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おフランス留学記~パリやのに

おフランスはパリ近郊のHECなるビジネススクールに留学し、MBAをこころざす筆者の日記。

フランスの本屋

2005年10月30日 01時31分35秒 | おフランス生活
サンミシェル広場を通りかかったときに、普段は見かけない変な行列を見つけた(写真)。一体なんだろうと思ったら中古本を売るための行列。サンミシェル広場を取り巻いている大型書店Gibert Jeuneの買い取りコーナーにできた列だったのだ(日本人は通行人の迷惑を考えて、こんなふうに垂直に行列を作らずに壁に沿って並ぶと思う。でも並んでるだけマシか)。
ソルボンヌの近くだけあってこの本屋は専門書を含めて品揃えも充実していて、学生が多いせいか、なかなか雰囲気もいい。

フランスの書店チェーン同士は意外とすみわけが出来ていて、それぞれの書店チェーンがそれぞれのサブマーケットセグメントでリーダー的存在になっているように思える。
フランスでよく見かけるのは、

Relay(リレイ)
  駅の売店経営。雑誌中心。

fnac(フナック)
  生協。本ばかりでなくCDやDVDや電気製品やチケットまで幅広く取り扱う超大型ストア(だけど雑誌はほとんどない)。この領域では独占状態(フランスにはTower RecordもHMVも入り込む隙がない。Virginが少しだけ。)。fnacはヨーロッパの他の国にも進出している。

Maxi Livres(マキシ・リーブル)
  アート関連の大型ビジュアル本や子供向けの本に特化した書店。フランス語がわからなくても読めるので、時間をつぶすには最適。

逆に言うと、日本と違ってあんまし競争がないということなのだが。

僕は書店で言うならアメリカの書店が最高だと思う。コーヒーを飲みながらソファーに座って自由に「立ち読み」ができたり(本も英語だしね)、値引きがあったり。Barnes & Noble(バーンズ・アンド・ノーブル)が代表格だが、一日中いてもいいくらい居心地が良く楽しい(websiteがアマゾンのマネみたいで良くないけれど)。

日本の書店の競争はあんなに激しいにもかかわらず、僕の好きな青山ブックセンタージュンク堂を除いてほとんど差が見られない。場所取りで勝負が決まるのはわかるが、もうちょっと本を買うという行為に楽しさを持ち込んでほしい。

アメリカの書店チェーンがどこかを買収して変えてくれるといいのだが。

ジョニデはすごいね

2005年10月29日 01時41分28秒 | おフランス生活
今日はティム・バートンとジョニー・デップが「チャーリーとチョコレート工場」と並行して製作したLes Noces Funèbresを見に行った。

脚本(ストーリー)や演出も飽きさせない展開でなかなか良かったが、それよりもCGアニメーションが従来にないタッチで見ていて楽しい。星二つ半(満点:三ツ星)を差し上げよう。

主人公の声がジョニデということで最初は気になっていたが、5分後にはすっかりそんなことも忘れてしまった。そういった意味でも声優としてのジョニデの技量を感じさせる(有名人が声優をやると得てしてずっとその有名人自身が映画に出ているような気になることがあるがこれはダメダメなケース)。
並行して製作した、全く際立った2つの役もきっちり演じ分けている。さすがプロやね、ジョニデ。

関西流略し方

2005年10月27日 01時44分07秒 | おフランス生活
阪神タイガースの日本シリーズ大敗で意気消沈しがちな今日このごろだが、関西を励ます意味で(?)、気を取り直して関西とおフランスの意外な共通点をまとめてみた。

・歩くのが早い
・エスカレーターは右側に立つ(東京以外はどこでもそうだが)
・初対面の人にも馴れ馴れしく話しかける
・列に並ばない(平然と割り込む)
・信号を守らない
・ウェットな人間関係
・他人より自分(と自分の身内)がはるかに大事
・ルールを曲げる
・メシにはこだわる
・ゴミの分別は適当
・言葉の略し方がストレート

最近フランス語の授業で、フランス語の略語をいろいろと学んだのだが、この言葉の略し方にかなり共通点が見出せる。

たとえば、
シャンゼリゼ=シャン
モンパルナス=モンパ
マクドナルド=マクド
レストラン=レスト
デカフェ=デカ

この最初の何文字かを切り取るのが関西流。東京とどこが違うかっていうと、東京人は表参道のことをオモテとか、六本木のことをロッポとか、青山一丁目のことをアオイチとか言わない(きっと関西人やパリっ子ならそう呼ぶと思う)。

「シャンのマクドでメシしばかへん?」「俺、モンパのレストの方がええなあ、あそこデカあるやん。」ってパリっ子がフランス語で話しているかと思うと、気分はもう関西。東京みたいな気取った略し方はおフランスではご法度である。

サンミシェル広場の良いカフェ

2005年10月23日 06時58分17秒 | おフランス生活
ヘミングウェイの「移動祝祭日」というエッセイ集がある。

 もしきみが幸運にも青年時代にパリに住んだとすれば
 きみが残りの人生をどこで過ごそうともパリはきみについてまわる
 なぜならパリは移動祝祭日だからだ

という有名な一節で始まる、ヘミングウェイのパリ時代の青春を描いたもの。
まあ、すごい面白い、というわけではないけれど。

この最初のエピソードで、パリのサンミシェル広場のとあるカフェに入ったときに彼が見た情景が描かれていたのがとても印象に残っていた。
作品にはカフェの名前は確か触れられていなかったので、適当にそこいらのカフェに入って朝の時間をつぶしてみた(写真)。
サンミシェル周辺はすっかり観光客ずれしてしまっているけれど、さすがは左岸だけあって本屋やカフェがなかなかいい雰囲気をかもしだしている。

僕が今回たまたま入ったカフェは、ヘミングウェイのエッセイに描かれたカフェとはなんとなく違った感じがしたけれど、まあ満足。

大事件発生のおかげでスタバ問題解決

2005年10月19日 05時50分42秒 | おフランス生活
昨日、晩飯をそろそろ食べようかというころ、消防隊員らしき男が屋根を伝って歩いてきて窓をドンドンと叩いた。何事かと思い窓を開けてみると、「近所でガス漏れが発生したのですぐに外に非難してください」とのこと。

まさに着のみ着のまま、準備中の夕食もほっぽらかして外へ出ると、すでに何人かの消防隊員が付近の道路を封鎖してマンホールを開けていて、消防隊員に交じって真っ赤なスーツを着たおばさんが指示を飛ばしていた。

このおばさん、実はわがJouy-en-Josas村の村長さんで、われわれ避難民(といっても僕と妻と同じアパートの隣人の合計3人)を市役所に受け入れた上、村の公費で中華料理屋で夕食を食べさせてくれることに。
僕はアパートの隣人とは初めて会ったのだが、30歳代前半くらいの女性で、Massyという近くの町の企業で経営管理の仕事をしているという。仕事関係で中国やコンゴに赴任したことがあるそうなので相当な国際的大企業なのだろう(彼女は中国語が話せる)。

恥ずかしいことに部屋着のまま中華料理屋のテーブルを囲むことになった僕たちは、つたないフランス語でいろいろと世間話を始めた(隣人は英語が少し話せるが得意ではないため)。
はじめはお互い、フランスのこととか日本のこととか他愛もない話をしたりしていたが、昨日疑問に思ったスターバックスがフランスで流行らない謎を投げかけてみると、彼女はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりにいろいろと説明をしてくれた。

まず、フランス人にとってカフェとは、単にコーヒーを飲むために行く場所ではなく、友達と語り合ったり、酒を飲んだり食事をしたり、街や人々を眺めたり、隣のテーブルの話を横聞きする場所なのだそうだ。彼女は「想像してみて。たとえば友達とマクドみたいな店に行って長時間楽しくおしゃべりなんかできる?」と言っていた。
それにカフェは一軒一軒違った個性や歴史があり、オーナーのフィロソフィ(哲学)を発見し味わいにいくのが楽しいのであって、どこに行っても同じような内装で、同じようなものしか出てこない空虚なスターバックスに行く理由がないのだそうだ。

場所としてのスターバックスの魅力のなさは分かったが、コーヒー自体の味はどう思うかと聞いて見ると、「悪くはないけれど、コーヒーがあればいいってわけじゃないからね」とのこと。

そして、世界中どこへ行っても同じものしか出てこないというファーストフードレストランがいかに奇妙なことかということを力説した上で、「日本にはスターバックスが必要とされる市場があるの?」と逆に尋ねられた。
僕が「日本の若者はアメリカの文化が好きだからね。だけど日本では流行が季節を経るごとに変化するから、スターバックスもそのうち捨てられると思う。」と答えると納得した様子だった(日本はとにかく世界の最先端をつっ走っているというイメージがフランス人にはあるようだ)。

その後も彼女は、哲学や文学の話を交えてフランスの素晴らしい面について語り続け、結局3時間あっという間に経ちようやく家に戻ることができた。電気はしばらく復旧しなかったのでロウソクで明かりをとらなければならなかったけど(よく考えたら電気より危ないな)。

というわけで、ガス漏れのおかげで妙に濃い時間が堪能できた。スターバックスの謎も解決したしね。追い込まれると意外とフランス語でコミュニケーションができることが判明してなんだか壁を乗り越えた気分。

アメリカ式コーヒー

2005年10月18日 01時27分10秒 | おフランス生活
フランスでコーヒーといえばエスプレッソと相場が決まっていることは多くの皆さんがご存じだろう。カフェで「アン・カフェ・シルヴプレ~」と言ったら特に指定しない限り通常はエスプレッソが出てくる。

日本で言うところの「コーヒー」を注文するためには「カフェ・アメリケン」とか「カフェ・ロング」とか色々とはっきりしない呼び名でもって、通じるかどうか恐る恐る尋ねてみるしかない。僕はエスプレッソの方が好きだし、面倒くさいのであまり「カフェ・アメリケン」を注文したことはないけれど。

この薄い「カフェ・アメリケン」はフランス人にあまり人気が無い。
今日のフランス語の授業でこの悪評高い「カフェ・アメリケン」を意味するスラングを聞いてクラスは爆笑に包まれた。

それは、靴下汁 (jus de chaussette)。
靴下にお湯を入れて出てきた汁みたいだからという語源だそうだ。

ところでフランスにはスターバックスが非常に少ない。
パリで僕が知っている分で4店舗。どこへ行っても外国人観光客らしき姿がほとんどである。
なんでフランス人には人気がないのか一度本人たちに訊こうと思いながらも実現していない。スターバックスはエスプレッソベースで、結構ヨーロッパ人から見ても美味いと思うのだが。何でだろ。

①カフェがすでにたくさんある
これは、それ単独では言い訳にはならない。日本でも既存の喫茶店がスターバックスなどによって駆逐されたのだから。
②スターバックスも勝てない魅力をカフェが持っている
アルコールが置いてあるし食事も出来るしタバコも吸えるが、タバコ人口も減りつつあるし、せめて若者の需要を満たすくらいには店舗数が増えてもおかしくないはずだが。
③スターバックスは高い(特に若者にとって)
これはありそうだが、食事には比較的財布のヒモが緩いフランス人なので認められさえすれば4店舗という有様にはならないはずだが。
④やっぱり口に合わない
やっぱりかねえ。

というわけで依然として決定打に欠いている。訊いてみよ。

パリの穴場ホテル

2005年10月16日 19時10分24秒 | おフランス生活
昨日から会社の先輩がフランスに遊びに来ているので空港に迎えに行った。ついでに夜も遅かったのでパリのホテルに泊まったのだが、ここがなかなかの穴場だった。

Le Notre Dame Hôtelは中級クラス(3つ星)でおそらくツアー客とかが泊まらないホテルで上級のサービスは期待できないが、窓からノートルダム大聖堂が見えてなかなか素晴らしい(写真)。最近部屋も改装したようでやや手狭だが清潔でモダン。かつ古き良きパリの雰囲気を残している。値段も手ごろ。

このホテルに泊まるなら、ぜひ最上階の2階建(3人用)の部屋を予約することをお薦めしたい。


創造力の代償?

2005年10月13日 03時07分49秒 | おフランス生活
こないだモンマルトルで公園に立ち寄った時、モンマルトルをテーマに描いた子供(小学生)の絵のコンクールをやっていた。会場には子供ばかりでなく通りすがりの大人たちも熱心にいろんな絵に見入っており、自分が気に入った絵に票を投じていた。

「子供の絵は素晴らしい」とか言うような「政治的にコレクトで不可侵」なお世辞は抜きにして、展示されていた絵の素晴らしさには目を見張るものがあった。色使いや創作のアイデアなどの点でオリジナリティにあふれていて、「これは日本の子供には描けないな」と認めざるを得ない秀作ぞろい。

僕の小学校時代を思い返してみると、学校で絵を描くときには先生から指定されたそれなりのガイドラインにしたがって、暗黙のうちに常識の範疇(小学校何年生くらいの絵はかくあるべし、みたいな)で絵を描いていたし、そこには創造力(あったとして)を無制限に発揮する場はなかったように思う。きっと今回見たような作品を日本の学校で描いたら、先生から「ふざけないでまじめに描け」といわれそうな気がする。
学校教育ばかりでなく、日本にはテレビゲームやアニメや漫画や、とにかく早いうちから決まった「型」を与えられすぎていて、知らず知らずのうちにみんな同じような絵を描くようになってしまったのかもしれない。まあフランスにだってマンガはあるからいいわけにはならないが。

ところで絵を展示している横で、子供たちがフェイスペインティングをしてもらっていた(写真手前)。女の子はキラキラするようなの、男の子はバットマンとか。
これもたぶん日本だと小うるさい教師や親が必ずいて、小学生にそんなことをさせてはいけないとか、衛生上云々とか何とかで結局できないに違いない。

結局のところ、親や教師やマスメディアによる縛りの緩さ(夏休みの宿題も無いらしい)が子供たちの創造力を育つにまかせているのかもしれない。そう考えると、フランス社会のダラダラしたディスオーガナイズさはその裏返し(代償)なのかもしれない。

人間島

2005年10月11日 00時42分35秒 | おフランス生活
先週のFinancial Timesの別刊で、マン島なるところの特集を組んでいた。イギリスとアイルランドの間にある小さな島で、ちょこっと調べてみるといっちょまえに政府もあるらしい。

イギリスの保護国とはいえ、こんなところに国があったとは知らなんだ。どうやらケイマンとかと同じようにタックス・ヘイブンとしての役割も果たしているようだ。あまり聞いたことがないのでもしかしたらケイマンほど魅力的じゃないのかも知れないけれど。

普通は見過ごしてしまうようなこの記事に僕の目をひきつけたのはマン島の国旗(画像)。3本足ってコワ!足だけでずーっとその場で走り続けてるイメージだろうか。実物を見たくないし、こんなやつに追いかけられたら絶対に怖い。
そういえば「人間島」って名前も怖いな。