アメリカ大統領の就任式を観るのは初めてである。観衆が殆どいない異例ずくめの就任式に、アメリカの置かれた状況が垣間見える。なんだか敗戦国から立ち上がる国のような雰囲気が感じられる。しかし、バイデンはしっかりした足取りだ。時に数少ない観衆に近寄り言葉を交わす。日本人には真似のできない精神的なタフさが画面から伝わってくる。
最初の3つの署名式でも、緊張の場面だが穏やかな雰囲気の中、力強いメッセージが溢れている。日本の儀式的な慣例みたいな絵にかいたようなやり方とは相当違う。生身の生きた儀式が、新しい大統領の人柄と共に進んでいくのが自然と伝わる”素晴らしい”儀式だ。時に笑みも漏れるという、正に大国の大陸に暮らす人々の大きさを象徴しているように思えた。
ペンスとカマラの副大統領引き継ぎでは、4人から大きな笑い声が聞こえた。緊張の瞬間でも笑みとウイットを絶やさないアメリカ人がそこにあった。