校長室だより ~ 武蔵野の森で紡ぐ友情『明星学苑・スクールライフ』

民間企業勤務から中学、高校、大学など、教育現場へ転じた『キャリアコンサルタント』の日常をお伝えします。

通訳業界の現状について~サイマルインターナショナル訪問記

2017年04月28日 05時26分14秒 | 日記
先日お伝えした通訳業界の事情について、サイマルインターナショナルで吉野取締役と加茂マネージャーに聞いたお話を補足いたします。依頼を受ける仕事では、日本語⇔英語の通訳が約7割。そして中国、韓国、フランスが続きます。4~5年前に政情不安で中国・韓国が落ち込みましたが、今は安定している様子。これから数年、中国、韓国、ベトナム、インドなどが増えていくと予測されていますが、ビジネスの重要な局面ではやはり英語を使うというケースも多いようです。そして国際会議やイベントなどで活躍する『フリーランス』の他、近年は社内翻訳者も増えてきたとも。正社員であったり嘱託であったり、雇用条件はいろいろですが、大きな企業であればどこの会社も置いているだろうと言われていました。その数は推定でありますが、フリーランスよりもかなり多いと思われます。外国人社員が増えていることもあり、社内通訳者は外部との会議だけではなく、社内のミーティングなどでも活躍の場があるのですね。1日じゅう、どこかの会議に出ているといった感じというのは、今の日本の会社の状況を垣間見るようです。私がベネッセに勤務していた15年前には、通訳が入る会議などほとんどありませんでしたが、最近は同社にもよく派遣しているとのことで、それだけ時代が変わったということでしょう。仕事の分野としては金融、医薬が顕著に伸びてきており、その他IT系や自動車、食品、化粧品などすべての分野にわたっています。医薬系であればテクニカルな内容も高度で、通訳者の中にはある面で、医者よりも詳しかったりするというのは、さすがにスペシャリストの世界。製薬会社出身者であったり、看護師から転身する人もいるそうで、それぞれ専門でやっている人間もいれば、複数の分野をかけ持っている者もいるとのことでした。

そんな通訳者の世界、「英語のレベルは置いておいて…」というのは、たとえばTOEIC満点は当たり前の世界であり、そうした次元での能力は「持っていて当然」だからなのですね。そうした意味で「外国語系の学部を卒業するのは一つの道ですが、他学部の出身者も少なくありません。語学力は元より、常に情報をアップデートし、維持していくことの方が重要です。政治問題や経済知識は、どの分野に進むにしろ無くては仕事にならず、社会の動きを理解したうえで、状況に合った適切なヴォキャブラリーを選んでいく能力が問われます」というのは、さまざまな分野のトップと出会うのですから想像がつきますね。
吉野さんいわく「通訳の仕事の魅力とやりがいの一つは、政治家とか経済人、芸術家やトップアスリートなど、普通では会えない人に会い、行けないところへ行けること。そしてその場で『架け橋』になっている実感を持てるということです。ネガティブな会議であれポジティブな会議であれ、相手に満足してもらえれば達成感が得られます。そうした道に進みたいという若い人がいることは、本当にうれしいです」ということで、参考になる資料や図書をいただきました。中には通訳界で50年にわたって活躍されている第一人者、長井鞠子さんの著書をいただきましたので、こちらも改めてご紹介いたします。
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