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複業解禁の副作用

2020-09-14 00:27:00 | 投資・会計・ガバナンス
今年、メガバンク内で唯一の制度として、みずほ銀行が副業を許可したことが大きなニュースになった。
これはとても先進的で競争力を高めることにもつながる経営判断だと思う。多様な志向を持つ人材の採用につながったり人材が多様なスキルを身につけて会社全体の事業遂行能力が高まるというだけではない。副作用として経営のガバナンスが高まると考えるからだ。

経営のガバナンスについては、取締役会の制度を巡って少なくとも20年近く議論が続けられてきた。そして今は、企業と雇用関係を持たず、報酬の他に利害関係を有しない独立役員を1人おくことが義務に、社外取締役を2名以上登用するとが上場の一般基準として設けられている。(日本証券取引所のサイト
しかしこの独立性は常に有力な批判を受ける対象である。それは、過去の粉飾決算などの例でスタンフォード大学の教授など複数の社外取締役を持つエンロン社(取締役会構成)が不正を防げなかった例などがあるからだ。

ウォーレンバフェットによれば、取引関係といった着目点は不足であり、有効な「独立」社外取締役の定義は報酬を収入源として重んじる必要のないことである。
取締役会で社外取締役に選んでもらうことに家計を助けてもらう意識がある限り、どんな取引関係にあっても従属的な意識を持つことになるというのは説得力のある話だと思う。
雇われる身であれば、(他社から引く手数多のスターでもなければ)給料を支払ってくれている企業にぶつかることは困難なことである。

そしてこの原則は取締役のみでなく一般のスタッフにも当てはまる。

ここで、副業解禁が非常に大きな意味を持つのだ。この制度が本格的に行き渡った時には、みずほ銀行は同様の制度を持たない他の銀行に比べて、営業ノルマや上司の圧力による不正融資やハラスメントは確実に減る。
給料に頼る気持ちが弱められれば、早い段階でアラートが出され、問題が未然に防がれるだろう。

複業解禁の副作用としてガバナンスの改善がもたらされ、会社の競争力をより一層高めると思う。社内の様子がよく分からなくてガバナンスに不安があるという大企業は特に、導入を検討していただきたい。

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