨毯屋に行った際に聞いた話しだが、
ドイツ人だかイギリス人だかの誰かがライオン柄ばかりを趣向しているとの事で、
それを集めていると絨毯屋の女主人は話していた。

ジョージアにも多数のライオン・ラグは存在します。
ジョージアでは鹿柄が最も有名な動物柄になるが、
ライオンを含めて多数の動物柄のキリムや絨毯もあります。




典型的なジョージアのライオン・ラグ。
絨毯ですね。
ちょっとマヌケなライオンの顔が可愛らしい。




同じテイストの感じ。
大きな花柄ボーダー(枠)で囲み絵画っぽくするのが特徴かしら。
個人的にはあまりピンと来ないがこのテイストが一般的。
とは言え、これも珍しく大量にある物ではない。
そもそも動物柄自体が全体の比率からすると多いとは言えない。
年代が入っている物も多く、これは1961年。




これもライオン・ラグ。
歴史的背景からかロシア(ソビエト)的な雰囲気を感じるが、ロシア物ではない。




リアルによせてるライオン・ラグ。
色味は良い。



頭と身体の比率がおかしい。
ユーモラスである。
個人的にはアリだ。

ジョージアの特徴として花などの表現をデフォルメして織る。

技術的な問題か民族的な性格での事かどうかは分からないが、
ジョージアの100年前のキリムとかを見てみると大きな織り柄で
デフォルメして何がモチーフか不明な場合もある。

海外のサイトを見ていると、どうやらこの大雑把な表現は、
「美術的観点での評価は落ちる」と評している人も居る様だが、
僕も最初はどうかと思ったが、今はこの表現にも個人的に魅力を感じている。




鹿ですね。
1946年。
キリムです。
何とも言えない鹿の表情が良い。
これぞ、ジョージアのキリムといった感じのジョージアン・キリムを代表する動物図柄の一枚と思える。




虎もおりました。

ジョージアのキリムって、良く言えば大胆。
悪く言えば雑。
良くも悪くも子供のお絵描き的なテイストがある。
緻密に表現するのではなく、子供のお絵描きみたいな感じで織り込むのが特徴。
技術的な事を言えば、緻密さを美と捉えるトルコやイランには遠く及ばないが、
これはこれで面白さはある。
値段は意外に高かったする。




鹿が二頭向かい合っている。
文字を見ると裏面かな。
この一枚は良かった。




かわゆい。
これも二頭向かい合い。
この構図が定番の一つである。

これは買うかどうか悩んで意外に高かったので、やめた。
もし僕がコレクターなら買ったであろう。
商売を考えると好きな人を見つけられるか不明だったし、売値もそこそこしてしまう。
1960年製。




ライオン向かい合わせ版。
これももちろん、正真正銘のジョージアン・キリム。




ライオン・ラグ。
ヘタウマの画風が炸裂している。
以前、カヘティ地方のワイナリーのオーナーが所持していたキリムのテイストと酷似している。
欲しいなー、と思ったが高かった。




上の一枚に似ているが違う一枚。
ライオンの表情がタマラン。
この感じは日本人ではまず織れないだろう。
織ろうともしないかもしれない。

日本の古い織物を見ても日本人は真面目で渋さを求める。
もちろん遊び心がある日本の古い物も多いが、
成熟した文化を背景に「大人の遊び心」を感じる。

一方、この地域は何故か子供の様な純粋な遊び心を感じてしまう。
人によっては、
ただヘタなだけじゃん、と両断してしまうかもしれないかもしれんが、
個人的には現代アートに似た感覚を感じるのは言い過ぎであろうか?


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とまぁ、色々掲載してみました。
何を感じるか、何を趣向するかは人それぞれであると思う。

ジョージアには動物柄以外にも部族的な柄ももちろん在る。

もし比べるならば、
部族感、技術的、美術的などの観点ではイラン等の動物柄の方が
素晴らしい感覚を持ち合わせていると個人的には思うが、
これはこれで美しいと思うのです。

イランやトルコ、その他の地域を色々見て、蒐集したりして、
また別の物を求めるのであれば、
ジョージアやコーカサス地域の動物柄の絨毯やキリムは面白いと思うのです。



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