小説「目覚める人・日蓮の弟子たち」

小説「目覚める人・日蓮の弟子たち」の連載と、上場投信日興225の勉強会をします。

小説「目覚める人・日蓮と弟子たち」二十八

2010-09-21 | 「目覚める人・日蓮の弟子たち」

 法華経の行者 二 *

「やはりのう、それでそなたは何故そうなるのか理由が分かりました
か。」

「正直に言って私には、経典を読んだだけで理由は分かりませんでし
たが、中国の出来事やわが国で実際に起きた事件をみましても、予言
通りになっていることは疑いようもない事実です。
私には何故そうなるのか分かりませんが、教典に書いてある事が間違
いだとは到底思えません。
 それでこの上は、上人に直接会って教えて頂くのが一番だと考えた
のです。」

「うーん、そうかのう、わしも実は上人にお目にかかって教えを乞い
たいと内々思っているが、もうひとつわしが腑に落ちないのは、何故
上人にだけ分かって、あまたいる他の僧には分からないのだろうと不
審に思えるのだ。」

「はい、その点について私も考えてみました。
わが国に外国から伝わっている教典は、六千巻とも七千巻とも言われ
ていますが、全国の主要な寺院に散在して保管されています。」

「ほーう、そんなにあるのか。」

「その膨大な数の経典を全部読むことは不可能に近いうえに、経典で
なく釈や論といって、経典を釈したり、後世の学者や僧が自分はこう
解釈すると論じたものを学んで仏教を修行しているのが実情です。」

「そうであろう、それはわしにも納得できるが、」

続く