1.地域のエネルギーは地域でつくる
温暖化の急速な進行によって、46億年前に誕生した地球が悲鳴をあげています。
地球を危機に陥れた元凶が、枯渇性資源である化石燃料の大量消費であることは
いうまでもありません。
そのことの反省から、石油から太陽光・熱、風力、小水力、バイオマスなどのク
リーンで再生可能なエネルギーへの転換が急務とされ、各国で新しいエネルギー
の開発が進められています。
新しいエネルギーを創出するにあたって留意しなければならないのは、地域で
必要なエネルギーは地域に存在するエネルギー資源を活用してつくるという視点
です。
日照に恵まれた地域では太陽光・熱を利用し、農林業を従事する地域では間伐材
や農業廃棄物を利用するといったぐあいに、身近にあるエネルギー資源を有効に
利用することで、生活や産業に必要なエネルギーを確保していくのです。
スイッチを入れれば電化製品が作動する現代に生きる私たちにとって、薪や炭で
煮炊きをし暖をとる生活は、遠い昔話になってしまいましたが、エネルギーは身
近にある再生可能な資源を利用してつくるのが経済的で効率的だということに、
いまいちど思いをいたさなければなりません。
環境を破壊せず、資源を保全しながらエネルギーを確保することは、21世紀の人
類に課せられた至上命題です。
この課題を解決するには、地域で使うエネルギーは地域に存在する自然エネルギ
ー資源を活用してつくるという思想をみんなで共有し、クリーンで循環型のエネ
ルギー生成システムの構築を急ぐ必要があります。
2.到来する水素社会
ポスト石油のエネルギーとして注目されているのが水素です。日本政府は2001年
に水素利用を21世紀のキーテクノロギーと位置づけ、2020年に燃料電池車500万
台の導入と原発10期分にあたる約1000万kWの発電を行うことを目標に定めました
が、関心の水素の製造は化石燃料や天然ガスに頼っているのが現状です。過度的
な措置とはいえ、クリーンな水素をつくるのに化石燃料や天然ガスを使っていて
は、地球の温暖化や資源の浪費を止めることはできません。
水素を生成する究極の方法は、水を分解して水素を取り出す方法です。アイスラ
ンドではこれを現実に行っています。点在する火山の地熱と氷河から落ちる豊富
な水を利用して水素を生成しているのですが、このような条件はどこででも適え
られるものではありませんし、施設も膨大なものが要求されます。燃料電池の技
術革新が進み、近未来に到来する水素社会に対応するには、身近にある資源で安
直に水素が取り出せる技術が開発されなければなりません。そんな念願を達成し
たのがバイオマスによる小規模分散型の水素製造シシテムです。
3.水素時代を先取りする技術
このバイオマス水素製造システムは、ドイツのDM2社が開発した技術で、日本
およびアジアにおける技術特許は、株式会社日本計画機構が所有しています。
現在、金属加工、電子部品、デジタル家電などの製造業での水素の需要が旺盛 で、製造した水素の販売だけでも事業として十分採算が取れます。
自動車のガソリンエンジンが燃料電池に取って代われば、水素の需要は飛躍的に
伸びます。
新しい時代の先駆的技術であるこのシステムの導入について、ご検討くださるよ
うお薦めするしだいです。
特定非営利活動法人自然エネルギー普及協会