僕は、二ヶ月に一度のペースで海外と日本を行ったり来たりしている。
一年の間に5〜7回は渡航していて、
年間100日間以上は海外に滞在している。
何をやって生きているのかというと、
海外で仕入れた古い物を売買する仕事をしている。
まぁ、かっこよく言うと、アンティーク・バイヤーだけど、
実態は、露店商とか旅行商である。
金に余裕はいつもないが、好きな旅もある程度自由にできてはいる。
今のところは。
今は、自ら「旅する骨董屋」と名乗っているが、
最初は、金もコネもやり方すら全く分からないところからスタートした。
10年以上、東京で広告デザイン業界に会社員として勤めていたので、
海外輸入販売の経験も実績もコネもなかった。
金も全くなかった。
仕事を辞めて行った一年間の海外旅の後、
帰国前に、さて、何をしようか、とかは
特に考えていなかった。
たまに聞く、長期間、日本へ帰らなくても良い方法、
または旅を継続的にして生活するノマドワーク的な方法、
たとえば、今で言う仮想通貨や株の売買とかだとか
ブロガーや旅ライターなどの仕事もやる気がなかったし、
そもそもスキルもコネもなかった。
ただ、もともと古い物と旅が好きだったので、
好きな物を扱って旅を継続的に続けたい、
ぐらいしか考えていなかった。
それで食っていけるのか?なんて、はじめは考えてた訳ではなく、
なんとなく海外で自分の好きな物を買って、日本で売る、
という古典的な方法を「勢い」だけではじめたのだ。
運もあったのかもしれない。
やってみたら意外とできてしまった。
一年間の長旅の最終盤、旅の資金が尽きかける寸前、
ある国の骨董屋で出会った外国人女性バイヤーに
「あんた、だまされたと思って、コレ、買ってみなさいよ」
といわれた物を訳がわからず買ってみた。
全財産10万円もなかったであろうその時に、
たった3個の得体の知れない物に5万円を勢いで出したのは
今でも謎だ。
もし、骨董屋とその女がグルだったら、完全なカモだったに違いない。
だが、グルではなかった。
そして金が付き、日本へ帰ると、その物を売ってみようと思ったが、
売る手段といえばネットオークションぐらいしか思いつかなかった。
ダメもとで、試しに出品してみた。
そしたら、1000円スタートで出品したのだが、
あっという間にひとつ、16万円だったか、18万円だったか、の値がついた。
三つで30〜40万円くらいになったのではないだろうか。
時は、中国バブルの波もあり、
中国人の間で古いチベット物の爆買いが始まっていたのだ。
これは儲かる!、と思い、すぐさまその金を持って、その国へ再び渡った。
それがスタートだった。
それからしばらくし、ネットオークションでは売らなくなり、
人づてに聞いていた骨董市に出店したり、色々な出会いにより、
時には助けられ、時には失敗をし、
(ニューヨークに行き商品を売るチャレンジに失敗し、大損こいて、深夜の宅配倉庫で働いた事もあった)
悩んだり、喜ぶ出来事があったりだったが、
徐々に生活と商売のパターンができ、
今では美術館ともお付き合いできるようにもなった。
今でも渡航先で、旅人たちに会うと、
「旅が好きなんだけど、日本へ帰ってまた同じようには働きたくない、
なんとか旅を続けられないか」
という話す人たちが多い。
彼らの多くが、お金がなくなったと同時に日本へ帰り、また元の生活をする。
そしてまたお金が貯まると旅へ出たり、そのままその日本での生活を続けるのである。
なかには、独自の方法、アクセサリーを作ったりして渡航の先々で売って旅を続けている人や、
今で言う所の、旅インスタグラマーなどもいるが、
それらを「長年」続けるのは少ないケースだと思う。
僕は前者の彼らに言うようにしている。
「何でも良いので何か挑戦してみたら?」と。
人生、何が起こるか分からない
何事もやってみなくちゃ始まらない。
追記)
2021.12の現在は仮想通貨や株売買が、
海外に居てもお金稼ぎまたは収入獲得方法として優れていると思う。
旅する骨董屋 喜八
インスタグラム:kihachi.antique
http://www.ki-hachi.com
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