蒙古絞り、という絞り染めの布がある。
蒙古というとモンゴルを指し、
十字文様に染める手法の織物の事を日本では言う。
何故か、日本ではチベット仏教圏の絞りというと、
蒙古絞り、という名称が一人歩きしている。
伝来の歴史的な事からか、
茶道世界に由来する事かは
分からないが、
同じ手法の織物が、チベットにもある。
十字文様に藍や茜系の染料で染めたり、
十字文様はスタンプ(型押し)で表現する事もある。
むしろ、この「十字」という文様に意味を置いているようで、
型押しで表現する事が多い。
因に、紅い色は高位の僧侶が使用していた事を意味する。
この十字文様は、チベットで「ティクマ」と言われ、
僧侶の衣服や、僧侶が使う座布団などで目にする事がある。
そして、稀ではあるが、馬の毛布、ホースブランケットや、
チャムという踊りの祭り用の衣装などに
ティクマ柄の絞り布が用いられる事もある。
主に、チベット本土シガツェ近郊で用いられているが、
色濃いチベット文化圏でもある、インド領ラダックやその奥地ザンスカールでも
羊毛に絞り染められた女性用衣服(民族衣装)を見る事ができる。
モンゴルではなく、チベット独自の絞り染めの織物。
名前はまだない。
正確には、絞りで十字を表現しない事もあるので、
あくまで、ティクマ柄だろうが、
白く絞り抜き、その上に十字を表現する手法なので、
絞り、としてはどうなのか。
まぁ、とにかく、チベットの物であるので、
蒙古としておくのは忍びない。
モンゴルが蒙古なら、
チベットは西藏となる。
「西藏絞り」とでも名付けようか。
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