龍眼菩提樹の数珠
8mm〜9.5mm
知っている人にとっては、珍しい数珠と分かる筈である。
チベット仏教では数珠が一番身近な宗教物だろうと思う。
老若男女、全ての人が一本は数珠を持っていると言っても過言ではない。
素材は、プラスチックの安物から赤珊瑚、人骨に至るまで様々だ。
そして、地域によっても愛用されている素材や形状は様々だ。
一般的に広くチベット文化圏で愛用されているのが、菩提樹の実の数珠であろう。
そして、今や相場市場ができあがったのも菩提樹の数珠だろう。
菩提樹には、様々な種類があるが、とりわけ一般的に重宝されるのが、
鳳眼菩提樹という種類だ。
実の模様が、鳳凰の眼に例えられその名が付いているが、
現地では鳳凰の眼ではなく、「ブッタの眼」とされ、
名前もブッディと言う名で呼ばれている。
売買相場の事を言うと、菩提樹の実の大きさで金銭的価値が決まるが、
小さい方が金銭的価値がある。
なぜなら、サイズが小さくなるにつれ、数が少なくなるからだろう。
今では、中国本土、北京辺りでは、8mm以下のサイズは一本でなんと50万円以上の値段がつくのは珍しくない。
昔、ネパールの僻地の菩提樹の産地の小さな村に足を運んだ事があるが、
大きなサイズ(13mm以上)はたくさん採れていた。
が、小さな実は本当に無かった。
見渡す限りの菩提樹の木が生い茂る山中だったが、
採れている実は全て大粒だった。
それほど、小さな実は少ない、と実感したのを覚えている。
それを数珠一本、108粒揃えるのは、至難の業だと思った。
ネパールのチベット圏はもちろん、チベット自治区や東チベット、そしてラダックでは
大きなサイズの鳳眼菩提樹は多く見られるが、
小さなサイズは極めて少ない。
特に市場が出来上がってしまった現在、小さなサイズの数珠を現実的な金額で手に入れるのは難しい。
そして、鳳眼菩提樹と並び、龍の眼と称される数珠がある。
いわゆる龍眼菩提樹だ。
なぜか、鳳眼菩提樹とは違い、現地でも直訳のドラゴン・アイと呼ばれている。
これも小さく古い数珠は極めて少ない。
というか、龍眼菩提樹の数珠自体の流通がない上に、チベット人自身が龍眼菩提樹の価値を認識していない場合がある。
なぜか?
それは鳳眼菩提樹に比べ認知度が低い上に、若い人はこの素材を好まないらしいのだ。
もっと派手で大粒の数珠を好む上、「仏の眼」、という謂れが一般的なチベット人達にとって趣向に合っているようなので、
鳳眼菩提樹の方が好まれるが、チベット仏教において、修行によっては必要な数珠の種類が異なり、
龍眼菩提樹の数珠は重要な位置を占めているのも事実である。
また、数珠が大きいと、毎日携帯する数珠は、必然的に老人にとっては重荷になる。
なので、一部の老人達に愛用され、上記の理由と相まって、結果、流通量がすくなくなる。
稀にチベット圏で見かける程度だが、
これに狙いをつけて仕入れるのは困難を極める。
数珠ひとつとってもチベット仏教は奥深いのだ。
龍眼菩提樹の数珠の詳細はコチラ→
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます