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Dr.パルナサスの鏡

2010-02-13 23:15:40 | 映画雑感
田舎住まいの貧乏性なので、映画館に行くときはたいてい2本以上観てきます。
本日の2本目は、今週で上映が終わるDr.パルナサスの鏡。
この劇場を選んだ理由の一つが、この映画を上映しているからでした。
というわけで、まだ上映中の作品ですので簡単な印象など。

予告編を見て、心惹かれたのが観たいと思った理由でした。
幻想的な世界観、撮影中に急逝した主演俳優の役をその友人である大スターたちが演じたという特異な作品…というのが予備知識のすべてでした。

さて、Dr.パルナサスの鏡は、年老いたパルナサス博士率いる旅芸人の一座の出し物の名前であり、この映画の幻想性の源とも言うべき存在。
タイトルにもあるDr.パルナサスの鏡に入り、パルナサス博士によって作り出されたそれぞれの欲望世界でさまざまな選択を迫られ、選択によっては破滅の道へ…という幻想と恐怖のミラーワールドを行く物語。
その一方で、パルナサス博士は、愛娘の16歳の誕生日までにこのミラーワールドの試練を越える者たちが現れなければ、娘を悪魔に差し出さなければならないというとんでもない約束を抱えている。
美しい娘ヴァレンティナ、彼女が偶然助けた謎の男トニー、一座の面々の思惑が交錯する幻想的世界。

この映画では確かにストーリーの中心にいるのはトニーなのですが…実はパルナサス博士の物語です。
年老いて酒浸りになりつつも、娘を溺愛し、悪魔との契約に縛られて鏡の試練を越えられる者をさがすパルナサス博士。
彼の作り出す鏡の世界は、もう一つの映画の主役でもあります。
そして、さりげに一座のパーシーの活躍ぶりとクールな言動にしびれます。
でも、個人的に最大のツボはもう一人のおっさん!
声を大にして言いましょう、おじじとおっさん好きにはぜひぜひご覧いただきたい!!

急逝した主役のヒース・レジャー、代役として鏡の中の世界のトニー役で登場するジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルは皆、いわゆるイケメン俳優さんです。
本来ならこの顔ぶれだけでも十分魅力的と言うべきなのでしょう。
けれど…白状いたしますと…ジョニー・デップ以外はどこから誰なのかがさっぱりわからなかった…。
もしかして、私の目は本当に節穴なんじゃないかと思ったくらい、どこで役者さんがチェンジしていたのかわからなかった…。
きっと同じ衣装を着ていると、同一人物に見えてしまうくらい…人間の顔がわからないのでは???と真面目に思いましたねえ…だめだろ私。

ヒロインである博士の娘ヴァレンティナ、小顔に金髪、長い手足と豊かな胸の抜群のプロポーションにぱっちりおめめとお人形さんのようなファニーフェイス。
旅芸人なので、これでもかというくらいのコスプレの数々を披露してくれるのにもびっくり。
まさかここまでお人形さんのように理想的な姿の女性が実在しようとは…と驚きました。
博士はもちろん、周囲の男たちが彼女をめぐって奔走するのが実によくわかります。
立ち姿を観たときには背の高さにびっくりしましたが、実はスーパーモデル出身の女優さんであることを知って納得。

ストーリーの骨子そのものはシンプルです。
が、縦軸はシンプルでも横軸の物語は複雑怪奇…トニーが複雑な男なので、謎がどんどん深まっていくんですよ。
そして、皆の思惑がそれぞれに違っているために、人間関係はどんどんもつれていってしまう。
鏡の世界での選択、現実世界での選択、この映画ではさまざまな場面での「選択」が描かれます。
果たしてこれは誰の選択なのか、そして…その選択は正しいのか。
幻想世界を通して描かれるのは、実は人間の複雑な内面世界であり、選択に託された欲望・希望・絶望である…。
そして選択の結果は…。
単純な答えは決してでないし描かれない。
そこが、この映画の魅力でもあると思います。

風水


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おじいおじじおじじおじじ (あさい)
2010-02-14 00:43:11
経緯や出演者の関係でものすごく気になっていて、でもスケジュール的に行けないこの映画。

風水さんのこの感想で、行きたいざわざわ感がいやましてしまいました。
一瞬、来週のインストラクター総会をぶっちぎって行こうかと思ったくらいです。いや、そんなことしないけど。さすがに。

……待つぞDVD。
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お勧めですわー! (風水)
2010-02-14 09:44:03
あさい嬢

コメントありがとうございます!
ええ、おじじのくだりは想定読者=あさい嬢です(苦笑)。
私も観に行くのは無理かなあ…と思ってましたが、この際行ってしまおう!と身軽なのを良いことに行って参りましたわー。
おじじとおっさんが渋くストーリーを動かしてくれますわ。
とはいえ、大期待をしてはいけません(苦笑)。

おお、インストラクター総会!
それをぶっちぎるとものすごく問題がある気がしますよ(苦笑)。
是非観て欲しいけれど…大画面で是非是非とまでは申しませんので、DVDをお待ちになってー。

観に行けない映画ほど、気になるものですよ。
でも、期待を募らせるといざ観たときに期待はずれにもなりやすいので、ほどほどの期待感で観る方が楽しめる気がしますねえ(苦笑)。
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Unknown (真紀)
2010-02-14 21:52:43
風水さん、三度参上で申し訳ありません。

ご覧になられたんですねぇ
私も見ましたが観終わった後は不思議な気持ちで劇場を後にしました。

トニーが主役なのかと思いきや、物語が進むにつれて博士の物語になっていく展開に不思議な鏡の世界、好き嫌いがはっきり分かれる作品かも知れないですね

おじじとおっさん好きではないんですが(笑)この2人はとても好きになりました
おじじはヘタレ気味だし、おっさんは暇つぶしと言いながら本当は寂しがりやなのかと。

4人の俳優が一つの役を演じるというもの面白かったです。
私もジョニー・デップとコリン・ファレルしか分かりませんでした(え)

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三度目でも何度目でも! (風水)
2010-02-15 22:28:33
真紀さま

こちらにもコメントありがとうございます!
三度目でも何度目でも大歓迎ですとも!

そうでした、真紀さんはもっと以前にご覧になられてましたよね。
何というか…見終わって一番の驚きは、主人公はトニーじゃなかったんだ!でしたねえ(苦笑)。
鏡の世界の選択のあり方も含めて、好き嫌いは結構あるタイプの映画だと思います。
誰にでもお勧め…とはいかない作品ですわ(苦笑)。

おじじとおっさん、かなり良い感じですよねえ。
最初は「どうよ?」と思ってたのに、気がつくとすっかりお気に入りになっているあたり、やっぱりおじじとおっさんの魅力が勝ったと言うことでしょうか(苦笑)。

おお、真紀さんったらお友達!
見分けが付かないのは決して同じ服だから…というだけじゃありませんよね(苦笑)。
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