読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

世界の空き家対策~公民連携による不動産活用とエリア再生 米山秀隆編著2018

2020年09月16日 | 不動産・住宅(不動産・建設産業局、住宅局)
 6人の著者いずれもが、空き家・住宅問題と関連する諸制度をよく理解したうえで、ポイントをわかりやすく記述しているという印象あり。
 各章にまとめと日本が学ぶべき点の記述はあるが、できれば最後に6人の著者による座談会のようなものを望みたかった。
 
1章
 米独仏英韓、統計の取り方の違いから厳密比較は難しいが、各国で空き家対策がある。
 生前贈与などをして最後に不要な不動産のみ相続放棄することも可能。国が使い道のない不動産を押しつけられる可能性がある。所有権放棄ルールを明確にすべき。)(住宅)解体費用徴取と(土地)所有権放棄料という2つの仕組みを導入すべし。
2章
 アメリカは住宅ブーム、不動産価格高騰(2018年)下にあり、活況を呈する住宅市場は不動産流通システムによって支えられている。MLS(不動産データベース)、各事業者・専門家の分業、手数料、鑑定評価、保険など、民主導により消費者ニーズに応えている。
 衰退地域の空き地空き家を取得し再利用する公共非営利のランドバンクや、同じく地区の価値向上に取り組む民間非営利のコミュニティ・ランド・トラストが各地で設立されている。
3章
  ドイツでは、住宅の維持管理は義務とされており、所有者に対し近代化や修繕、取り壊し命令を自治体が出せる。管理不全住宅が週x風するエリアなどでは「都市改造」「社会都市」といったエリア全体を再生する仕組みがある。
 土地登記は義務であり、所有者不明土地の発生を防止できる。
4章
 フランスでは、大都市での住宅不足に対応するため、空き家課税や自治体が強制的に利用できる制度が実施されてきた。
 人口や産業の流出に悩む地方都市では、老朽空き家を再整備し市場に出す空き家リサイクル事業を、公共会社が実施している。
5章
 イギリスでは、住宅供給が需要に追いついておらず、空き家は少なく、かつ減少傾向。空き家課税や空き家強制収用制度などが実施されてきた。

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