旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

河口慧海のチベット仏教のカパーラやチベット仏像

2022年08月28日 | チベットもの


久しぶりにチベット物の事ずら。

先日、東京国立博物館で開催中のチベット仏教の美術展に行ってまいりました。

僕の一番の目的は本物を見る勉強とか見聞とかではなく、
自分の中にあるチベットへの想いを確認する為でした。

コロナが始まり長くチベットの空気感を感じていなかったからです。

いやむしろ、チベット関連とあえて自分を遠ざけていました。

今、チベットの古い物に対してどう感じるか個人的に確かめたかったので行って参りました。

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さて、博物館の物の事。

職員に許可を得て写真を撮影してます。
フラッシュは禁止との事。

来歴確かなチベットの古い仏像が多数ありました。




ふむふむ
15〜16世紀の仏立像とな。
チベットやネパールでよく見るヤブユムですな。
中国でも人気があるらしいです。

説明文では中国・チベットまたはネパールと記載あり。
この丁寧な記載に好ましい印象を受けました。
チベットと断言せず「またはネパール」と書く事は流石に信用が出来る。
他の仏像でも安易に断定せず丁寧(または正直)な解説が見られた。

個人的にだけど、説明文に中国語の併記があった事に違和感を感じるが、
昨今の来日層を考えると仕方ないのかもしれない。
個人的には日本語と英語だけで充分とは思うけどね。

展示物を全く見ずに、
仏像のみ片っ端から全て写真で撮っていただけの中国人ぽい男性も居たが、
彼は何をしているのかしら。

あまり言いたくないが、
某有名ネットオークションで「17世紀のチベット物」とか記載してある出品物の情報を教えて頂く時もあるが、
トクチャ等の小さな物以外の仏像とかで17世紀のチベットのアンティークがもし本物であれば、
大きな博物館や美術館に入るレベルでっせ。
本物が公の大衆レベルのネットオークションで10万円とかで簡単に手に入るかどうかは、
それぞれの判断に任せたい。落札されておったが。


それはさておき、
本物の美術品に戻ろう。



上部の装飾に僕の好みの護獣ジッパが見られる。




色々ありました。




マハーカーラですな。
僕の好きな神様。
ヒンドゥーだとシヴァ。

日本では大黒天として広まったのだが、
時としてマハーカーラの和名として大黒天と表現する時もあるようだが、
その名は日本での名であるので、
個人的な本音としては、
日本での大黒天ではないチベットの神様のマハーカーラを表す時にはマハーカーラとして呼びたいと思うのです。
マハーは偉大(もしくは大きい)、カーラは黒、を意味するので大黒天なのだろうが、
意味訳ではなく音訳の方が言霊的にも良かったと思うのだが過去の歴史の事情もあるのだろう。
因みに博物館ではマハーカーラと記載しておりました。




河口慧海が持ち帰った品々。
左の数珠はカパーラの数珠。
ガウやツァツァも見られる。
19〜20世紀の来歴確実の品。

中国人転売業者が「○○世紀のカパーラ」とか言いまくっているのを聞いている方は、
これを見て欲しいと思うのです。
チベット現地には本当に古いカパーラも在るには在るのだが、
僕が知る限り、それらは安価ではなく数も多くはない。

そしてカパーラという物は異端のキワモノではなく、
由緒ある歴史あるチベット仏具なのですさかい。

河口慧海が何故、今は有名な鳳眼菩提樹の数珠を選ばずに、
カパーラを選んだかは分かりません。
彼はそこにチベット仏教または密教の奥深さを視たのかもしれません。




個人的に愛用しているカパーラ。
知らない人からすると人骨の数珠を日常着用してるのはキモイと思うだろうが、
僕は気にしていないのです。

個人的にだが、
なんか菩提樹の数珠って生命、生きる事、を感じ、
反してカパーラって死を司っているいるように感じるのです。
死を意識しての生という感じ。
正確には死生観。
僕はそこに共鳴しているのです。


以上
久々にチベット関連でした。




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