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🤳《不易流行》🤳あしたの詩を唄おうよ…🎵

 故郷は遠くにありて・・・忘れかけてた【遠い背景の記憶】原点回帰[95]【恋と少年】 

2022-11-18 | こころの旅
・・・・・この作品は、1963年5月河出書房新社より刊行さた長編作品ですが、自らの青春体験を基幹と
した初期作品の代表作です。富島健夫の初期作品は、《青春》をテーマとしての基本姿勢を踏まえて
《青春の心》を描き出してきた作家である。他の作品で【雪の記憶】・【故郷の蝶】・【故郷は遠きにありて】
・【夜の青葉】・【明日への握手】等々の基幹となる自伝的要素の強い作品ではないだろうかと思う。
 富島健夫が、主人公(杉良吉)の名を借りて終戦直後から昭和二十年代後半の時代背景の中での
少年期からの青春群像を描き出している。終戦前まで日本の植民地であった地からの引き揚げ者、そして
貧しく空腹と孤独感のなかでの思春期を学制改革の施行を機に新制高校二年となって男女共学の学生
時代を過ごしてゆくのである。主人公の成長とともに変化してゆく女性像や空想の中で女性(少女)と遊び
現実の女性とのギャップの中で生まれて初めて恋を告白する。また、他の女性関係が綴られる時の失恋
もある。・・・富島健夫は「青春の心は、生きてある限り消えぬものである。ゆえに、ぼくは生きてある限り
青春の心を文章に表現していこうと決意している。」とあとがきしている。この作品の解説者 清原康正氏の
文を引用させていただくと、富島健夫は、この永遠の普遍性ともいうべき《青春》を《不易流行》と表現して
《不易=永遠に変わらぬ本質的な感動》と《流行=時々新しい事を求めて移り変わるもの》そして、「人間
には、不易と流行があり、不易なる真実は、千年を経ても不易であって、もともと小説はそこに視点を据える
べきであって、流行はどうでもよいのである。」(【夜の青葉】のあとがき)・・・したがって、不易なるもの
それは《青春の心》でありそこに視点を据えて自らの青春体験を投影させることで彼の内部に《青春の心》
が常に存在し続けていることを示すものだ。
 1951年生れの私は、自身の青春時代と重ね合わせてみても世代を越えて《不易と流行》である《青春
の心》に感銘を受ける次第です。
 やはり、時代が違っていても同郷という生活空間で少年期から青春期を過ごす中での《青春の心》は、
何ら変わりはありません。私にとって、この作品の中に描写されている主人公の具体的な行動が良く解り
、身近に感じられるのです。特に(8)P137~P157が印象に残っています。・・・・・
JPEG0426-0068~0426-0078 P-137~P-157
 《8》・・・・・この作品は、1963年5月河出書房新社より刊行されました。
       ご紹介するのは、1995年5月15日 徳間文庫初刷刊行分です。





・・・・・・・・・・・当時、蒸気機関車で筑豊から田川線で行橋駅を経由して苅田港への
石炭輸送や通勤・通学の交通手段であった。
・・・その名残が、私の高校時代まであった。蒸気機関車SL96が通勤通学の唯一の交通手段だった。
※現在の福岡県京都郡みやこ町犀川・豊津並び京都郡苅田町そして、行橋市等々の京築エリアでの
戦後、昭和二十年代半ばの高校生事情という時代背景がそこにあったのである。

 次回は、 《9》・・・・・この作品は、1963年5月河出書房新社より刊行されました。
       ご紹介するのは、1995年5月15日 徳間文庫初刷刊行分です。





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