障害者の自立生活にとってケアスタッフさんとの関係作りは避けて通れないもの。これが障害者の自立特有の楽しさであったり、わずらわしさであったりする。それは仕事としてやっているケアスタッフさんも同じ事。一対一の特殊な仕事だからこそ、やりがい・大変さが混在すると思う。ちょっとケアスタッフさんの気持ちに耳を傾けてみると、関係作りの大きなヒントのなるんじゃないかなぁ・・・。ベテランとなった篠原さんの思いはこんな感じです。
~利用者さんに対して思うこと~
ケアスタッフは、日々利用者さんと関わる中で様々なストレスを経験していく。例えば、利用者さんに急かされたり、他のケアスタッフの愚痴を言われたり。また、話しかけられない雰囲気が続いたり、介助中に休憩がなかったり・・・。そういったことにより、少しずつ何かが溜まっていく。表面では笑顔を作っていても、心の中では焦りや不安でいっぱいだったりする。
介助のような対人サービスというものは「大きなトラブル」というよりも「事業所に相談するほどではないがどこか心に引っかかる」というケースの方が、表面化しにくく返って危ない。一般的にストレスが溜まって来ると、視野が狭くなり、自分の知らぬ間に余裕を無くしたり、相手を思いやるアンテナが鈍くなってくることが多いのだ。
ストレスを受けても、ケアスタッフには「守秘義務」があるから、気のおける友人や家族、他の利用者さんに話すワケにもいかない。前回のモヤモヤを消化できないまま今日の介助に向かい、同じようなストレスを受けて家路に着く。これは、苦しい。社会的立場も、経済的な面も、決して恵まれているとは言えない中で「人の役に立ちたい!」と介助へのモチベーションを保ち継続していく事は、実に困難な事なのである。
ケアスタッフは、普段、利用者さんから感謝の気持ちを聞く機会がない。仕事として入り対価を受け取っているのだから当たり前といえば当たり前かもしれないが、利用者さんに直接「ありがとう」「お疲れさま」と言われるのとそうでないのとでは、介助の質が全く違ってくるように思える。(これは言葉だけの問題ではない。)
利用者さんは、ケアスタッフへ感謝や想いを具体的に伝えてあげるだけで、介助を継続していくために必要なモチベーション(=仕事のやりがい、介助の動機付け)をグン!と上げることができるのだ。そして、ケアスタッフが感じる仕事へのモチベーションというのは、そのまま利用者さんへの介助の質に直結する。長い目で見れば、生活の安定につながっていく。事実、そういった感謝や想いを伝えようとしてくださる利用者さん方の生活は、長い目で見ると安定する傾向にあるのである。反対に、安定しない現場はいつまで経っても安定しないことが多いと言えよう。
ここの点に関しては、ケアスタッフ個人個人の身体的介助技術のバラつき、コミュニケーションの経験不足、フォローアップ研修の開催や相談支援がなかなかできない事業所体制等々こちら側の問題もあり、利用者さん側にモチベーションの責任をひとえに押し付けることはできないが、やはり利用者さんとの一対一の関係によってこそ”やりがい”というものが形成されていく。というのが、6年半介助に関わり、利用者さんに育てられてきた私の実感である。
利用者さんから感謝された時、その言葉、その表情は、ケアスタッフにとって大きな原動力となる。知恵を絞ってなんとか要望に応え、利用者さんに喜んでもらえたことを自分の喜びとしていく素晴らしい能力がケアスタッフにはある。利用者さんたちは、もっともっとその能力を引き出して頂きたい。 利用者さんのふとした気持ちの表出によって湧き上がった“やりがい”は、やがて揺るぎない信頼となり、いつまでも利用者さんと良い関係を気付いていく存在となるだろう。そして、その関係がお互いにとってかけがえのない財産となるだろうことは、言うまでもないのである。
職員 篠原 真貴
その件に関しまして、事実確認も含めましてこちらでは詳しい事情が分かり兼ねますし、またデリケートな問題ですので私個人、事業所としてのコメントは差し控えさせて頂きたく、ご理解の程よろしくお願い致します。
のぶぴーさんの仰る通り、ヘルパーさんのストレスというのは、直接感謝される事が少ないという点において、主婦の方と共通するものはあると思います。反対に「どんなに身の回りのことをしていても家族ではない」という角度から見ると、主婦の方とは少し違ったストレスのような気もします。
私たちケアスタッフは、仕事として介助をして金銭的な対価を受け取っているので、直接的な感謝を求めるものではないよなあ。と思います。と、同時に、利用者の方がどういった気持ちを持っておられるかどうかというのを、私たちケアスタッフは利用者の方のちょっとした言葉や態度の端々から敏感に感じ取ってしまうことがあるんですね。(もちろん普段からそういったことを考えて仕事をしているわけではないのですが・・・)
私たちも、感謝の気持ちを忘れずに支援に当たっていきたいと思います。