サトウハチロー「爪色の雨」から

　　　　　　　　

何時も何時も変わらない事ばっかり言って申し訳ない気持ちで一杯です


それで今日も同じ事を言ってしまうので


ここらで、何か考えてと、


と、言いながら今考えているのが


昨日図書館で頂いてきた


サトウハチローさんの詩集「爪色の雨」


から「８月の日時計」


まだつぼみのコスモスに
針がゆりうごいてゐます
日時計の針がゆりうごいてゐます
八時　午前八時

九時になって
マアガレットを針が指すとき
私はアメリカの雑誌をひらきます
なんとかマアガレット。ジャックカトロン。

ヒナゲシの紅さが
水色の空に匂ふ十時
乳母車のやうな雲が
空を行きます

まつ白いカクタースのダリアは
もうやがて散るでせう＝朝の終わりの十一時＝
海辺の家の階段（きざはし）に
私はいつかこんな夫人（マダム）を見ました

姫日向草に陽がちらつく
大きい花があたりを見まはします
お昼はつめたいミルクと
パンとママレード

スヰトーピーの一群（ひとむれ）が
そつと息づくとき
お部屋の時計も一つ打つ。
小さい微風（そよかぜ）――


サトウハチローさんを知っていますか、結構いかつい顔をしていましたよね～

それが女性のや（よ）うな詩を書くんだからロマンチストなんでしょうね～



　　　　　　　　　　　　

画像は今朝撮ってきました。