旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

蒙古絞り、否、西藏絞り。チベットのティクマ柄織物

2018年03月25日 | チベットもの



蒙古絞り、という絞り染めの布がある。

蒙古というとモンゴルを指し、
十字文様に染める手法の織物の事を日本では言う。

何故か、日本ではチベット仏教圏の絞りというと、
蒙古絞り、という名称が一人歩きしている。

伝来の歴史的な事からか、
茶道世界に由来する事かは
分からないが、
同じ手法の織物が、チベットにもある。











十字文様に藍や茜系の染料で染めたり、
十字文様はスタンプ(型押し)で表現する事もある。

むしろ、この「十字」という文様に意味を置いているようで、
型押しで表現する事が多い。

因に、紅い色は高位の僧侶が使用していた事を意味する。


この十字文様は、チベットで「ティクマ」と言われ、
僧侶の衣服や、僧侶が使う座布団などで目にする事がある。

そして、稀ではあるが、馬の毛布、ホースブランケットや、
チャムという踊りの祭り用の衣装などに
ティクマ柄の絞り布が用いられる事もある。






主に、チベット本土シガツェ近郊で用いられているが、
色濃いチベット文化圏でもある、インド領ラダックやその奥地ザンスカールでも
羊毛に絞り染められた女性用衣服(民族衣装)を見る事ができる。


モンゴルではなく、チベット独自の絞り染めの織物。

名前はまだない。

正確には、絞りで十字を表現しない事もあるので、
あくまで、ティクマ柄だろうが、
白く絞り抜き、その上に十字を表現する手法なので、
絞り、としてはどうなのか。

まぁ、とにかく、チベットの物であるので、
蒙古としておくのは忍びない。

モンゴルが蒙古なら、
チベットは西藏となる。

「西藏絞り」とでも名付けようか。
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