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おフランス留学記~パリやのに

おフランスはパリ近郊のHECなるビジネススクールに留学し、MBAをこころざす筆者の日記。

MBA就職活動日記(7)

2006年03月24日 21時58分28秒 | 就職活動
今日はビジネススクールのネームバリューについて。

僕はHECの国際性やプログラムの内容、そしてヨーロッパで勉強できることの魅力でHECに留学することを決めたのだったが、正直言ってコンサルにアプライするにあたっては若干の不安もあった。

HECは今年のFinancial Timesの世界ランキングでも22位と、決して評判の悪くない学校だし、少なくともフランス人なら知らぬ者はいないくらいのネームバリューはある。以前NOVAに通っていたときにも、講師のフランス人に「HECに行く」と言うと誰もが「C'est magnifique !!(すごいね)」とか言って祝福してくれた。

しかしここは日本。HECのことなどほとんど誰も知らない。
ビジネススクールを目指す人たちの掲示板なんかを訪れてみると、戦略コンサルはトップ7スクールの出身者しか入れないとか、まことしやかに喧伝されていたし、コンサルのサイトに行ってメンバーの略歴を見ると誰しもが超有名なビジネススクールのMBAである。だから本当にHEC出身者としてコンサルで働けるのか、正直言って確信は無かった。

ところが、結論から言うと、HECでも全く問題が無かった。
面接に行っても誰もHECのことなんて知らないし、うっすら心当たりのある人でも、「いやーヘックっていい学校なんだよな。」とか言われたりもするけれど。
少なくとも書類審査でHECだからといって「ケッ、何この学校。しらねーな。」と落とされることは皆無だった。

だから、学校のブランド力なんて関係がないのだと思った次第です。
もちろん、「なぜHECという学校を選んだのか」に対して説得力のある回答を準備しておく必要はありますが。
なのでこれから卒業されるHECの方は(HEC以外の方も)自信を持って就職活動に臨んでください。

MBA就職活動日記(6)

2006年03月23日 19時57分18秒 | 就職活動
今日は年俸交渉について。

僕は今回数社からオファーをいただいたが、実質的に年俸交渉の余地はほとんどなかった。

普通の企業であれば、職位ごとの給与額が固定されているため、年俸交渉の焦点は採用時の職位についての交渉となってくる。
ところがMBA新卒での職位はある程度決まってくるのが現実なので、交渉の余地は非常に小幅であると言わざるを得ないし、その意味で上限は非常に限られている。いきなり部長待遇で、とはいかないわけで。だからオファーをそのまま飲まざるを得ない。

結局、給与交渉の余地があるのは、比較的新しく小規模な会社で(対応が柔軟)、新設されたポジションということになるのだろう。だからといって市場水準からかけ離れた水準までアップできるとは思わないけれど。

MBA就職活動日記(5)

2006年03月22日 20時38分10秒 | 就職活動
今日は面接について。

コンサルの面接に共通するのは「ケース面接」が行われること。
もちろん、志望動機やら今までやってきた仕事の説明なども通常の面接と同様に行うのだが、そういったやりとりは15分くらいで切り上げて、あとはじっくりとケースで試される。

ケースには大きく分けて2種類ある。
①Estimation Case
ある製品の市場規模などの数値を、一切の基礎データを与えられずにその場で推論するタイプの問題。たとえばこんな問題。
「東京にドアは何枚あるか?」
「日本のトイレットペーパーの消費量は?」
「日本のミネラルウォーター市場の規模は?」
「日本の双眼鏡市場の規模は?」
「日本の1年間の車のフロントガラス補修枚数を推定するためには何を調べればよいか?」

もちろんどの問題にも正解はあるのだが、正解にたどり着くことが求められているわけではなく、あくまで筋道を立てて説明が出来るかどうか、そして回答が常識的な水準からはずれていないか、を試されている。
このタイプの問題にはコツがある。それは、「その商品はどこで使われているか?」を最初に考え、それから「人口×使用率×使用頻度×単価」などの関数に分解していってひとつひとつ攻めていくことである。男性と女性などのセグメントに分けることも重要だったりする。

②Business Case
ある企業がある問題に直面している場面を想定し、その原因と解決策を探っていく問題。たとえばこんな感じ。
「TOMYのミニカー事業における問題は何でどう解決するか?」
「特段強みもない中堅ハブラシメーカーが赤字転落。どうする?」
「あるスキー場で入場者数が横ばいだがリフト券売上が低下している。なぜか?どうすべきか?」
「沖縄のバス会社が赤字転落。どうすればよいか?」
「あるオフィスビルでエレベーターの待ち時間が長いと苦情があった。どうすればよいか?」
「コンサルプロジェクトである事業部長が取り組んでいたプロジェクトを中止するアドバイスを行うこととなった。どうするか?」

これも途中まではコツがある。
まず問題発生の原因を特定すること。そのためにたとえば赤字転落が問題なら、「利益」を「売上-コスト」に分解。そしてさらに売上とコストを分解していく。どのファクターに問題があるかを明らかにするために面接官にいくつか質問を投げて探り出す。
さて、原因がわかったら解決策だが、このステップではクリエイティビティと戦略論のフレームワークをフル活用して様々なプランを生み出さなければならないのでがんばってくださいとしか言いようがない。

また、Business Caseなのだが5~7枚くらいの資料を手渡されてマーケット分析をした上で各プレイヤーの取るべき戦略を回答する問題や、財務諸表とマーケット情報を渡されて分析した上で会社のとるべき戦略をスライドを作成してプレゼンさせられる会社もあった。本当に大変だった。


こういったケース面接についてはコンサルを目指す人はもちろん、事業会社をめざす人にもぜひ準備をしておくことをお薦めする。理由は2つ。

①事業会社の経営企画部にはコンサル出身者がおり、場合によってはケース面接を課す可能性がある。僕自身は2社ほど事業会社と面談したが、両方ともコンサル出身の経営企画部長が面接に出てきた。

②勉強になる。ケース面接の対策をすることを通して自分の中で鍛えられた部分が結構あった。それはMBAで学んだことの復習ばかりでなく、論理的に物事を考えて説明することの訓練だった。いずれにせよ、学生ボケしていた自分の頭を相当シャープになるまでリハビリすることができたのは大きな成果。

各ビジネススクールのコンサルを目指す学生たちのクラブ活動なんかで、ケースの過去問が蓄積されたりしているのでぜひチャレンジしてみてください。
僕のお薦めはWhartonの資料。

MBA就職活動日記(4)

2006年03月21日 17時15分37秒 | 就職活動
今日は書類審査について。

MBAが就職活動をする場合、必要な書類は主に以下の通り。

①履歴書(日本語)
よく市販されているやつですが、ワードのフォーマットになったものを入手しておくと大変便利。たいていエージェントが持っています。意外と趣味の欄を見るようだ。恥ずかしい趣味は書けないけれど(僕は別にないですよ)。

②職務経歴書(日本語)
ワードで3~4ページくらい。今まで携わってきた仕事について自分の強みをアピールしながらまとめる。「~した」「~した」と実績の記述を並べて、最後は「以上の業務を通して○○の能力を涵養した」とか言ってまとめた。

③CV(英文履歴書)
ビジネススクールでは学校が指導して作成する。HECの場合はヨーロピアンなフォーマットをベースにして作成したが、わかりやすくまとめられていれば別にフォーマットは何でもいい。
英語の履歴書は、日本語の履歴書と職務経歴書の中間的な位置づけで、かつ1ページにまとめるというのがミソ。30秒目を通しただけで候補者の魅力が伝わるように意識して書く。
フランス語版のCVも作成したが、フランス系企業でもない限り活用されることはない。だけどフランス語でコミュニケーションができることをアピールし、なにやら凄そうな雰囲気をかもし出すために、あわせて提出してみるのは悪くないかもしれない。

④志望動機書
僕は今回これを初めて書いた。自分のやりたいことと、自分のできることと、会社が求めるものとがうまく合致するように書くことが大切。面接でも「なぜウチなの?」「何が出来るの?」「何がしたいの?」という質問はいつまでも繰り返される。過去・現在・未来と続く成長実績と成長戦略が納得を得られるように描かれているかが重要。

⑤カバーレター(モチベーションレター)
応募書類を郵送する場合に必要。僕はエージェント経由なので今回は作成しなかったが、これは結構重要だという話。志望動機書のような内容をさらにギュギュっとコンパクトにまとめる必要がある。

⑥その他証明書類
僕は今回は求められなかったが、戦略コンサルなど、場合によっては学校(大学やMBA)の成績を提出しなければならないこともあるようだ。僕は戦略論の成績がDとイマイチ(AからFまでありFは落第)だったので出さずに済んでよかったよかった。
その代わり、ある会社では前職での年収を証明するために源泉徴収票を提出させられたし、健康診断を受けさせられた。そういうのはオファー後でいいじゃないか。

良いエージェントだと、応募書類作成までじっくり面倒を見てもらえるが、在学中の時間のあるときにじっくり取り組むことをお薦めしたい(しかもなるべく留学後間もないうちに)。

MBA就職活動日記(3)

2006年03月20日 23時46分14秒 | 就職活動
今日は奇妙なエージェント体験について。

仮に外資系大手エージェントR社としておこう。
都心にあるR社の立派なオフィスを訪れると応接室に通される。

僕の担当だというオーストラリア人女性がまず手持ちの案件から3件ほど説明。Job Descriptionを渡される。そして「ちょっと待ってて、同僚に紹介するから」と言うので待っていると、次から次から5人くらいアングロサクソンの「同僚」が現れては、それぞれ3件くらい自分の手持ちの案件をしきりにアピール。なんだこりゃ。俺をネタにゲームでもやってんのか(でもそれが人材エージェントの究極の本質なのかもしれない)?

そして最後に「担当者」と「同僚」が現れて、

「で、どの会社に応募する?○○社と△△社には応募するわよね。」
「もちろん××社も応募するって言ってくれるよな。」

とその場での判断を迫る。これじゃ何かの悪徳商法スレスレだ。
あまりに辟易としたので「とにかくJob Descriptionを持ち帰って考えてメールするから」とその場を逃れた。

考えた末、結局その中から2社だけ応募することにした。その後がまた悪い。

応募した2件の担当者に電話して不在だった時、たまたま電話を受け取った「同僚」が「ああ、カズキ、いいところに電話してくれた。○○社と△△社には興味はないか?考えてみなよ、君にとってもキャリアアップの絶好のチャンスだぜ」とか、「いったいどこに断る理由があるって言うんだい?」とか言って押し込む。会社ぐるみでのあまりもの横柄で高圧的な態度に、アングロサクソン民族への不信感が上昇。第一、日本のマーケットや日本人に対するリスペクトを感じない。

仕方が無いので、「じゃあそのポジションについて詳しい情報をメールしておいてください」とその場を収めると、今度は全く音沙汰なし。どういうつもりなのか。
さらに、最初に応募したうちの1件についてはその後のフォローなし。

結局、スイスの製薬会社からオファーをもらったので一応エージェントとして役には立ったのだが(それだって彼らが何をしたというのだろうか)、本当に辟易としたので今後付き合いを続けるかどうかは難しい。

ただ、いちおうガイジンなので、ガイジン人脈が多く外資系企業の募集案件だけはしこたま持っている。そういうやり口に我慢ができる人は活用するのも悪くはないかもしれません。

でもあれを「狩猟民族」というのなら、日本人は永遠に「農耕民族」でいいと思いました。

MBA就職活動日記(2)

2006年03月19日 23時17分30秒 | 就職活動
今日は転職エージェントについて。

職を探すときには別にエージェントなんて介さなくても、直接応募すればいいのかもしれないが、僕は以下の理由からエージェントにお手伝いいただいた。

①僕は付き合い慣れていて抵抗感がなかった
人によっては抵抗感があるかもしれませんが。

②情報を持っている
ウェブサイトなどには出てこない案件もエージェントは結構握っているし、それぞれの会社の内部事情などの情報を教えてくれる(真実の情報かどうかは知らないが)。また、場合によっては面接対策のアドバイスもくれる。

③話が早い
応募書類を会社に送付したりする手間が省けるし、スケジュール調整もやってくれる。また、会社に信頼されていて社内に人脈があるエージェント担当者を経由すると、書類審査が通りやすい。会社側はエージェントのスクリーンを通ってきたということで安心するからだ。(エージェントは変な候補者を会社に紹介しないだろうという信頼)

もちろん、以下の点は注意の上で。

①結局は金儲け
彼らは紹介手数料を企業からもらって収益を上げているので、とにかく転職を成功させるのが第一目標。ときにはそんなモチベーションが諸刃の剣となることがある。彼らの言うことを鵜呑みにしないこと。

②個人情報流出リスク
転職エージェント業界の中では、非常に頻繁にエージェントが転職する。それに伴い、応募者の個人情報が拡散していく可能性が高い。別にそれでもいいという割り切りが必要。

③得意分野
エージェント会社によって得意とする業界や会社が異なるので、ウェブサイトや担当エージェントの話などから読み取る。

そんなことをふまえて、僕が今回お世話になったエージェントはmovinという会社。コンサル業界への転職ならここを活用することをお薦めしたい。
コンサル業界の内部事情に精通しており、なんと面接や試験の過去問まで蓄積している。何が何でも転職させようとガツガツしてはいない感じも僕的にはプラスに評価(でも一生懸命アドバイスはしてくれた)。まさに予備校さながら。

一方、僕がもうひとつ使ったエージェント(外資系R社としておこう)はひどかった(一応役には立ったけれど)。
そのエピソードはまた次回。

MBA就職活動日記(1)

2006年03月18日 23時24分18秒 | 就職活動
今日から何回かに分けて、MBA後の就職活動について僕なりの経験を書いてみたい。個人的な体験なので全てのケースにあてはまるかどうかは分からないけれど、あくまでご参考までに。

今日はスケジュールについて。

HECは2004年9月から2005年12月までの16ヶ月間のプログラム。
普通であれば、夏休みにサマーインターンをしたり、一時帰国したりして就職活動を進めるべきだったのかもしれないが、僕は帰国をしなかった。
ひとつはE&Yに基本的に戻るつもりでいたのと、もうひとつは、一度日本に戻ってしまうとフランスMBA生活という一大イベントに取り組む気持ちに水をさされると思ったからである。日本、遠いし高いしね。

それに僕はボストンキャリアフォーラムみたいなチャンスも見送った。

そんな制約条件がある中で僕の就職活動のスケジュールはこんな感じ。

①受験前
MBA後のキャリアステップのイメージをある程度まで絞り込む。
僕はコンサル(E&Yへの復帰含め)、PE、事業法人の経営企画というレベルまで。

②渡仏前
めぼしい転職エージェントと連絡を取っておく(面談も)。帰国して就職活動をするまでのスケジュール感をつかんでおくとともに、自分の目指すキャリアの方向性にもとづいて情報やアドバイスをもらう。

③帰国3ヶ月前(10月)
エージェントから次々と情報が入り始める。電話面接もためしに受けてみる。

④帰国1ヶ月前(12月)
書類での応募開始。書類審査を通過した後は、帰国後の面接のスケジューリングをしておく。

⑤帰国後(2月~3月)
整斉と面接をこなしていく。志望度合いに応じてスケジュールを調整するのが、わりとテク要。社会復帰リハビリが必要なので、最初は面接(とくにコンサルのケース面接)に慣れるために、志望度が低い会社を選ぶ。その後は一挙に志望度が高い会社から受けていく。
一度落ちたり、内定や面接を辞退したりすると、後々その会社を受けたいと思ったときに障害になりかねないので、慎重にハンドリング。

僕は2月1日に帰国して3週間で一挙に決めるというスケジュールで臨んでいたが、やっぱりムリでした。
2ヶ月は見ておいたほうがいいと思います。

スケジュール管理は本当に大変なので、数多く受けるつもりならエージェント選びも重要だと感じました。これについては次回お話します。