多摩川サイクリングロードの車窓から

茨城初上陸 筑波山ってどんな山?

 千葉県には大きな山がありません。

 房総半島はそれなりに山がちですが、標高はせいぜい300m。山というより丘というべきでしょう。ならばどこかに遠征しようにも、奥多摩や箱根は東京のさらに向こう側、千葉から遠征するには少しばかり遠すぎる・・・というわけで千葉から比較的近い大きな山、筑波山に行ってきました。

 筑波山という山に対しては、平坦な茨城県にポツンと孤立している山だと思いがちです。そのイメージはあながち間違っているわけではありません。関東平野にポツンと存在しているからこそ、標高がそれほど高くないにも関わらず古くは信仰の対象になり、近年は登山などで栄えています。


 しかしGooglemapを良く見ると、筑波山の本体から北側に山が広がっていることがわかります。調べてみるとヒルクライムのルートも複数あり、中にはかなりの激坂もあるようなので、それらを結んだ周遊コースを走ることにしました。筑波8耐を別にすれば、茨城県を走るのはこれが初めてです。







 今日のスタート地点は筑波山神社近くにある駐車場。八街から筑波山は鉄道だと時間がかかりすぎるので車でここまで来ました。

 当ブログではなるべく輪行で行動していますが、八街からだと東京に出るだけで二時間、筑波まで行くと三時間半。一方で車なら二時間弱で着きます。片道三時間半もかけてしまうと自転車に乗る時間が大きく制約されてしまうので、妥協せざるを得ませんでした。
 なるべく輪行で移動して車を使わない、なんていうのは交通の便が良い都市部に住んでいないと出来ない贅沢なんですよね。

 
 筑波山神社の大鳥居を見ながらまずは東へ、最初の目的地は風返し峠からロープウェイ駅です。
 
 しばらく走るとホテルや商店が無くなり山道っぽくなります。広さはそこそこあり走りやすいですが、斜度は10%前後のところが多く楽な道ではありません。


 神社から3kmちょっと、まずは風返し峠が見えてきました。ここは東西南北から道が集まる交差点ですが、ここからもう少し登るとロープウェイ駅になります。


 ロープウェイ駅に至る道は景色が良く関東平野が一望できます。斜度は7~8%ほどありますが、景色で気が紛れるので、さほど苦にはならないでしょう。


 こんなループ橋もあります。こういうのはなんとなくわくわくしませんか。




 風返し峠から1.7km程でロープウェイ駅。ここで行き止まりなので、折り返して次に向かいましょう。



 風返し峠から北にダウンヒルしてやってきたのがこちら、筑波山の北側を縦断する林道の入り口です。見るからに寂れた雰囲気があります。




 平日だからというのもあるでしょうが、車どころかオートバイすらまったく通らずのんびりと走れます。路面状態はまあアレですけど。


 たけのこの里は無いのかしら。

 この道は山の尾根をつたっており、登りと下りが交互に現れてきます。薄暗い森の中を細い道のアップダウンが続くあたり、奥武蔵グリーンラインっぽい雰囲気と言えば伝わるでしょうか?規模は小さいのですが。


 突然視界が開けたと思ったら、ハンググライダーの練習場がありました。


 ちょっと霞んでいますが伐採がされているので見晴らしがとても良いです。こっち側は誰も飛んでいなかったのですが、風向きの都合なんでしょうね。離着陸には向かい風が必要と聞いたことがあります。


 しばらく進むと今度は風力発電所の巨大な羽が見えてきました。ここは林道しかないのに、あんなでかいものをどうやって持ってきたんでしょう?

 ここを過ぎてしばらくすると本格的なダウンヒルが始まります。


 下りきって山の東側に出ると、さっきまでの寂れた山道とは打って変わって平坦な田園風景が広がります。向かい風で思うようにスピードは出ませんでしたが、一気に南下して次のポイントに向かいます。
 


 と、その前に腹ごしらえをしなければ。やってきたのは蕎麦蔵めぐみ。そば屋に付き物の天ぷらや酒類を出さないちょっと変わったお店です。
 俺はどっちかというと温そばのほうが好きなのですが、今日はちょっと暑いので冷たいそばにして見ました。そばは美味しいし値段も高くないのでお勧めですが、ガードレールなどが無く自転車を停めにくいのが難点でしょうか。


 次に向かったポイントは十三塚と呼ばれる道。今日最初に登った風返し峠を東から登る道です。


 距離は3.3kmと短いですが平均斜度が11%。これはほぼ和田峠に等しいプロフィールですが、この道は最後の600mが本番で平均斜度17%に達するようです。


 序盤は左右にみかん農家が連なります。このあたりで既に斜度は15%近くになっており、既に青息吐息。みかんは斜面で作るものだから坂があるのはわかるけど、だからって道を直線にしなくても良いと思うんだ。

 みかん農家が途切れて森に入るといったん斜度が緩んで一息入れることが出来ます。といっても8%以上はありましたが、15%とかの激坂に慣れてしまうとそれくらいの斜度が緩斜面に見えてきます。


 道なりに進むと、突如路面がコンクリート舗装に変わります。ここが十三塚ラストの激坂区間、平均斜度17%の魔界の始まり。このあたりから速度が5km/hを下回り、Garminに傾斜が表示されなくなってしまいました。まあ表示されていても見る余裕はなかったでしょうが。
 これだけの斜度ですから前輪が浮くのを抑えるため前に体重をかけねばならず、蛇行しながらのヒルクライムになります。たまたま車が来なかったから足つきなしでクリアできましたが、車が来ていたら道が狭いので停止せざるを得なかったかもしれません。
 途中にある九十九折は傾斜が緩い(といっても12%くらい)のですが、その後に出てくる斜度25%区間で心を折られないかがポイントになりそうです。そこを越えてしまえば斜度が緩み(といっても15%くらい)、ゴールはすぐそこ。

 風返し峠は四方に道が伸びており、この道は群を抜いてキツいルートです。好き好んで、あるいは怖いもの見たさで行くならいいですが、そうでなければ別ルートを登ったほうがいいでしょう。でないと満身創痍で泣きながら自転車を押す羽目になります。
 ちなみに下りはもっとお勧めしません。激坂、道幅は狭く曲がりくねっており、路面はがたがた。悪条件がそろっています。



 風返し峠から表筑波スカイラインを南下し、不動峠から西にダウンヒルしてやってきたのがこちら、彩食工房ひるくらいむ。地元の自転車乗りに人気のお店だそうです。


 民家を改造したお店なのであまり広くは無いのですが、アットホームで長居しやすい雰囲気のお店でした。バイクラックも当然のようにありましたしね。
 オムライスやカレーが人気メニューらしいですが、ついさっき蕎麦を食べたばかりでそんなに食えないのでカップデザートで一息入れました。


 それでは本日最後のヒルクライム、つくば道に取り掛かります。江戸時代に筑波山神社への参拝ルートだった道で、沿道には石垣や土蔵が並び昔の面影を残しており日本の道百選にも選ばれています。
 自転車的には終盤に20%級の激坂が待ち構えることで知られます。




 最初のうちはどうということのない道が続きます。正面に見えるのが筑波山。電線がちょっと邪魔かなぁ。


 しばらく進むと徐々にきつくなります。この時点で15%近い傾斜になっていますが、まだこれは前座。


 この鳥居から先がつくば道の本番、一応県道なのにこの狭さです。舗装がコンクリートに変わりここから先の平均斜度は17~18%になるとか。鳥居は神域への門ですが、この場合魔界への門を兼ねていると言えましょう。それでは魔界に踏み込んでいくとしましょうか。


 少し進むとあっという間に地面が傾き、20%前後の傾斜が続く激坂地獄になりました。石垣や古い家が並び雰囲気は良い・・・はずですが、必死に登っていたのでまったく記憶がありません。
 車の出入りの都合でしょうか民家の入り口は傾斜がかなり緩むので、激坂を這うように何とか登り、わずか数mの緩斜面で息を入れつつ気持ちを落ち着ける、ということができます。そのためか先ほど登った十三塚よりは多少登りやすい印象でした。


 写真はストリートビューからの借り物ですが、激坂区間の後半にはこんな壁が出てきます。雰囲気があるのと同時に、壁の段々が激坂ぶりを物語ります。


 十三塚と同様、5km/h以下の超スロー登坂でしたがなんとか足つきなしでクリアしました。平日なので歩行者も少なく車とすれ違うことも無かったのが幸いしましたが、これが土日だったら登りきれたかどうか。




 標高も大したことないしヒルクライムのポイントも少ないという先入観が筑波山に対してありましたが、思ったよりも広くバリエーションがある山でした。規模や高さでは箱根や奥多摩に及びませんが、十三塚などインパクトのある道もあり飽きさせません。
 ただし遠方からわざわざ遠征してくるほどの魅力があるかというと疑問で、全体的に悪くはないけど箱根や奥多摩を凌駕する決定打を欠く印象でした。その意味では千葉県に住んでいる今のうちに筑波に来てよかったと思っています。

 多摩川河口に住んでいるとヒルクライムをしに行くのはヤビツ・箱根・奥多摩が多くなります。これらに飽きたときに気分転換に来てみる、というくらいの付き合い方になるのではないでしょうか。


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